第十四話 契約 4
黒猫が病室を出て1階のエントランスに向かうと、そこには追っ手…銀髪鬼がちょうど入口のドアを壊して入って来た所だった。
「さて、楽しい楽しい鬼ごっこでもはじめようか!」
この銀髪鬼は生きている人や霊体にも反応し襲う習性がある、つまりもう二つの気配の所にこの鬼を連れていけば、鬼はもう二つの気配と交戦するように仕向ける事が出来ると考えたのだ。
「こっちか」
黒猫は銀髪鬼を連れながらもう二つの気配の方向に走り、その気配の相手に銀髪鬼をぶつけるようにしながら誘導し、さらに加速をつけて一気に鬼と謎の二つの気配を振り切った。
「よし、大成功だ!」
すぐに剣戟の音が聞こえてくる、交戦に入ったのはまず間違いないだろう。
黒猫は遠くからその交戦を様子を窺う事にする。
二つの気配の内、一つは精霊で上半身は女性の容姿だが、下半身は魚の尾びれが印象的でおとぎ話に登場するマーメイドといった感じだろうか。
もう一つの気配は人間で背は小さく、マフラーをしているため顔がよく見えない。
銀髪鬼と交戦しているのは精霊の方で、三叉槍を振るって銀髪鬼の刀の攻撃をしのいでいる。
「早く行って!」
その声を合図に、人間が銀髪鬼から離れ階段から建物の上の階に登っていく、目的はやはりあの少女だったようだ。
「ふむ、そう来るか…だが俺の魔法は見破れるかな?」
もし黒猫が少女にかけた深淵の衣装を簡単に見破れる程の実力が仮にさっきの人間にあったとしたら、この銀髪鬼はすでにこの世界から消滅しているだろう。
そういう意味で、驚異は薄いと感じ黒猫はこちらの戦闘を傍観する事にした。
戦況はほぼ五分に近く、最初の方は若干精霊の方が銀髪鬼を押しているように見えた。
だが時間が経つにつれて徐々に精霊の動きが鈍っていき、銀髪鬼の攻撃を後退しながらギリギリの所でなんとか凌いでいる。
「ふむ、術者からの魔力供給でも足りなくなってきたか」
おそらくは術者であろう人間も魔力が枯渇しかかっているか、それに近いような厳しい状況になっているのが黒猫からは見て取れた。
体力が無くなると披露で身体が動けなくなるように、魔力が枯渇すると意識が朦朧として思考が回らなくなり、それ以上酷使するようなら意識を失うか最悪は命を落とす事すらもあるのだ。
「もう少しあの鬼を弱らせてくれればアレが使えるんだが…」
黒猫がそんな事を考えていると、銀髪鬼は静かに刀を鞘に収め、その瞬間一気に刀を振り抜いた。
放たれたその一閃を精霊はなんとか受け止めるが、その存在がもううっすらと消滅しかかっていた。
黒猫のストーリーパートです。




