第十二話 契約 2
(これが…私?)
全く見覚えの無い顔…自分の顔すらも忘れてしまったのかと思うとショックを受ける。
「あぁ、それは違うぞ」
と、黒猫が突然声を高くして言った。
「俺と契約したのは覚えているよな?」
契約…と聞かれると、何かを契約したような事はうっすらと覚えているような気がしたが、それがどんな契約だったのかまでは覚えていない。
「まぁ、あの時は緊急事態だったから内容は全然話してないが、俺は…そうだな、お前のイメージからすると悪魔みたいなものだ。つっても、別にお前の命とか、一番大事な物を寄越せとか、そんな要求はしてないぞ?」
どうやらこの黒猫は悪魔みたいなもので、あの場を助けてやったからそれに対して何かしらの対価を払わないといけないらしい。
「そうだ、声は出さなくていいから試しに頭の中で俺に何か語りかけろ」
そう言われて頭の中で黒猫に問いかけてみる。
(何を払えばいいの?)
そう頭の中で言葉を紡ぐと、声には出ていないが黒猫に自分の言葉が伝わったような感覚を感じた。
(驚いたか?これが念話ってやつだ)
(念話?)
(契約で俺とお前の魂が繋がったからな、念話なら他のやつにやり取りを聞かれる事もないんだから便利でいいだろ?)
念話は便利そうだと感じたが、そもそも自称悪魔?と念話が出来るようになったのかと思うとそれはそれで大きなため息が出てしまった。
(あぁ、支払いに関しては後払いでいいぞ、俺が欲しいものはお前から今すぐ貰えるものではないからな、あと、声に関しては少し時間が経てば出せるようになるから心配するな)
後払い…と言われても素直に喜んでいいのか分からず反応に困ったが、声に関しては出せるようになるのでそこは喜ぶべき事なのだろう。
とはいえ、あまり色々よくされるとやはり対価が分からないので不安が募る。
ふと時計を見ると、起きてから1時間くらいこの黒猫とやり取りをしていたようで、急に睡魔が襲ってきた。
「まだ本調子じゃないんだろう?とりあえず寝て少しでも回復しておけ」
黒猫のその言葉を聞き終えてすぐ、私はまた意識が遠のいていった。
黒猫(自称悪魔)との出会いを中心にしたストーリーパートです。
黒猫には主人公との契約した対価を得る事以外にもある目的がありますが、ここではまだ対価の詳しい内容とその目的に関してはあまり明かされません。




