第十話 終わりの始まり 10
混濁した意識の中で不意に光が当たるような感覚が伝わってくる。
ふと意識が戻るような感覚の後そこには、血を流して倒れているディナルの姿を見る自分がいた。
「なんだこれ?」
と、自分の手足を見るように視線を移すと、うっすらと透明ががっている自分の体が見えた。
(死んだら幽体離脱まで体験するとかリアルすぎるだろ…あれ、幽体離脱ってどこかで聞いたような?)
とか思ってたら後ろから聞いたことの無い機械のような低い声がした。
「よう、残念だったな!」
振り返るとそこには青い炎…人魂といった方がわかりやすいだろうか?
声の主はその人魂から発せられていた。
「やっぱ俺って死んだ?てかお前誰?」
「あぁ、もちろん死んだぜ!グサーってあいつの刀でいい感じにな」
ストーリーで主人公、所謂自分が操作するPCのHPが0になってしまった場合、特定のイベント等を除いてはゲームオーバーになってしまうのはこのX-codeでも同じで、キャラクターのデータが消えてしまい、途中でセーブしてやり直すと行ったことが出来ない一発勝負となっている。
そしてまた同じシナリオを再挑戦するには一定のクールタイムが発生するので、例え内容がある程度分かっていようとすぐに攻略を再開することが出来ないというルールが存在した。
「じゃあ今日はもうログアウトするよ、とりあえず疲れたし」
そういって蓮二はログアウトの命令をかける…がログアウトの命令が飛ばせずログアウトが出来ない。
「だから言ってんだろ?お前は死んだんだって!」
人魂の声が少しトーンが上がったようにニタニタしながら俺に語ってくる。
いや、人魂だから表情は見えないが、そんな感じの笑い方をしているように感じ取れた。
そんなやり取りをしていると、さっきの銀髪鬼がディナルの目の前に来て何かの魔法の詠唱を始めた。
「あいつ、何しようとしてるんだ?」
「お前の魂を喰らおうとしてるな、このままだとお前、あいつに魂を喰われるぞ」
「じゃあどうしろって言うんだよ?」
「そうだな…助かる方法があるにはあるんだが…」
「だったら早く教えてくれよ!」
人魂はわざと焦らすようにして話を長引かせようとしているように感じ取れた。
そのとき、一瞬意識が飛びそうになり、徐々に幽体離脱した蓮二の魂が銀髪鬼に吸い寄せられ、大きな口を開けてそこに吸い寄せられるような感覚を感じた。
「俺様と契約しろ、そうすればお前の魂は助けてやる」
何の契約かわからないが蓮二は了承せざるを得なかった、銀髪鬼に魂を喰われるような感覚がある以上、それはもう恐怖でしかないのと、本能的な感でもあったが、この鬼に喰われたらなんとなく助からないような気がしたのだ。
「契約成立だ、命拾いしたなニンゲン、いや、この場合もう肉体は死んでるから魂拾いっていうのかぁ?」
その声を聞き取る前に景色が歪み、蓮二の意識は再び遠のいていったのだった。
終わりの始まりはこの話で終了になります。
感想や誤字・脱字・表現おかしい所とかあれば伝えて頂けますと幸いです。
(わざと今後の伏線を匂わせるような表現を出している所もあるのでそこは悪しからずです)
次回は24日に3話更新する予定です。




