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おっさんが始める異世界雑記ブログ  作者: ハム男
第1章 フェステルの街スラム救済編
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第05話 おっさん、ブログを書く

自宅に戻ってきたおっさん。

8畳の1kの賃貸マンションだ。

南向きのマンションを借りたため、温かい日の光がカーテンごしにふりそそぐ。

家賃は6万で、この辺りの土地ならそれくらい妥当であろう。

おっさんは見た目を確認する。


「向こうに行く前と同じ格好だな」


裸足に下着姿の自分をみて、そうつぶやく。

どうやら声に出したほうが一人暮らしの長いおっさんにとって、落ち着くようだ。

パソコンに座り、起動したままになったディスプレイの時計を確認する。

時刻13:14という表示がある。


「あれ、3時間以上向こうの世界にいた気がするが、時間過ぎてないじゃん」


日付も確認するおっさん。

日付も変わっていないようだ。


「異世界にいっても時間が変わらないのか。じゃあ逆に、これから異世界に行っても時間は変わっていないということが考えられるな」


異世界で確認した太陽の位置を思い出しつつ、パソコンの前に座る。

ローデスク派である。

大きなクッションに体を埋めながらパソコンに目をやる。

異世界雑記日記のサイトに目をやる。

異世界雑記日記の画面の背景は森の中であったが少し違っている。

どうやら魔法をぶっ放した少し開けた場所のようだ。

少し離れたところにある小岩が焼けただれているのが見て取れる。

メッセージを確認する。


『ブログ記事の投稿が確認できません。異世界にはいけません』


どうやらブログ記事を起こさねば、異世界には行けないようだ。


「ブログ記事を起こせということか」


異世界雑記日記のサイトにブックマークを付け、おっさんが自分で持っているブログのサイトを開く。

働き方改革が謳われる日本において、会社も定時退社だし、何かほかに収益を上げるかと3か月ほど前に立ち上げた、いつものブログの画面に切り替わる。


「何を書くかな。そういえば小腹はすいてきたな」


どうやら体的には時間が過ぎているようだ。

12時前に昼飯を食ったがもう一度コンビニに出かける。

『あれ、この人また来た』とコンビニのアルバイト店員に思われるのが嫌なのか、別のコンビニを目指す。


「この5年でコンビニが近所に2軒も増えたな」


服を着、財布と携帯を手にし、近所のコンビニを目指しながら、何を書くか決めていく。


「まあ当然異世界に行けたので、まずは異世界出発編だな。おれのブログは異世界雑記日記のサイトは登録してしまったし、カテゴリーで記事を分けるか。完全な雑記ブログだな。そのあとは、ステータス編に魔法編も書けば3本も記事が投稿できるな。魔法の写真撮れたらよかったのに。タブレットにそんな機能なかったかな。ブログ映えするのにな」


インスタ映えのような、よくわからない造語を作りながらコンビニを目指すおっさんであった。

コンビニで、最近はまっている一日の半分の野菜がとれる系のサラダとおにぎりを2つにトクホのコーラを買って店を出る。

どうやらおっさんは体型を気にしているようだ。


自宅に戻り、立ち上げっぱなしのパソコンの前に座る。

野菜からたべつつ記事の構想を考える。


「とりあえず書くか。文字数は2000文字あればいいだろう」


飯を終え、キーボードを鳴らす音が独身のおっさんの部屋に1時間ほど木霊する。


「異世界出発編が完成したぞ。サイト記事はこんなもんか。タイトルも考えるか。このまま同じカテゴリーの記事を増やしていくことになるんだしな」


記事のタイトルを決め、『おっさんが始める異世界雑記ブログ』として2000文字程度の異世界出発編を投稿する。


「まずは一本記事を投稿したぞ。異世界にデビューした感が存分に出ているはずだ」


異世界の入り口になっている異世界雑記日記サイトに目をやる。

メッセージにはこう書いてある。


『ブログ記事の投稿が確認できました。なお、アドセンスリンクが登録したブログ記事に確認できません。アドセンスリンクを登録したブログ記事に貼ってください』


アドセンスリンクっていうのは、パソコンや携帯でサイト見た時にでてくる商品のバナー広告のことだ。

アドセンスリンクをブログに表示させるために必要なHTMLのコードが、小窓ウインドウ上にでてくる。


「そうかそうか。アクセスもそうだが、アドセンスリンク張ってなかったな。」


アドセンスリンクのコードをコピペし、自分のサイトに戻る。


「ただのアドセンスという呼び方は味気ないな。別の言い方を考えるか。」


自身のブログの設定画面を開きながら、つぶやく。

新たなアドセンスリンク名を考える。


「『検索神アドセンス』と名付けよう」


加護をもらったので、異世界雑記日記サイトを検索神のサイトであるという認識をもって『検索神アドセンス』と名付けるおっさんである。

ブログもサイトにも異世界雑記日記という言葉を使うと分りにくいという思いからだろう。

これからは異世界にいける『検索神サイト』と

おっさんのもつブログ『おっさんが始める異世界雑記ブログ』に分けることにする。


「もともとブログに貼ってあった、1つの熱帯雨林アソシエイトのリンクを検索神アドセンスリンクに変えてと」


貼り終えたので、設定を終えたリンクバーの画像を見る。

どこかで見た異世界転生ものの漫画のようだ。

自分で張った検索神アドセンスリンクをクリックしてみる。

普通に異世界転生ものの漫画やアニメを販売する国内大手の通販サイトに飛ぶ。


「検索神サイトに飛ぶわけではないんだな。そりゃそうか、検索神のサイトに飛んでも何も売るものないしな」


なんとなく、うなずき納得をする。


アドセンスリンクの設定をしたおっさんは思案する。


「異世界にはすぐ行ける。スキルの取得にはどうも検索神アドセンスリンクからの収益が必要なようだ。しかも重要なスキルや高レベルのスキルを取るには大量のポイントがいるようだ。であるなら土曜日だし、ステータス確認編と魔法発動編も投稿し、なるべくブログへのアクセス数を増やしポイントを稼いだ方がいいんじゃないのか」


一人で思案し決定をするおっさんである。


「じゃあ、ステータス確認編と魔法発動編の記事を投稿し明日、日曜日にもう一度異世界に行くか。次のブログ記事はレベル上げ編だな」


そこで1つひらめくおっさん。


「そういえば1つ大事なことを試していなかった」


丹田に力をこめ、言葉をつむぐ。

思いを載せて手のひらを前に突き出す。


「ヒール」


手から光も何も発生しない。

むなしい言葉が、おっさんしかいない8畳の1kの部屋に木霊する。

最後までお読みいただきありがとうございます。


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[一言] 『あれ、この人また来た』とコンビニのアルバイト店員に思われるのが嫌なのか、別のコンビニを目指す。 この一文にほくそ笑む。
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