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おっさんが始める異世界雑記ブログ  作者: ハム男
第3章 ガルシオ獣王国武術大会編
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第71話 閉幕

おっさんとパメラが婚約関係になった。

おっさんは特にハーレムが作りたいわけではないのだが、結局流された感じである。


玉座の間にいたヴェルムからは、『大魔導士よお前もか』のような目で見られていたのだが、おっさんは知る由もないのだ。


玉座の間での会議はその後、あと少し続いたのだがつつがなく終わった。


その後決まった話と言えば、宰相はドゴラス内務大臣が返り咲くことになった。

獣王がまだ30歳と若いので、50過ぎたドゴラス内務大臣が宰相になって支えるとのことである。

脳筋な獣王の暴走を抑える役目もあるのだ。


親衛隊長はヴェルムで変更はないとのことである。

ヴェルムは、本会議でベステミア家の公女との婚姻が決まったのだ。

今後、ヴェルムはベステミア家に婿入りする形になる。

ヴェルムとレミリアとの、ひそかな恋が実を結んだ形だ。

おっさんと違って、一切の反論の余地がなく決まったのだ。

王妃の「責任を取りなさい」という言葉に「はい」としか言えないヴェルムをおっさんも哀れだと思ったが、それはお互い様であるのだ。


しかし、このヴェルムとレミリアの婚姻が獣王にとって、周りの貴族からよい心証を与えたことは間違いがない。

ヴェルムとレミリアの交際は、長いこと王城でも噂されていたが、獣王は王妃とレミリア公女の様子を見に行く担当をヴェルムから変えなかったのだ。

これは、狼と虎の獣人の交際を獣王が認めていたことになるのだ。


今回の内乱を起こした純血派は権力をかなり縮小される形となる。

そんな中、獣王が純血派ではないことの証明となったのだ。

獣王自身は特に思想はなく、ただの脳筋である。

今回、獣王をそのままにする大きな決め手になったのが、ヴェルムとレミリア2人の交際であるのだ。


ソドンは、今回の会議で正式に親衛隊長の座から降りることになったのだ。

ソドン自身もファルマン家の家督を長男に譲ることも会議で決まった。

既に王城で働いている長男を、獣王親衛隊の副隊長にすることになったのだ。

ソドンはこのまま、おっさんの領でパメラの側にいるとのことである。

一度、ファルマン領に戻らせてほしいというソドンの言葉に、おっさんは一度皆で行きましょうと返事を返しているのだ。


現在、会議が終わり、広間で宴会中である。

宴会は始まってかなり過ぎている。


セリムが獣人達に囲まれているのだ。

セリムに群がる貴族達である。


獣王国は、北は聖教国から、南は海を渡った諸島国までかなり広い範囲で活動をしている。

外貨を稼ぎ国力を強くするためだ。

また、獣人の活動範囲を広くし、帝国に対抗するために獣王家も推奨しているのだ。


では一番外貨を稼いでいるところはと言ったらウガルダンジョン都市なのだ。

獣王国を除いて、ウガルダンジョン都市が最も獣人が多いのだ。

冒険者はもちろんのこと、ダンジョン産の高価な品を競り落とすため、商人達もたくさん活動をしている。

王国の王都と獣王国の王都をつなぐ要所にあり、巨大なダンジョンがあるこの都市は獣人が活動しやすいのだ。


パメラとドゴラス内務大臣がウガル伯爵とセリムのことを会議で呼んだために、ウガル家の当主が会議にいることを知った貴族達である。

自分らの活動をしやすくするためにセリムを囲って接待しているのだ。


(セリムが貴婦人な獣人に囲まれているな)


何か助けを求められている気がするが、生暖かい目でセリムを見るおっさんである。


「それで、このあたりが良いのですが」


ガルガニ将軍が会話の途中でセリムの様子を見るおっさんの思考を戻す。

初めて会ったときに比べて、かなりガルガニ将軍の言葉が丁寧である。

おっさんの存在は、既に獣王を超えてしまっているのだ。


今は宴会中である。

皆がおいしい酒を飲む中、しらふのおっさん達である。

おっさんとガルガニ将軍、ラングロッサ師団長、シュクレイナー連隊長が大きめな地図を見ている。


これは、おっさんが会議の席で言った言葉が原因だ。

おっさんは「1つお願いがございまして、その代わりに城壁を作るのですが」といったのだ。


おっさんの城壁によるオーガ3000体を倒したことは、当然耳にしているガルガニ将軍たちである。

城壁自体は見たことないが、それ以上のものを闘技場で見たのだ。

こちらから会議でお願いしようと思っていましたと返されたおっさんだ。

城壁を帝国との国境に作ってほしいとなって、会議後の宴会にも地図を持ってきて打ち合わせをしているのだ。


毎年帝国との戦争で、獣王国では10万前後の騎士や兵が戦っている。

帝国の軍に合わせて、同じ程度出兵しているのだ。

肉体的に有利であるため、同数を出せば大体追い返せるとのことである。


しかし、大体1割ほどの獣人がその戦いで戦死するという話だ。

戦死するのは、戦争に参加したばかりの若い兵なのだ。

ここ数年は激しさを増しており、1万を超える兵が死んでいる。


荒野で木も少なく、土を盛る程度しかできない場所に魔法による城壁を作れば、戦況は一変するのだ。


是非にと、宴で酒精の強い酒を飲むことが何よりも好きなガルガニ将軍達が、真剣に場所を考えている。

多くの若い兵の命を守るためであるのだ


「場所と考えている規模の城壁で、どの程度の帝国兵と戦えるのですか?」


「そうですね、20万でも大丈夫かと思います」


去年10万の帝国兵が攻めてきたが、その倍の数を示すガルガニ将軍である。


「たった20万しか耐えられないのですか?」


「「「はい?」」」


「帝国の敵は獣人と共和国だと思います。獣王国を守る城壁はしっかりしたものが良いでしょう」


帝国について、おっさんなりの分析である。

帝国には2種類の敵がいるのだ。

まずは、獣人だ。

子供は獣人しかできないこともあり、帝国は建国以来忌み嫌われ、迫害の対象になってきたのだ。


そして、もう1つは帝国の西側の国にできた共和国連合である。

100年ほど前に帝国の西の端で分裂し、独立した共和国の国々である。

絶対王政を全否定した共和制を掲げており、獣王国以上の兵を出しているという話である。


だから聖教国、王国に比べて侵攻が激しいのだ。

決して大連山が盾になっているだけではないのだ。


「1000年前の独立戦争では100万を超える兵が攻めてきたときいております。少なくとも100万、余裕をもって300万の兵でも耐えられる城壁案を考えてください」


「「「さ、300万」」」


その数に息を飲むガルガニ将軍である。


「城壁は1つでなくてもいいので、強固さもそうですが、落とされにくい、獣王国側からなら攻め落とされても、奪い返しやすい案で考えてください。例えば」


おっさんが、地図に密集した3つの城壁の模型を配置する。


「このようにすれば1つ落とされても2つの城壁が無事なら奪還が容易かと思います。次に帝国が攻めてくるのは数か月先だと聞いていますので、まだ時間があります」


「いや、もう4か月もないのです」


前線の帝国との国境に行くだけでも1か月近くかかるのだ。

それから、城壁を作るとなるとあまり時間がないというガルガニ将軍である。


「私は自分の領から獣王国の王都まで1日あれば着けます」


「「「1日!」」」」


大魔導士なら可能なのかと思うガルガニ将軍たちである。


「これから、ウガルダンジョン都市での魔石回収に数日王都から離れますので、それまでに案というか仮でいいので考えておいてください。一度作ってみてまずい点があれば改修もします」


おっさんは、会議で闘技場を壊してしまって申し訳ないと謝罪をしたのだ。

その上で、金銭的な補償をしたいと言ったのだ。

当然、貴族からも王妃からも、補償も謝罪もいらないと言われたが、それでも補償するといっておっさんは頑な考えを変えなかったのだ。


どれだけ武術大会が獣人達にとって大切か分かっているのだ。

内乱で金銭的に余裕がないという話も聞いているので、魔石ならウガルダンジョン都市でいくらでも獲れるのでという話である。

それくらいはしたいと言い、王妃側も分かりましたと折れたのだ。


その上で、ガルガニ将軍にお願いをしたおっさんだ。

城壁を作るので、1つお願いがあると言って今に至るのだ。

お願いとは戦血のエルザを領に引き取りたいという話だ。

城壁はどうしてもほしいとガルガニ将軍は思っており、会議の席で出来れば話がしたいと思っていたのでお互いの願いが合致したのだ。


エルザは、獣人達では押さえつけられないので、まだ牢にいれたままである。

おっさんらが領に戻る際に一緒に連れて帰るという話になったのだ。


こうして、パメラが王城に戻ってからの今後の話が終わったのであった。




「それで、これからどうするのだ?」


「そうですね、行ける人でというか多分皆来てくれるので7人そろってウガルダンジョンで魔石の乱獲ですかね」


獣王国では、王国のような高さのベッドではないようだ。

畳ほどの厚さの板の上に布団を敷いて寝るのが一般的である。


ベッドの中でイリーナに今後について話を振られ、答えるおっさんだ。


何日も王城にいてもしょうがないので、魔石を取りに行こうという話だ。


「そうか、それもいいが、いつになったらケイタの世界に連れて行ってくれるのだ?」


「そうですね、今住んでいるところがかなり狭いので、ちょっと引っ越しをしようと思っています。準備出来次第お招きしますよ」


おっさんの住む世界に行きたいとは前々から言っているイリーナである。

おっさんはこれを機に1k8畳の部屋から抜け出そうと考えているのだ。

目指せ1LDKの部屋であるのだ。


おっさんは、それなりに給与を貰っているし、貯金もしているのだ。

そして、この検索神サイトの報酬はPVとASポイントだけではない。

アフェリエイトのバナーもあり、1日5万PVになる人気サイトに成長させたおっさんである。

それなりのブログ収入を得るに至ったのだ。

おっさんが成長したのは異世界だけではないのだ。


「そうなのか?わざわざ手間を掛けなくていいぞ」


「いえいえ、びっくりするくらいに狭いので」


「そ、そうか」


そんなに気を使わなくてもいいなと思うイリーナだ。


「それとだ、気付いていると思うが、コルネがずっと元気ないのだ。何とかしないといけないな」


「たしかに、コルネは力を求めすぎる傾向にあるので、その辺の話をしないといけないですね」


コルネはパレードの時も、会議の時も意気消沈であったのだ。

イリーナと同様に「弓技」のスキルに目覚めておらず、固有スキルも当然ないのだ。

力不足で魔神との闘いで役に立てなかったことでかなり凹んでいるのだ。


コルネの強化に力入れるのも、もちろん可能であるが、それ以上に力についての向き合い方について、一度じっくり話をしないとなと思うおっさんである。


「そうだな、力の話もそうだな。ケイタが抱き締めてやれば満足するのではないのか?コルネはケイタのことが大好きだからな」


「ぶふっ!!いや流石に無理ですよ。子供ですし」


そうなのかと返事をするおっさんだ。

おっさんは決してハーレムを作りたいわけではないし、幼女趣味でもないのだ。

イリーナに攻められ続けて、性の方向がちょっと傾いてしまっているがノーマルを必死に維持し続けているのだ。


「そうなのか、コルネは子供ではないぞ。大人だな。それでいうと、たしかロキは20の頃、15の嫁と結婚しているぞ」


異世界の常識で話をする。


(中3と結婚したの?え?まじで?ロキ見損なったぞ!ウガルダンジョンでは厳しいノルマを課さないとな!!)


異世界では15歳で成人であるのだ。

異世界的には問題はない。


しかし、異世界と現実世界では年の数え方が違うことを最近知ったおっさんである。

異世界は数え年なのだ。

最初1歳から始まって、年が明ける日に1歳ずつ増えていくのだ。

なので、異世界では現実世界より1歳~2歳年齢が高く表記されるのだ。


イリーナは異世界で21歳だが、現実世界の0歳から始まり誕生日に1歳年が増える数え方では20歳だ。

ロキは31歳だが、現実世界では30歳

コルネは17歳だが、現実世界では16歳

セリムは18歳だが、現実世界では17歳

パメラは20歳だが、現実世界では19歳

ソドンは43歳だが、現実世界では42歳


異世界で大人とされる15歳は現実世界では14歳になるのだ。

中2である。

パメラは中2の頃内戦に巻き込まれたと思えばその大変さが分かるのだ。


ロキは決して許されないことをしたというおっさんだ。

これから厳罰が処せられることになる。

ロキのいないところで判決は下されたようだ。


「いえいえ、見た目的にもそうですがさすがに無理ですよ。パメラだってまだ19ですし」


現実世界では18歳から大丈夫という人もいれば、20歳から大人と見る人もいる。

おっさんは20歳から大人と見るようだ。


「ん?余が何だって?」


「「え?」」


おっさんとイリーナがベッドで会話をしていると、パメラが部屋に入ってくるのだ。

薄いネグリジェのようなものを1枚着ている。


「な、貴様なぜ入ってきた!?」


「ん?婚約者は夜を共に明けるのがヤマダ家のしきたりなのだろ?」


そういって、おっさんを挟むように布団に滑り込んでくるパメラである。

たしかに婚約者であったウガルダンジョン都市の頃から同じベッドで寝ていたイリーナである。

イリーナがパメラを追い出そうと騒いでいるが、そんなことを無視して、おっさんに話しかけるのだ。


「獣王武術大会は余のためにありがとう。これからは金色の獣となってケイタの道を共に歩むぞ」


どうやらパメラも1つの使命のようなものをおっさんと出会って感じたようだ。


こうして、ガルシオ獣王国でのおっさんの活動が終わったのだ。

次はヤマダ領の開拓である。

そして、帝国はどう動くのか。


それは、次の章でのお話になるのであった。


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― 新着の感想 ―
ヘルモード追いついたのでこちらも読ませて頂きました がんばるおっさんが素敵で面白かったです いつか続きが読めたら嬉しいです、、!
一年に一回程度は最初から読み直すくらい好きな作品です 淡々とした語り口、実直なおっさんの人柄に癒されます
[一言] どうか続きを読ませてほしい。伏してお願い申し上げる。
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