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おっさんが始める異世界雑記ブログ  作者: ハム男
第1章 フェステルの街スラム救済編
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第01話 プロローグ

おれ山田けい太は、ブログを始めたばかりの弱小ブロガーである。

まあ副業でただの会社員ともいえる。

土曜日の昼間に外に出るわけでもなく、ブログネタを探すために、ネット検索をしている。


30も過ぎ家族もいれば家族サービスを、彼女でもいれば外でデートでもとなるかもしれないが、見た目ブサイクで全然異性とは無縁の生活をしていたのだから仕方がない。


ブログに話を戻そう。

ブログ記事の更新はとても大変なものだ。

ブログをはじめようとして以来、毎日更新のために記事を上げているわけだが、ブログを始めて3か月目にしてブログのネタが尽きてしまった。

そりゃ月に30本だ。

3か月もすれば100本近くの記事になってしまうわけだ。

会社と家の往復であるおれが、記事ネタが書けるような体験を日々しているわけではない。

そんなわけで、雑記ブロガーの俺としては今日のネタ探しをしているわけだ。


「ネタも尽きたことだし諸先輩方のブログ記事を参考にするかな」


決してパクってはいけない。

大事なことなのでもう一度言おう。

決して他人の記事をパクってはいけない。

なぜなら検索神は記事のコピペを嫌うからだ。

検索神の怒りは恐ろしいのだ。

広告掲示サービスは止められ、検索結果を下げられるという神の怒りを食らうのである。


「今日は、異世界ものにするか」


誰もいない独身の一人部屋で30過ぎのブサイクなおっさんがつぶやく。

1人が長いと独り言も増えていくものだ。

雑記ブロガーのおれとしては、独身を謳歌するライフスタイルの記事を書くのだが、そればかりだとネタも尽きてしまう。

独身男性の生活など日頃の変化ないのだ。

だから、たまにこの数年前からの趣味である、異世界ものの小説をブログ記事で紹介しているわけだ。


「『異世界』 『ブログ』 と」


検索ワードを入れると、やはり人気のネタでたくさんのブログがヒットする。

皆思い思いの記事を上げている。


「やはり最近なら転生したスライムネタは鉄板か」


弱小ブロガーとしては人気に乗るべきか。

それとも強豪ブロガーを避けて、もう少しマイナーな作品を攻めていくか。

検索ワードを追加したり変えたりしながら小一時間ほどネタ探しをしている。

まだまだ、始めたばかりなのだから本当はガンガン記事を作っていけばいいのだか。

思案をしていたところ、一つのサイトが目に止まる。


「『異世界雑記日記』か」


タイトルにひかれて、なんとなくサイトをクリックすると、画面にはこのような文章が記載されていた。


『異世界ネタのブログ記事紹介サイトにようこそ。

本サイトはブログを作るために必要なブログ記事のネタを提供しております。

異世界では日々さまざまな体験がございます。


・ダンジョン奥深くでの激しい戦い

・街や村での出会い

・知識や経験を活かした商売

・異世界ならでは料理

・美しい神殿やきらびやかな王宮


大変貴重な異世界ブログ記事のネタを無償で提供しています。

しかし、無償提供には条件がございます。

当サイトで得られた情報をブログ記事として提供していただくことです。

また、利用にはサイトへの会員登録が必要です」


『会員登録しますか』の文字の下に『はい』と『いいえ』のクリックが見える。


なぜ会員登録が必要なのか、疑問に持ちつつ、『はい』をクリックする。

すると、氏名や住所等の入力欄がでてくる。

きっと疲れていたのだろう。

セキュリティだの不正アクセスだのと叫ばれるこのご時世である。

そのご時世に、怪しいサイトに個人情報をどんどん入力していく。


「最後におれのブログサイトのアドレスも登録っと」


なぜブログのサイトも必要なのか考えつつ、登録完了の画面が表示される。

しばらくすると画面が変わり、森林だろうか、森の中であろうか、幻想的な森の中を背景に画面が切り替わる。

その画面の中央に短い文章が記載されている。


『登録は完了しました。異世界にいきますか はい いいえ』


とりあえず『はい』をクリックする。







そこはうっそうとした森の中であった。







「ほう・・・」



森林の中でどれだけいたであろうか。

長く感じたが、おそらく数分であったと思う。

最初は正直驚きの方が強かった。

その感情はだんだん喜びに変わっていった。


「そうか、異世界にとうとう来れたんだ」


異世界にきたと喜びをかみしめるブサイクなおっさんが1人森の中で立っていた。


「平地の森は日本ではあまりないらしい」


どこかの授業で聞いたようなウンチクが頭をよぎる。


「声のトーンや体格的にそのままの感じだな。そのままの移動だからこれは転移か」


異世界に来たということを信じつつ、自分の手や足を見てみる。

しかし服装は変わっていた。

助かった、自分の部屋にいたからいつもどおりトランクスにTシャツだったのだ。

麻だろうか、ごわごわした薄茶色の上下にゴムではないサンダルのような草履のようなものをはいている。


「激しい冒険とか言っていたのに、剣もってないじゃん」


そんなことはいい。

剣はいると思うが今はいい。

もっと優先すべきことが異世界にはある。

異世界に行ったら叫ばなければいけないことがあるのだ。



異世界に飛ばされたおっさんのブログ活動が今始まったのである。

こちらの作品につきましても、ぜひお読みいただけたらと思います。


『ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界に転生する~』

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