表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/22

新作展

本庄が近づいて説明する。

「亡くなったお母さんの形見やそうで」

「形見?日本人の血が混じってんのか?」

「さあ、ようわかりませんが」


奥さんが笑顔でうなづきながら、

「着てる着物もいいけど、この微笑み、

モナリザみたい。やはり眼差しは超一流ね」


二人は10枚を丁寧に眺め、見つめ、ため息混じりに

顔を近づけ、ぶつぶつ言いながらうなづいていた。


急に奥さんが顔を上げて、

「ねえ、あなた。この夏の新作展『関西水彩コンテスト』

に出品してみましょうよ。まだ間に合うわ」

「そうやな。1点に絞って出してみよか」


本庄はじっと二人の会話のなりゆきを眺めている。

奥さんが本庄に向き直って、

「ねえ、本庄さん。あとは私達に任せてといて。

どこまでいけるか分からないけど。入選は狙えるわ」


「はあ?」

「最終発表は8月末ごろ。それまでこの10枚預からせてね。

絶対に悪いようにはしないから。題はもちろん、

『朱家角のひと』オーケーね?本庄さん!」


本庄は奥さんの迫力に押されて小声でつぶやいた。

「ええ、どうかよろしくお願いします。これから

春の観光シーズンで店の方が忙しくなりますので」


「分かったわ。何かあったら連絡します。

私達に任せといて。ねえ、あなた」

「ああ、ひょっとしたらひょっとするで」


「では、よろしくお願いします」

本庄はそう言って画廊を出た。



春の観光シーズンは6月一杯続く。修学旅行と

一般の観光客とで嵐山はごった返す、

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ