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肉奴隷から王子様!?  作者: 多人 重説
12/13

座談会? 進まんのかい? 進むのかい?

おくれたしまってもうしわけございません

……まったく、どうなってんだか……

非公式とはいえこれが二回目の護衛になるわけだが、いったいどうなっているんだ。ここの『護衛』という仕事はどこかぶっ飛んでいる。初めての仕事は一国の王の護衛。社長の気まぐれにより俺たち新入社員にこの仕事のイロハを教えるついでに全員で護衛するということが言い渡されたときは少し驚いた。しかし、この護衛は結局『イロハを教えるついでに楽しく護衛』なんてことはできる状態ではなかった。副社長は死に、社員の約半分が死亡・安否不明、とどめに護衛対象も死んでしまうという不祥事が起こった。結局この影響で者は休館に追い込まれさらに新たな陣人の確保に全体があわただしく動いているときにおこったこの事案、このことで幹部は結構あわただしくなっていた。どれほどかというと俺たちが護衛許可を取りに来た時に俺たちの顔も見ずに「いいよ」と一言言って許可のハンコも押すのを忘れるくらい。おかげで俺たちは今ハンコなしの非公式護衛として入り口から見えないところで隠れている。

「ふあ~~ぁ。おい社長、本当に来るのだろうな」

あくびをしながらこの部屋にある時計を見るともう護衛を開始してから三時間ほど時間が経過している。ここまで監視用に開けたドアから見えたものといえば全員うちの社員だけ、しかも社長に殺気を向けるどころか目も合わせずにスタコラとドアの前を走っていくものばかり。屋根裏とかも警戒はしているものの人の気配すら感じられない。

「ああ、私が倒れているふりをしていた時奴が「はっ! こんなもんかよ! …………けっ! その様子だとどうせまだ死んでないんだろう。……まぁ、人が来たみたいだから俺は去る…… が、また夜にでも来るぜじゃあな」と言っていたから来ると思う、正直あの時はミルがもうすぐペアの奴が来るといっていたから下手な抵抗もせずにペアであるおぬしを待っていたのだよ、変に暴れてこの部屋が滅茶苦茶になるよりましだし」

そのおかげで今あんたがいる机に鉄分豊富なトマトケチャップが飛び散っているがな。

「それにしてもまさかあいつがペアを作るなんて……聞いたときはこの国が終わるのではないかと心配したわ、はっはっはっ」

十分あんたの命が終わりかけていたのだが…………それにしても成り行きとはいえあんなに頼もしい相方を巡り合えたことに空の向こうにいるカイン(死んでいない)に感謝しておこう。

それにしてもさっきから一つ気になるというか気付いたことがある。この社長、相変わらず笑顔を絶やしていない。歓迎パーティーの時もそうだった。社長は派手に登場してから最後まで、自分の部下がパーティーの途中で抜けて仕事に戻っても社長だけは最終的に一人残って俺たち新入社員たちと話していた。

無論、笑顔でだ。

単に性格なのかもしれないがそういう性格の奴ほどこういう時は良いほうでも悪いほうでも笑顔を失う……何かあるのだろうか?

「…………あいつはなぁ、不器用なんだよ見た目以上にな。だからペアになったからにはあいつの世話もよろしく頼んだぞ」

「えっ? あ、あぁはい」

答えるより先に疑問が口から出てしまったどういうことだ?ミルが不器用……そんな風には見えないが…… その時俺はハッ! としてあることを思い出した。

今の内容すべて社長を挟んで向こう側にいるミルに聞かれていたんじゃないか?

何だろう 今なら「余計なことを言うな」と言わんばかりの顔で社長をにらむミルの顔が容易に想像できる。

「…………あれっ? 」

俺が恐る恐るミルがいるところに視線を向けるとそこには後ろにある壁にもたれながら気持ちよさそうに寝ているミルがいた。不本意ながら一瞬だけドキッとしたのは言わなければ問題ないだろう(あいつが護衛中に寝ていることにはあえて何も言わない)。

「なるほど。道理でさっきから何もしゃべっていなかったわけだ」

「ん? ああ、ミルのことか。あいつなら小一時間前からずっと寝ているぞ。というか、あいつが起きていたらこんなこと話すはずがないではないか」

確かに、ミルいわく「自分は社長あいつより強い」といっていたが、このことで分かった。どうやら本当らしい。しかし、あいつのことがますます分からなくなってきたぞ。ペアとして大丈夫なのか、俺

 

                         ビュ!! ガッッ!!


「! な、なんだ!! 」

俺が今後ミルとペアとしてしっかりやっていけるかどうかということを考えているといきなり開けていたドアから社長めがけてナイフのようなものが飛んできた。社長は何とか身をねじってかわしてそのナイフのようなものは後ろの壁に刺さった。

「どうやらお出ましのようだな」

いまだ笑顔を絶やさない社長の視線の先に都合よく廊下の逆光で顔の見えない男のような容姿をしたものが一人、おそらくこいつが今回の俺たちが護衛対象に危害を加える者なのだろう。俺はすかさずさっき奴が投げてきたナイフのようなものに近づき横目でそれを見た。

「!」

ちなみに俺がしつこく『ナイフのようなもの』と言っていたにも訳がある。ズバリこれがナイフではないからだ。

これは『具現化魔法』の類か。

見たところどうやらこのナイフのようなものは刃先だけを魔法で具現化している。そのせいかナイフのようなものの刃先が少し紫色に光っている。 ……まあ、この状況でも起きないミルの奴には祝福げきどしてやりたいことだが、今はそんな状況ではない。なんとかしてミルが寝ている間は俺一人でこいつをやらなければならない。

俺がそんなことを考えていると……

「よう、昨日あって以来になるのかな。フロス」

なっ! こいつ、事前に情報を得ていたのか!? 俺のことを知っているとは……・……いや、こいつは俺も知っている。こいつは俺に一番早く寄り添って来て、一番早く優しく接し、今現在のペアであるミルとも何かしらの関係がありそして一番目に俺がペアになった男。その名も……

「…………カイル……」

昨日ミルにやられてその後見かけなくなったカイルとの最悪な再会だった。 

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