‐美紅のココロ‐
次の日の朝、タカユキは青空達に提案をした。
「お前たち、生まれ故郷に行ってみないか?」
その提案に青空たちは唖然とした。
「なんで?あたしたちは青空の記憶が戻ればそれでいいのに…。」
美紅は何かを隠すように言った。
「それもそうだ。でもな、俺が考えるにセアンがお前らを連れてきたってことは少なからず、お前らの故郷に行ってるってことだろ?
それに、俺は一度でいいからお前たちの故郷を自分たちの目で見てきてほしい。」
だめか?とタカユキが問いた。
「行こう。」
まず口を開いたのは奏斗だ。
「せやな~。わしも見てみたいな、わしの親が見ていた世界。」
皐月も奏斗の意見に乗ったようで、ワクワクしているようすだった。
だが、美紅はずっとうつむいていた。
「美紅?ええやろ?」
明るいトーンのまま皐月が美紅に話しかけた。
ボソッ
「え?なんていっt」
「勝手に決めないでよ!!」
そう皐月にいい放つとそのまま外へ走って出ていってしまった。
「み、美紅…。」
追いかけようとする青空を皐月は制した。
「ええよ、ええよ。青空。美紅はわしが追いかけるから。
タカ先生、すまんが話続けててもろうてもええですかね?」
わかった、とタカユキが答える前に皐月は走り出していた。
「奏斗、」
不意に呼ばれた奏斗の頭の上には?があった。
「お前はもう少し考えてから発言しろよ。」
タカユキの顔は確実に怒っていた。それを見た奏斗と青空は震え上がっていた。
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「やっぱりここにいたな~、美紅。お前、なんかあると絶対ここに来るからすぐわかるんよ」
皐月は先程と変わらないトーンで美紅に声をかけた。美紅はそこで独りうずくまっていた。
「さあ、帰ろうや。皆待ってる。」
美紅は一向に皐月の方を見ようとしない。
「なんで…。」
「?」
「奏斗はいつもは何も決めてくれないくせに、こういうときばっかり自分の意見言って!青空は何も言わないし!あなただって、いつもヘラヘラしていきなり突拍子もないこと言い出す!それに…!」
弾丸のように思いを吐き出す美紅の頭を、皐月は優しく撫でた。
「美紅はそこまで考えてくれはったんやなあ。ありがとう。でもな、言いたいことは言ってええんよ。確かに、奏斗もわしも、考えなしで言うてしまうけど、美紅が絶対に正しい方へ向かしてくれるやんか?青空も、なんも考えてないわけやないし。
美紅からしたら、わしらは頼りないかもしれへんけど、少しでも頼ってくれたらええなあと思うで。」
皐月の言葉に、美紅は今まで必死に溜めてきた涙を流した。
「あれ?泣いとるんか?」
皐月はにやにやしながら美紅の顔を覗いた。
「うっさい!帰る!」
「せやなぁ、帰るか。」
美紅は家に着くまで1度も皐月を見ることは無かった。
泣いている顔を見せないために。
今回は皐月と美紅の会話メインでした。長くしゃべらせすぎたかな…?そして、奏斗の登場少ない!次あたりしゃべらせますw
つたない文章と内容ではありますが読んでいただきありがとうございました。
誤字や何かありましたら、教えていただけると嬉しいです。