タカユキの昔話
「タカ先生、なに言うとんの?わしらの家族のこと知らんとちゃうの?」
皐月の声は驚いていて、他の3人も驚いた表情であった。
「お前らにずっと隠してきた。本当にすまないと思ってる。でも、これは、あいつらとの約束で遺言なんだ。お前らへの最後の親としてやれる事だったんだ…。」
タカユキは皐月達を真っ直ぐに見ていたが、その声はどこか堪えているようだった。
皐月たち4人はしばらく顔を見合わせていた。
「私は…。知りたい。私の親がどんな人だったのか…。」
初めに口を開いたのは青空だった。
「あたしも。教えて先生。」
「俺も。」
「わしも。」
ほかの3人も次々に口を開いた。すると、タカユキは4人に対し頭を下げた。
「ありがとう…。やっぱりお前らはあいつらの子どもだな…。」
そして、タカユキは語り始めた。
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知ってると思うが、この国は戦争をしていた。そこで「兵器」として使われたのが魔法使い達。力の強弱も関係なしの「使い捨て」の兵器だ。
同盟国、まぁ形だけのだがな。そこから引き抜かれた魔法使い達が集まって部隊を作る。お前らの親とはそこで出会った。
皐月の両親は ベルデ
美紅の母親は クラース
奏斗の父親は アマレ
青空の母親は セアン
俺はセアンとは幼なじみだったが他のの奴らは同盟国から引き抜かれて俺と同じ部隊になった。
俺は絶望しか無かった。この時は戦場に行ったら2度と帰ってこれないと言われていたから。だが、奴らは違った。「国にはまだ幼い子を残してきた。その子のために生きて帰らなきゃいけない。」そう言っていた。奴らは希望を捨てていなかったんだ。
俺らはかなり長く生き残っていた。それでも、終わりはあっけなかった…。
敵国軍が圧倒的な武力を投じてきた。そこでお前らの親は俺とセアンの目の前で死んでいった…。
その時だ。セアン、青空の母親が゛闇落ち゛してしまったのは。
セアンは人一倍正義感が強くて、魔力もあった。だからなのかもしれない。俺があの時何か一言でも声を掛けてやれば良かったのかもしれない。
闇落ちは自分の魔力をはるかに上回って使うとなる。あの時のセアンには憎しみしか無かったんだろう。
闇落ちして、最大限の魔力を使い、敵国軍を全滅させた。1人でだ。
その日からセアンの行方は分からなくなった。
しばらくして戦後の混乱が少し落ち着いてきた頃、セアンはお前らをここへ連れてきた。それがこの孤児院の始まりなんだが。
「この子達を守って欲しい。それが死んだ奴らへの償いだ。」
それだけを言い残して去っていってしまった。
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「これがお前らの親と俺とのの関係だ。」
タカユキが話し終わる頃にはもう外が暗くなっていた。
「そらの母親は?今生きているの?」
美紅はせがむようにタカユキに問いた。
「どこかの国で戦争に加担してるとは風のうわさで聞いた。だが、真実かどうかわからない…。
俺が思うに、そらの記憶を隠したのは恐らくセアンだ。」
「え…?」
青空はわけがわからない様子でタカユキを見つめた。
金曜日更新しなくてすみません…。データが吹っ飛びました…。
タカユキの語り回でした。タカユキの性格も分かってきましたね。そして青空達の親も出てきました。これからももう少し出ると思います。
つたない文章と内容ではありますが、今回も読んでいただきありがとうございます。
誤字や何かあったら教えていただけると嬉しいです。