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君の見ている空の色は  作者: pochi
第1章〜晴天の霹靂〜
1/5

プロローグ

皆さん初めまして、pochiです。

なるべく完結を目指して頑張りますのでどうかよろしくお願いします。

〜201X年 中東某所の林〜

とあるテログループの幹部を捕獲もしくは殺害する任務を遂行し狙撃ポイントから移動する。そこまではよかったんだ。

観測主である相棒が撃たれ、被弾を避けて逃げていると本隊との合流ポイントに遅れてしまった。

間も無く相棒は静かにまるで眠るように息を引き取った。シールズに配属されてから初めてみた戦友の死。

悲しむ間も無く敵からの追撃が襲う。

俺は相棒の死体から認識票(ドックタグ)を取り、握り締めながら林の中を走り続ける。

既に本隊からは別の合流地点と時間が送られて来ていてヘリでの回収が予定されていた。


「はぁはぁ…」


荒く、 不規則な呼吸をしながら木の生い茂った林を全速力で走る。

着ている迷彩服や肌の露出している顔や腕には軽い切り傷があるが今は気にしていられない。

額から流れている汗が血と混ざり多少変な味がする。

『走れ!ソラ!急いで合流しろ!』


耳に付けたインカムから流れて来る上官からの無線はそう俺に叫んでいた。いつも怒鳴られたり弄られたりして慣れているはずの怒声がこれ程までに頼もしいと感じたことはない。

しかし、今の現状ではどうすることも出来ない。


「駄目です大尉。俺を待たずに行ってください!このままではヘリが無事に離陸できません!」


そう返答を返しながら後ろに迫って来る敵へ銃弾をばら撒く。

銃口から吐き出された5.56×45mm NATO弾が数人の敵に当たったのが見て取れた。しかし、それは敵が近づいているという証拠でもある。

木が多く正確な数は分からないが50人以上は居るだろうか。どう考えても切り抜けるのは絶望的だ。

次第に聞こえるヘリのローター音。しかし、このままでは仲間が危ない。


「自分は大丈夫です!逃げ足なら基地でも一番の自信はありますからね。だから後で必ず迎え来てください!」


手に持つ愛用のアサルトライフル、『HK416』の残弾が無くなる。マガジンを変えている余裕すらない。俺は急いで背中に背負っている大型の狙撃銃『バレットM82A1』を構える。

全く重たい銃だ。こいつの所為でこんな状況に陥っているのかもしれない。

商業目的及び今回の作戦を考慮しての大口径ライフルがここに来てあだになったのだ。

小さな笑みをこぼしながら狙いも付けずに二発程敵に向けて放つ。12.7×99mm NATO弾は一番近くにいた敵兵を粉々に吹き飛ばしたのが目に入った。やはり威力的には文句はないがどうも扱いにくい。

なんて銃について文句を思い浮かべていればインカムから上官の声が聞こえる。


『…分かった、我々は一時撤退する。しかし、必ずお前を迎えに来る。それまで死ぬ事は許さん!これは命令だ!いいなソラ・イヌカイ二等海曹。』


そう来たか、


「命令とあっては生き残らないと駄目ですね。分かりましたジョン・ビケッツ大尉。なるべく早く来てくださいね。あと、基地に着いたら夕飯は大盛りにしといてくださいよ。じゃないと俺グレますからね。」


なんて軽い冗談を混ぜながら返答をする。


『ははっ!全くこの食いしん坊め…。分かった。バートン軍曹に言っておこう。だから必ず生き残れ。』


大尉のその言葉に基地の厨房にいる黒い肌にムキムキ肉体、それに似合わない白のエプロン姿のバートン軍曹の姿が思い浮かぶ。


「了解しました。」


そう短く無線を返すと空へと上がっていく輸送ヘリが目に入る。

どんどんと離れていくその機体を見つめながら走るペースは落とさない。命令を守らなければならないからな。


「全く、明日が誕生日だってんのにとんだ厄日だぜ畜生。」


そう文句を吐きながらバレットの弾も撃ち尽くす。いよいよヤバくなってきやがった。

バレットを両手に持ったままほぼ全力に近い速度で林を駆ける。


ドスッ!


鈍い音が聞こえれば身体が急に重くなる。次第に脇腹が赤く染まり出すのが見て取れた。

あぁ…被弾した。


ドスッ!ドスッ!


今度は右肩と左脹脛に一発ずつ。それと同時に身体を支えられなくなり地面へと滑り転ぶ。

致命傷ではないが痛みと疲労が一気に押し寄せる。

傷口が熱く血が流れて行くのがよく分かる。


「ぐっ!はぁはぁ…。まだ、まだ動けるよな!」


全身をめぐる痛みに声を上げるがまだ左手は動かせる。なら這ってでも生き延びてやる。

必死に左手を使って前に進む。

その間にも後ろから大勢の敵の声、沢山の銃声が聞こえて来る。


「…すみません大尉…ここまでみたいです。」


前に進みながらそんな弱音が漏れてしまった。

映画ならここで煙草を吹かすんだろうが生憎煙草を切らしていた。

動かす左手にも力が入らなくなってきた。

後は追い付かれて殺されるだけだ。


「…畜生…!」


涙交じりにそう呟くと次の瞬間身体が浮いたような感覚に襲われる。まるで落ちているような感覚だ。いや、実際に落ちているのか。

這っていて気が付かなかったがどうやら崖があったらしい。

あぁ、これで俺は死ぬんだ。これで親父やお袋、先程死を看取った相棒のところへ行けるんだな…。

そう思うと気が楽になってきた。

心残りは大尉との約束とバートン軍曹の夕飯、基地で世話していたハスキー犬のジョンの事だ。しかし、今となってはどうすることもできない。


「…すみません…大…尉。俺…約束守れませんでした…。」


血が滲み赤く見える空を眺めながら血混じりに言葉を漏らす。

そして、ゆっくりと瞼を閉じていけば静かに意識を離すのだった。




そうして俺、アメリカ海軍SEALs所属 ソラ・イヌカイ( 犬飼 空 )の地球での記憶がそこで終わった。


質問、指摘、アドバイスなどお待ちしております!

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