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バスケやろうよ  作者: みなもと とおる
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新人研修

「横山市役所平成20年度 新採用研修」が始まった。

 4月2日から10日間。綾たち新採用職員は、港に近いところにある「横山市研修センター」で新人職員に対する研修を受け、最後の2日は福祉施設でボランティア体験を履修したあと配属先にいくという 予定だった。

 2日間は大教室で「地方公務員としての正しいありかた、考え方」みたいな座学を受けた。

そして3日以降はクラスに分かれての研修になった。

 新採用職員はだいたい120名くらいの人数がいた。その中で1クラス30名のクラスをAからDまでの4つに分けられた。その中で綾はBクラスだった。

 クラス別になった日、綾が席に着くと見覚えのある女の子が歩いて来た。

「こんにちは。面接、一緒だったよね。あたし、山下 香澄かすみ。」

「はじめまして。じゃないんだ。あたし中嶋 綾」

「中嶋さん、綾ちゃんって呼んでいい?」

「いいよ。でもあなたはなんて呼ばれたいの?」

「あたしはやましたって呼んで。ねえ、綾はバスケやっているんだよね。面接のとき

にそう言っていたよね。」

 この時点で「ちゃん」は付いていなかった。

「そう。あまり上手くないけど。中・高って部活でやってて、大学ではサークルで週1でやってたの。」

 そこへ、また見覚えのある長身の男性が綾と山下の前に立っていた。

「よう。二人、バスケやるんだ?」

その問いかけに、山下が答えた。

「あなたも、面接で一緒だったね。」 

「ああ。俺も綾ちゃんの面接のときのバスケやっているって。覚えてる。」

 綾は男性の笑顔を下から見上げながら聞いた。

そうなんだ。あなたは?」

「俺は加藤 たける俺もバスケやってるよ。」

「俺は高から始めて、大学は5部だったけど部活だったよ。」

 バスケ仲間がいきなり現れた。綾は何か嬉しくなった。

「山下。さんは?」

「あたしも中・高ってやってた。大学は同じ。サークル。」

綾は加藤の方を向いた。

「すごいね。大学の部活なんて。あたしのいた田舎の大学でも部活にははいれなかったな。」

 綾はそう言うものの、本当はアルバイトしなければいけなかったから部活に入る余裕がなかったからだが。

「ねえ。お昼、3人で食べない?近くにチャイナタウンがあるんだよ。」

「おっ。いいねぇ。行こうか。」

・・・・

「ごめん。あたしはお弁当だから。」

「すごいね綾。自分で作っているの?」

「ていうわけじゃないんだけど。」

 綾の昼食はツナサンドと野菜生活だった。

研修が終わり、Bクラスの有志で近くの居酒屋で「親睦会」を開くことになった。

「綾も行かない?親睦会」

神木しんぼく会?何かのお祭り?」

「飲み会よ。行こうよ。タケルも行くって。」

・・・・

「今日は ちょっと用があるんだ。」

「そか」

クラス別研修の二日目。綾と山下とタケルの3人は固まって座っていた。

お昼は山下もタケルも弁当をもってきた。

「綾もタケルもコンビニでお昼買っているけど、コンビニのって防腐剤とか入ってい

るからよくないんだよ。」

「そうなの?山下は?」

「あたしはオリジン弁当だよ。手作りで安心だよ。ここに来る途中にあるよ」

「そか。」

 タケルが感心しながら言った。

「香澄はそーゆーの、気にするんだ。」

「あたりまえだよ。それとあたしは香澄じゃなくてやました。」

「お前だって俺のことタケルって言うじゃん。」

「加藤じゃつまんないでしょ。」

 研修が終わり、綾が帰ろうとすると山下が

「ねえ。マック行こうよ。夕飯がわりにさ。」

 と、誘った。

「いいね。ビックマックのLLLセットだな。」

「Lがひとつ多い。」

 綾は2人のやさしさを感じた。100円マックと爽健美茶のSで200円で済む夕

食。そして山下は綾にサラダをおごった。


 研修最終日。いよいよ配属が決まる。タケルは綾と同じ社会福祉職だった。配属先

は児童相談所だった。山下は事務職。配属先は福祉局。

 そして、綾は京浜区役所の生活保護課だった。


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