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バスケやろうよ  作者: みなもと とおる
16/39

アクシデント

26ー21。京浜区のリードで前半が終わった。

「マサコ。すごいなぁ。」

 周がつぶやいた。

「福祉。あの新人君もいいな。ただ、宮本は抑えているからな。さすが三宅。」

「周さんもマスを抑えてますよ。」

田中が言った。

 後半開始。福祉局のボール。ドリブルで持ち込んだ大迫がジャンプシュートをうった。ボールがリングを跳ね、三宅と宮本がリバウンドに行った。


この時、アクシデントが起きた。競り合ってリバウンドに行った二人がもつれるように倒れた。

 ボールはエンドからコートを出た。宮本が起きあがった。しかし、三宅は横転しがらコートの外に出た。

「いて。」

「大丈夫か?三宅?」

 周が駆け寄った。

「ちょっとやばい。」

 三宅の右足は肉離れを起こしていた。三宅は退場し、代わりに綾が入った。

 

三宅に替わって石垣が宮本に付くのか?明らかに宮本のレベルが上だった。

「ガキさん。宮には俺が付く。妙ちゃん。あの子のスリーは止めて。」

 田中が指示を出した。

「綾ちゃんは絶対にマサコには負けんな!。」

「はいっ。」


 しかし、この後福祉局の猛攻が始まった。田中のマークがはずれた大迫は妙のデフェンスを全く意に介さない。

 綾が大迫にダブルチームに行くと、ライン際を抜けてフリーになった小澤に大迫からパス。

 小澤は角度の無いシュートを放ちボールはゴールを抜けた。

 三宅が抜けた穴はやはり大きいのか、次の京浜区の攻撃は24秒オーバータイムになった。

 福祉局の攻撃。宮本には田中が付いているので増山はまた、外へパスを回した。

 小澤から大迫へ速いパスが飛んだ。

「あっ。」

 妙の目の前で大迫がシュートを撃った。スリーが決まってついに福祉局が同点に追いついた。


「よーし!いいぜ。」

 増山の声がコートに響いた。

 京浜区の攻撃。エンドから妙が周にボールを入れると、間髪入れずに低い弾道のパスが前に飛んだ。

増山も大迫も意表をつかれた。パスは右コートをダッシュする田中の手にミート。そのままフリーのランシューがゴールした。あっと言う間の速攻。ゴールを決めた田中はその勢いのまま

「オーッ!」

と叫びながら周に胸をぶつけた。

「集中!」

 田中の声に答えるように京浜区のメンバーは素早く自陣に戻った。

「いいぞ!田中!」

 ベンチの三宅から声援が飛んだ。

 このディフェンスは妙と綾の集中力がすごかった。動きもさえた。

 大迫のスリーを警戒しながら、抜かれまいとの必死のディフェンス。

「綾!ダブル!」

 妙の指示に綾も大迫についた。女子2人のダブルチーム。女子とはいえバスケをやりこんでいる二人に囲まれそうになった大迫。

 だが、これは小澤をフリーにするチャンスを大迫が待っていた。

 大迫から小澤へのパス。

 その瞬間。田中が外へ飛び出してボールをカットした。

 田中はものすごい速いドリブルでそのままゴール。あっと言う間のプレイ。


「田中!爆発!ヒューッ!」

 ベンチの三宅の声が響いた。

 追いつかれた京浜区はこの田中の2本のシュートで再び福祉局を引き離した。

「宮を使う。宮!いくぜ!」

 増山がボールを運びながら指示を出した。宮本対田中。宮本の方が田中よりも背が高く体もごつかった。

「させないよ。」

 田中が手をあげて宮本についた。周が増山に寄った。

 すると増山から右エンドライン近くでフリーになって走る小澤にパスが飛んだ。

「あーっ」

 小澤のシュートが決まった。


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