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バスケやろうよ  作者: みなもと とおる
15/39

対福祉局戦

そして京浜区役所対福祉局の試合が始まった。

 お互いスタメンは前回と同じだった。

「妙先輩。がんばって。」

「おう!がんばるぜ!」

 妙ではなく、三宅が答えた。

「マンツーでいこかな。ディフェンス。田中。マスな。みやけんは宮本大丈夫だろ石垣さんも相手をフリーにしないで。」

「周さんは。あの子。大迫くん。」

「おれの半分くらいの子だね。」

 年齢の話だ。


 ゲームが始まった。ジャンプボールは三宅が制した。三宅から周にパス。ボールをキャッチした周は前を走る田中と妙を見た。しかし、パスは出さなかった。

 福祉局がディフェンスに戻った。

「あっ!」

 増山が声をあげた。その時には三宅が周からのパスを受け、ゴール下からシュートを決めていた。

 福祉局の攻撃。

 福祉局のガード大迫のマークに付く周。厳しいマークだった。ドリブルで何とか周のスティールは防いだが増山には田中が、宮本には三宅がやはり厳しいマークをしていた。

「さこ!ちょうだい!」

 外にいた小澤がパスをもらいに来た。

 大迫は小澤の方へ顔を向けた。

「パス!」

 大迫はそう言うと、周の横をドリブルで抜けようとした。

「フェイク?」

 綾が言ったと同時もしくはその一瞬前に、周が大迫のドリブルをはじいた。

「えっ?」

大迫が振り向くと既に、周は自分がはじいたボールをキャッチし、ドリブ

ルであっと言う間にゴールを決めた。

 

「さこ。俺が運ぶ。」

エンドから宮本が入れたボールを増山が受けた。

「マーク。変わろう。」

周が増山に付いた。速いパスで大迫にボールがわたった。ボールをキャッチした大迫の流れるようなフォームからのスリーが大きく弧を描いた。

「ありゃま。」

 三宅があきれ気味に言った。ネットにきれいに吸い込まれるシュート。田中の表情が厳しくなった。


 第1クオーターは12対6。京浜区役所のリードで終わったが、福祉局の得点は人大迫のスリーが2本決まってのものだった。

「あの新人君に打たれるのはいいぜ。増をノーゴールにした方が大きいな。宮もみやけん(三宅)が完全に押さえてるし。」

 周が手を叩きながら言った。

「うちはみやけん中心に決める、いつもの攻撃が出来てる。田中もゴールしてるし江川もシュート決めたしね。中嶋はもう少ししたら出るか?」

 周にそう言われて妙も三宅も笑顔だったが、田中の表情は硬かった。

大迫のマークを振り切ってのゴールではなかったからだ。 


 第2ピリオドが始まった。

 福祉局はボールを増山が回し、大迫と小澤はスリーポイントラインの外でパスを回した。パスを受けた増山のスリーポイントシュートが決まった。

「まずは同点!」

 増山が叫んだ。すると周がドリブルで増山を抜いた。宮本が周に付いた。次の瞬間、周から三宅にパス。フリーの三宅がゴール下のシュートを決めた。

「周さん、撃たないんですか?」

 増山が言うと

「お前、スリー上手くなったな。」

 周が答えた。

 次の福祉局のオフェンスは、小澤のスリーポイントシュートでの得点。徐々に福局が点差を詰めてきた。


 次の京浜区の攻撃。マークに付く増山のディフェンスの意表をつくように周がスリーポイントシュートを決めた。

 前半は21対15。京浜区のリードで終わった。しかし、福祉局も離されないよに必死だった。 

「後半、中嶋、出な。」

 周が言った。前回の若葉区とは実力の違う福祉局。いつも一緒にバスケをやってる仲間だが、お互いに負けるわけにはいかない。綾の心は張りつめていた。

「がんばれ。綾。」

 妙が言った。綾の相手は小澤、怖いくらいに厳しい表情の小澤。

 増山からのパスを受けた小澤はパスを受けるとそのままジャンプしてスリーポイトシュートを撃った。

「あっ。」

 振り返る綾の肩の後ろでボールがゴールを抜けるようにネットに吸い込まれた。

「ありゃりゃ。」

 三宅が言った。


 次の京浜区の攻撃。三宅がゴール下でシュートを決めた。小澤のマークが厳しく綾にはパスは出なかった。

 福祉局の攻撃。大迫への田中マークは隙の無い厳しさだった。増山自身、周が付ている中でスリーには行けない。宮本は今日の三宅には完全に抑えられていた。

「こっち。」綾のマークを振り切った小澤に増山からパス。綾がブロックに行くその一瞬。小澤のスリーポイントシュートが放たれた。

 ボールはボードをはね、ゴールを勢いよく抜けた。

 周が妙に合図した。綾は妙と交替した。

 何も出来なかった自分。それどころか小澤に2本のスリーポイントシュートを決められてしまった 心がへこむ。それは今の自分の心の状態だろう。


 前半はあと1分。小澤のスリーで福祉局は追い上げムードになった。

「集中!」

 増山の声が響いた。ドリブルでキープする周。タイムが21秒。シュートしないと。って綾が思ったそのとき、周がスリーポイントシュートを放った。

 右45度から放たれたシュートは勢いよくネットを抜けた。

「わーっ。」

 綾が叫んだ。へこんだ綾の心はこのシュートではちきれんばかりに膨らんだ。


 

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