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バスケやろうよ  作者: みなもと とおる
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横山市役所職員バスケットボール大会

横山市役所職員バスケットボール大会は11月の第1週の土曜日から12月の第1週の土曜日まで、約1月かけて行われる職員交流を目的としたレクリエーション大会だった。

 この「職員○○大会」はバレーボール、バドミントン、卓球、テニス、ミニサッカー(フットサルなんだけど使用球がフットサルボールでは無く、4号球のためミニサッカーという競技名で開催している。)つなひき、そしてバスケという7種目で毎年6月のバレーボールから始まり12月のバスケで終わるスポーツ大会だった。

 会場はテニスとつなひきを除き、「平川記念体育館」という横山市所有の体育館が使用されていた。

 綾たちが所属する京浜区役所はこの5年間負けなしの5連覇だった。 

それは、周、三宅の二人の市役所バスケ部のレギュラーに加え、昨年までは佐々木と藤澤というやはり二人のバスケ部員がいたからだった。

 それにバスケ部員では無いが田中もいるので横山市役所では「無敵」のバスケチームと言える存在だった。

「無敵・京浜区バスケ」この「称号」に誰よりもこだわっていたのは周でも三宅でも無い。田中だった。 


バスケ大会が近くなり、田中の雰囲気が違ってきていた。頻繁に生活保護課に現れるようになった。

「今度は東区と練習やるよ。来週の火曜日。えーっと。菊田地区センター。妙、それに綾ちゃん。行けるよね。確認は、石垣さん、三宅さん。取れてる。二人も来れるね。」

 田中が妙と綾に言った。

「周さん。東、行かない?」

 妙が小森に言った。

「わかってて聞くな。おれはゲームだけ参加。職員大会は職員交流が趣旨だろ。おれのバスケは交流が目的じゃねえ。」

「屁理屈。今年は綾もいるのに。」

「周さん。いきましょうよ。」

「…お前のバスケ、見てみたい気もするけどな。」

「じゃあ、いきましょう。」

「こんどな。」

 結局、周は東との練習には参加しなかった。

 そして、火曜日。菊田地区センターには三宅もみんなと一緒に来た。

 東区役所は男性4人、女性2人だった。綾たち京浜区の5人が到着すると、地区センターではすでに東区のメンバーはアップをしていた。中心者の長身の男性と田中があいさつをした。

 いつものように挨拶→アップのあと、5対5のゲームになった。

 この日、三宅、田中はとくに気合いが入っていた。

 東区もそんなに悪いチームではなかったが本気モードの三宅、田中は相手をまるで寄せ付けなかった。


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