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七人の迷い人

「あの、あなたたちはこの館の持ち主なんですか?」


私は尋ねた。


「いや、実は私たちもあなたと同じで道に迷ったんです。そしたらたまたまこの館を見つけたから今夜はここで夜を過ごそうと思ったの」

「え、そうだったんですか」


あの道は結構迷いやすいのだろうか。


「あ、自己紹介がまだでしたね。私は南芹香と申します。年は十六で探偵をやっています」

「十六で探偵!? すごいね。私は阿部求実、二十歳よ。で、こっちが私の幼馴染の横山尚子。私と同じで二十歳だよ」

「よろしくね、南さん」

「はい。よろしくお願いします、阿部さん、横山さん」


私は二人に挨拶した。


「それで、館の持ち主に会わせてくれませんか? ここに泊まる許可をとりたいので」

「この館の持ち主なんていないよ」

「え!?」

「私たちがここに来た時に館中探したけど、人は一人もいなかったんだ。この館って多分相当古いものだと思うし、人は住んでないだろうとは思ってたけど」


確かに外観は古びていた。

ということは、もう何年も前からこの館は無人だったのだろうか。


「そうだったんですか。じゃあ今は私たちだけなんですか?」

「ううん、私たち以外にも道に迷った人が何人かいたみたいで、その人たちも一緒だよ」

「なら、その人たちのもとへ案内してくれませんか? 一応挨拶はしておきたいので」

「おーけー。じゃあ行こうか」




この館にいる人たちに挨拶をするために、広場に案内された。

そこには、数人の男女が私たちを待っていた。

どうやらこの館にいるのは私を含めて七人のようだ。

広場で待っていた四人のうちの一人の男性が、横山さんに話しかけてきた。


「またお客さんが来たの?」

「はい。女子高生探偵の南芹香さんです」


女子高生探偵って。横山さんに勝手に変な異名をつけられてしまった。


「み、南芹香です。年は十六です。よろしくお願いします」

「よろしく。俺は桑原正志。二十一歳の大学生だ。今日は一人旅をしていたんだが、途中で山道に入っちまって道に迷ったんだ。そしたらこの洋館にたどり着いたってわけ」

「そうだったんですか」

「ああ。てなわけでよろしくな。それにしても女子高生探偵とは珍しいな」

「あはは……」


私は桑原さんに挨拶をした後、他の人たちの方へ体を向けた。


「あなたたちのお名前も伺ってもよろしいですか?」

「もちろん。僕は桶川琢磨。年は十七歳だよ。僕はそこにいる高山と同部活に入っていてね。探検部って言うんだけど、今日は部活動でこの館で一晩あかそうってことでここに来たんだ。よろしく、探偵さん」

「で、俺がその高山健二です。年は桶川と同じ十七歳です。よろしく」

「あ、私は内田愛梨です。年は十四歳です。今日は山奥でやっていた展示会を見に行ってたんですが、その帰り道で道に迷ってしまってここに辿り着いたんです。よろしくお願いします」


私は三人に軽く挨拶した。


「それにしても、内田さんは私と同じ理由でここに来たんですね。私もあの展示会の帰り道で迷ってここに来たんですよ」

「そうだったんですか。もしかしたら、展示会で会っていたかもしれませんね」


やはりあそこで展示会をやるのは危ないのではないだろうか。今度雪乃さんに言ってみよう。


「あ、桶川さん。一つ聞いてもいいですか?」

「何?」

「さっきの自己紹介で思ったんですけど、桶川さんと高山さんて、以前からこの館のことを知っていたんですか?」

「ああ。この館は廃墟マニアには有名でね。何でも、五百年前の中世の館を再現して作られたものらしいんだ。でも館の持ち主は飽きてしまったらしくてね。すぐに別の館をつくってそっちに移ってしまったんだっていう噂があるんだよ」

「飽きたって……」


そんな頻繁に新しい館をつくれるほどその人物はお金持ちだったのだろうか。


「よし、自己紹介も終わったし、部屋割りを決めようぜ。幸い、この館は広いから全員分の部屋はあるしな」


桑原さんが提案した。確かに、一晩しか泊まらないとはいえ部屋割りはきちんとしたほうがいいかも。


「さっき廊下で見取り図を見たんだけどさ、この館には客室が一階に四つ、二階に五つあるみたいだから、一階に女子が泊まると丁度いいんじゃないかな?」


阿部さんも一つ提案した。


「俺は別にかまわないぜ。探検部の二人は?」


桑原さんが桶川さんと高山さんに尋ねた。


「僕たちも大丈夫ですよ」

「やったー。じゃあ私は尚子の隣の部屋ねー」

「ちょ、ちょっと、重いよ求実ちゃん」


阿部さんは横山さんに飛びついた。横山さんは嫌がっている素振りを見せるが、まんざらでもなさそうだ。よほど仲がいいのだろう。


「よーし、じゃあ私たち美少女四天王は荷物を部屋に置きに行こう! さあ、出発、出発」


阿部さんはご機嫌な様子で部屋へ向かった。美少女四天王って、私も入っているのかなあ。

私もさっさと部屋に荷物を置きたかったので、二人の後についていくことにした。


「じゃあ皆さん、お先に失礼します」

「おう。よし、じゃあ俺たちもさっさと行こうぜ」

「そうっすね」


男子勢も二階へ向かって行った。


「じゃあ内田さん。私たちも行こうか」

「はい」

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