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展示会 2

私は制服に着替え、清めの鏡が飾られている部屋へと向かった。

中に入ると、何人かの警備員がすでに来ていた。

どうやら他にも控室があったらしく、ここにいる人々はそっちで待機していたようだ。

私もさっそく指定された配置についた。ここからお昼までずっと見張らなくてはいけない。その後休憩を取り、午後は閉館時間まで見張るというスケジュールだ。

私にとっては初めての仕事なので、気を引き締めた。

よし、頑張るぞ。




昼休憩になるころには、私は参っていた。


「ただ見張るだけってのも大変なのね……」


最初は簡単そうだし大丈夫だろうと思っていたが、意外と忍耐力と集中力を必要とする仕事だった。まだ半分あるというのに、もう疲れ切っていた。

私は控室に戻った。そこでは、岡田さんが出迎えてくれた。


「お疲れ様です。こちらが昼食です」

「わあ、おいしそう!」


昼食は祇条家が出してくれるとのことだ。豪華なお弁当が出てきた。

お菓子といいお弁当といい、食べ物がおいしい。

私はあっという間に完食した。


「ふう。おいしかった」

「光栄でございます」


お腹もいっぱいになったし、後半戦も頑張ろうと私は意気込んだ。




午後も私は鏡を見張り続け、閉館時間になった。


「お疲れ様です。本日はここまでとなります」


時間になったので、私は控室に戻り、帰宅の準備を始めた。


「お疲れ、芹香。どうだった?」


雪乃さんが話かけてきた。お世話になったし、一言挨拶してから帰ろう。


「そうですね、非常に疲れました。ちょっと舐めてかかってましたよ」

「そっか。護衛は今日だけだっけ?」

「はい」

「そっか。少し寂しいな」


笑顔だった雪乃さんの顔が曇る。同年代の友達がいないと言っていたし、本当に寂しいのだろう。


「大丈夫ですよ。また遊びにきますから」

「本当!?」

「ええ、もちろん。だから、連絡先教えてください」


私たちは連絡先を交換した。


「……」


雪乃さんの目に涙が出ていた。そんなに喜んでもらえるなんて。


「では、私は帰りますね。本日はありがとうございました」

「よろしければ、駅までお送り致しますが」


これは嬉しい申し出だ。しかし、先生の教えでは安直に相手の好意にはすがってはいけないと言われている。


「大丈夫です。そこまでお世話になるわけにはいきません」

「左様ですか。では、出口までご案内致します」


岡田さんに連れられて、私は出口まで向かった。




「本日はお世話になりました」


最後に私はもう一度二人にお礼を述べた。


「また遊びにきてね。絶対だよ!」

「はい。必ず」

「あ、そうだ。これ、よかったら探偵事務所の皆にあげて。私の会社でつくったお菓子だよ。味の感想よろしくね」

「ありがとうございます。ではまた」


お礼を言い、私は帰路へ就いた。

後ろを振り返ると、雪乃さんが手を振っていた。私も振りかえすと、彼女はさらに大きく振り返してくれた。

それを見て私は、先生の言葉を思い出していた。


『探偵という職業は決して楽なものではない。悲しい事件を担当したり、意味不明な仕事だって受けなければ食っていけない。しかし、その中で様々な人たちと知り合うことができる。仕事を受けた瞬間にその人たちと会うことは決定するんだ。私はその一期一会の出会いを大切にしていきたいと思っているよ』


雪乃さんや岡田さんと出会って、私は人と触れ合うことがこんなにも楽しいことだったのを知った。私も一期一会の出会いを大切にしていきたいと思った。

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