表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/19

最後の捜査

犯人がどんな暴挙に出るのかわからないので、一刻も早く謎を解かなければならない。

だが、最初の捜査のときと違い、今は犯人の目星はついている。どうも怪しい行動や発言をしている人物がいるのだ。それら一つ一つは小さなことでも、積み重なっていけば怪しくなってくる。その怪しい行動をどう事件の謎につなげていくかは私次第だ。必ず解いてみせる。

まずは、館の二階を探索しよう。

男性三人が泊まっていた部屋以外は、全て空き部屋で鍵はかかっていない。つまり、私が先程推理した部屋に戻ったと見せかけてどこかの部屋に留まり会話を聞いていた、ということは不可能ではない。

次に、高山さんの部屋に行ってみた。未だに高山さんは見つかっていない。まだ生きているのか、それとももう殺されているのかはわからないが、もしかしたら部屋に何か手がかりが残っているかもしれない。

しかし、探しては見たものの何も見つからなかった。

高山さんがいなくなってからかなり時間が経っているので、犯人が証拠隠滅してしまった可能性が高い。もっと早く来るべきだった。

私は桑原さんの部屋に入った。ここで、あの密室殺人の謎を今解かなければならないのだ。


「……」


私は密室殺人が起こったときの一連の流れを思い出していた。

集合時間を過ぎても桑原さんは一向に来る気配がなかったので、私たちは全員で様子を見に行くことにした。桑原さんの部屋の前まで行き、ドアを叩いて呼んでみたが返事はなかったので中に入ろうとするが、鍵がかかっていた。それから何度も呼びかけては見るものの、やはり返事がないので、隣の部屋からベランダをつたって窓から入ることにした。窓には鍵がかかっていたので、近くにあった植木鉢で窓を割り、中に入った。中には、すでに息絶えていた桑原さんの姿があった。殺人が起きたことを外にいる二人に伝えようとドアから外に出ようとしたときに、毒が塗ってあることに気づいた。仕方がないので、来た道を戻り、廊下にいた二人に状況を説明した。

これが、一連の流れだ。

あのとき部屋の中には、私と桶川さんと内田さんの三人がいた。阿部さんと横山さんは二人で外からドアを叩いていた。そして、死体発見時には部屋の鍵はしっかりかかっていた。これは自分の目で確認した。

クローゼットや箪笥の中に人がいたとは考えられない。もし中に人が入っていたならば、蜘蛛の巣が張っているわけがなく、また、服も埃まみれになってしまうだろう。 

ということは、やはり何らかの仕掛けがあったと考えるのが妥当か。


「……待って、もしかしたら……」


唐突に、私の中にある考えがひらめいた。

私は一旦外に出て、ドアを閉めた。

次に、ドアノブをガチャガチャと回しながら、ドアを叩いた。


「……そうか、この方法なら……!」


あの人物の行動、部屋に鍵がかかっていた理由、なぜ毒がドアノブに塗られていたのか……。


「これで、密室の謎は解けた……!」


殺人の謎は解けた。

だが、もう捜査する時間はない。


「まだ完璧ではないけど……、でも、もう時間がない。後は……、私の話術で何とかするしか……」


いよいよ、犯人を追いつめる時が来た。

私は不安を抱えながら、皆が待つ一階の客室前の廊下まで向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ