イロハナシ
あらら?ここはどこかしらん?気が付いたら不思議なところに来てしまったわ!素敵な色の着いた世界。木も花も草も空も大地も、いろんな色であふれかえっているぞ。それも、普通の色じゃないの、一面好き勝手に塗られまくっているものだから、それが一体何なのかさえ分からなかったわ。ああ、まるで絵の世界に入ってしまったみたい……
なにかしら?ずいぶん楽しそうな歌声が聞こえる。さぁ、耳を澄まして御覧
――――さぁさぁ急いで色をつけましょう。楽しい楽しい色塗り。さあさあ女王様がいらっしゃる前に色を塗りましょう。さてさて困ったゾ。色が少ない。やれやれ困ったゾ。女王様がいらっしゃる前に色を塗らなきゃいけないのに……
困った歌はそれきりピッタリと止まってしまったわ。バケツとハケをもって考え込んでいる兵士さん。
それじゃあイツまで経っても塗れやしないわ。少し助言してあげましょう。
井戸があるから桶に水をいれて、さぁどうぞ。
「素敵な色塗りの兵士さん、色がないなら水を足せばいいじゃないかしら」
「無知な小さいお嬢さん、水はないんだよ」
「ええ?あるわよ?ほら。井戸があるのに水がないわけないでしょ」
兵士さん、肩をすくめて何を言うかと思えば。
「そりゃあるさ。あるからね」
「ダメなの?どうして?」
「どうしてもこうしてもダメなもんはダメなのさ、何故かしってるか?知らないだろうな。でなければ水を使うなんて恐ろしいこと言わないだろうに」
「なによ」
「女王様は水が大嫌いなのさ。色がなじまないから」
「そう……そういえば、どうして色を塗らなきゃいけないの?」
「女王様はカラフルが大好きなのさ」
甲高いラッパの音が響き渡る。とってもうるさいわ
音とともにとっても派手なカラーに身を包まれた女王様が出てきたんだけど、最初女王様って分からなかったの。だって、顔にまで虹色に色を塗っていたから。
「水を置いたの、一体誰!!」
「ああ、しまった。女王様!!この小娘です」
なんということでしょう。あっさり売られたわ。文句言ってやろうかと思ったけど、あんまりにも女王様が怖い顔したので黙っちゃった
「ごめんなさい…」
「処刑、処刑よー!!」
謝っているのに死刑というんだもの、悲しくなって涙を流したら、空から雨が降り出してね。そうしたらみんな大慌て。どうしたのかしらと思っていると、みんなについていた色が流れ落ちちゃって、みんな透明になって消えちゃったの。私、この雨は塩味なのかと思っちゃった。溶けるように消えるなんて、なめくじみたいでしょ?
誰もいなくなって、消えちゃった。
どうしようかとおもっていたら、歌が聞こえたの。
――――まぁまぁ大変、色が消えちゃった。目に見えるものは何もない。さぁさぁ、どうしよう。これじゃあ何が何だかさっぱりだ。
威張った女王様だって、無知な兵士だってみんな消え去ってしまった。みんな色がなきゃおんなじモノなんだなぁ
「色がなくっちゃ、つまらないわ」
私がどうにかしてあげる。インキがあるんだから色を塗れば元通りになるわ。
さぁ、色を塗りましょう。
セカイはすべて、私の思い通りに塗られていく。
はい、とっても素敵になったわ。
でも、どうしてかしら、虹色の女王も、変わった兵士さんも、不思議な色の放つ風景も、なにも戻らなくなったわ。不思議ね、とっても、不思議。