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野獣と孤独

作者: 古時

 

 ―――さんさんと降り注ぐひなたに天の使いが来たのかと思ったんだ―――

 

 ガサガサ


 草をかき分けこちらへ近づく気配。


 普段ならすぐに身をくらます。だけどそうしないのは、相手が騎士さまだから。

 

 目をあけ、背に日の光をしょいながらこちらへくる騎士様にいつもの調子であいさつをする。



 貴方の大きくたくましい手のひらがあまりにやさしいから。


 貴方の低くからだに響く声があまりに心地よいから。


 泣きたいような、笑いたいような、くすぐったい気持ちがして。


 安心して。

 

 わたしはまぶたを再びとじる。


 

 ―――――夢に見る。

 

 おかあさんがお弁当とはんかちをわたしながら


 「いってらっしゃい」 っていって


 「うん」  ってわたしはうなずいて


 まばたきをすれば、もうおかあさんはいなくて


 暗転した世界にわたしはひとり、立っている。


 遠い昔の記憶。―――――




 まぶたをあけるとちゃんと貴方がいる。


 まばたきしても消えない。


 わたしはこの幸せがいつまでも続きますようにと祈る。



         

        

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