midget ~八人の小人と白雪姫~
前世の記憶を背負って転生した。
それだけを聞けば、剣やら魔法が有る異世界を思い浮かべる人も少なくは無いと思う。
私、牧野瑛謌も前世の記憶を背負って生まれてきた一人だ。
だが、私が今居る世界はグリム童話の一つ、『白雪姫』だった。
しかも、主人公の白雪姫……では無くて、只の小人。
あの白雪姫が森で迷った末やって来る筈の小人の家の家族として生まれてしまったのだ。
名前はシンルー。
前世と全く関係ない名前じゃん。
この王国の古い言葉で『重要』と言う意味が有るらしい。
重要って……私どんなイレギュラーなのよ!
まぁ、平々凡々と生きて行きたいね。
え、年は幾つなのだって?
今は12歳。
しかも、白雪姫が来るのは大体今日。(白雪姫が森に追放されたらしいって兄さん〈三番目の〉に聞いたから。)
やばいよね。
で、現在は食事を作りながら七人の小人達の帰りを待っている。
トントン
早速来たよ白雪姫様。あー、面倒だな。
『どうぞ、お入り下さい。』
ガチャ
「あの……道にまよってしまったのですが、泊めていただけないでしょうか?」
白い肌に紅を付けな様な赤い唇。絹糸の様にさらさらとしている黒い髪。
鈴を転がしたかの様な声。
極めつけにほっそりとした体躯。でも存在を主張している胸。
何処をとっても文句の付けようが無い体だなぁ……
『良いですよ、但しかなりの大人数ですが……』
「だ、大丈夫です!………お手伝いしましょうか?」
『いえ、心配なさらず。お腹が空いたでしょう。スープをどうぞ。』
コトと、ポトフ擬きをテーブルに置くと白雪姫に食べさせる。
「ありがとうございます。私は白雪姫です。あなたのお名前は?」
『私はシンルーと言います。宜しく。』
「えぇ、っと少しベットをお借りしますね。」
白雪姫はそういうと眠りについた。
なんか、不安だな……
ガチャ
「ただいま。」
『お帰りなさい、兄さん達。』
「あぁ、遂に白雪姫が来たか………」
兄さん達には私が前世の記憶が宿ってる事を話しておいたから全て知ってる。
「念の為、一通りの解毒薬とかは作って置いたよ?」
「襲って来ても俺様が倒してやる!」
「王宮に噂流して置いた。」
「セキュリティは、僕に任せてよ!」
「辺りに迷いの魔法かけて置いたから。安心して?」
「隣国に逃亡したら匿ってもらう約束を取り付けた。」
「お金の事は任せとけ!」
上から二番目の兄さん、五番目の兄さん、三番目の兄さん、七番目の兄さん、一番目の兄さん、四番目の兄さん、六番目の兄さんである。
実はこの一家超人ばっかりだったのである。
例えば、二番目の兄さんは薬の研究員を務めていて『天才』やら『鬼才』やら呼ばれていたり、三番目の兄さんは宰相を務めていて、女王にタメ口で話せる位、位が高かったり、五番目の兄さんは王宮騎士団の団長を務めていて剣術については右に出る物は居ない位凄い。
話が捻じ曲がって居る様な気がするが、まぁ良いか。
次の日
「とぎ易い櫛はい…『入りません、帰って下さい。つぅか、地獄に落ちろ。』…そうかね?」
早速、継母さんが来た。
「酷く無いですか、扱いが……」
『いいんですよ、お気になさらず……さぁ、食事にしましょうか。』
「わ、分かりました……」
次の日
「可愛い紐h『帰れや。』………(怒)」
「もう、何も突っ込みませんから………」
「あの小娘、シンルーと言ったか。ウザい、ウザすぎるぞ………!そうか、殺してしまえば良いのか!」
「女王様、俺の妹を殺すとどうなるか分かってますよね……ついでに白雪姫も俺達の養子にしたので…………(黒笑)」
「ひ、ひぃぃぃ……」
こうして、白雪姫は小人の養子になり、逃亡したら匿ってもらう約束をした国の王子と結婚し、幸せに暮らしました。
女王は途中で白雪姫を殺そうとしたので、王権を剥奪されて一生牢屋に入ったそうです。
因みに、シンルーは白雪姫が王子と結婚した後姿を消したそうです。
アクリム童話「八人の小人と白雪姫」
midget -ミゼット-
小人、小さいなどの言葉。
やって来ました、アクリム童話シリーズ!
アクリムは、適当に付けました。
無茶苦茶ですみません。