表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/14

第14話 最期の朝、死にゆく世界の光

 世界はまだ、壊れたまま静かに息をしていた。

 砂は白く粉のように崩れ、空は遠くで砕けた青の残像を揺らめかせる。

 風は冷たく、耳を刺すように軋み、木々も建物も音を失っていた。


 ユナは砂の上にうつ伏せで横たわり、手のひらで胸の金色の欠片を押さえていた。

 脈打つたび、微かにリオの声が響く。


『ユナ……迎えに来てくれて、ありがとう……』


 声は温かいけれど、世界の冷たさと対照的で、胸が締め付けられる。

 ユナは涙で顔を濡らしながら、砂に沈む指先で欠片を握り直した。

 この七日間――七日間で彼女は、世界の破片を歩き、影のリオと向き合い、心の奥の罪と痛みを抱え続けてきた。


「……リオ……もう……会える……ね……」


 体中の痛み、胸の青い光の脈動、消えゆく世界の叫びがすべて混ざり合い、ユナの心は限界に近かった。

 それでも彼女は立ち上がる。




 ユナは世界の最果て、二人で見た海辺へ向かう。

 砂は青く光り、波は逆流し、空は裂けたまま。

 時間の概念は失われ、過去も未来も混ざる中、ユナはひとりで歩く。


 影のリオが静かに後ろを歩き、手は伸ばすが触れることはない。

 その姿は優しいけれど、痛みに満ちていた。


「リオ……お願い……最後に……抱きしめさせて……」


 声は震え、嗚咽が混ざる。

 けれど、届かない。触れられない。


 砂に足を取られながらも、ユナは必死に前へ進む。

 心臓の青い光はもうほとんど爆発寸前で、彼女の胸を切り裂いていた。




 海辺に到着した瞬間、世界がさらに弾けるように崩れた。

 空は粉々に裂け、砂は粉塵のように舞い、波は逆流して天へ吸い込まれる。


 ユナは胸の欠片を強く握り、影のリオを見つめる。


「リオ……私は、あなたを……助けたい……」


 声は小さく震えた。

 けれど、その言葉に世界は反応した。


 青い光が胸から溢れ、世界全体を包み込み、砂や空や海が音を立てて崩れ落ちる。

 衝撃でユナの体は揺れ、涙は止まらず頬を濡らす。


 影のリオが手を伸ばす。

 指先がユナの胸の欠片に触れた瞬間、微かな温もりが伝わる。


「ユナ……」


 リオの声が、世界の果てまで届くように響く。

 ユナは微笑み、涙を流す。


「行きなさい……生きて……私のために……」


 その瞬間、ユナの体は光に包まれ、徐々に透明になり、ついに世界から消えた。




 世界の残骸の中で、リオは目を開けた。

 彼の体は完全に実体を取り戻し、砂浜には青い光が柔らかく揺れる。


 リオはユナの欠片を胸に抱き、静かに言葉をつぶやく。


「ユナ……ありがとう……君の愛が、僕を生かしてくれた……」


 世界は少しずつ再生を始める。

 欠片の光が砂に反射し、空に柔らかい輝きが戻る。

 それは、消えたユナの微笑みのように、世界に静かに希望を残した。




 リオは砂浜に立ち、風に耳を傾ける。

 世界はまだ傷だらけだけれど、少しずつ生命が戻り、波の音がかすかに蘇る。


 胸の欠片が微かに揺れる。

 それは、ユナの愛の証。

 永遠の約束。


「ユナ……僕は、君を忘れない……

 君のすべてを、この世界を、守るから……」


 光は風に散らず、残り続ける。

 ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。

 この物語の登場人物たちが、あなたの心に少しでも息づいてくれていたら嬉しいです。


 執筆を続ける力は、読んでくださる皆さんの応援と感想に支えられています。

 もしよければ、感想やブックマークで応援していただけると励みになります!


 次回も心を込めて書きます。

 またこの世界でお会いできるのを楽しみにしています。


 ――ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ