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26話  作者: マグciel
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アルスのゲート破壊作戦

 ソイルとシエルが居る場所で戦闘が起こった頃、アルスとエリスのいる場所でも戦闘が起ころうとしていた。

「ゲートから出て来たね...3,40体くらいは居るかな?」

「うん。ほとんどは低ランクのモンスターだけど、あのラピスジェネラルって奴だけは高ランクのモンスターだね。」

茂みに隠れながらゲートを監視していた二人は、最後に出てきた騎兵に目を向けていた。

馬も騎手も青い鎧をまとっており、モンスターたちに何か話しているようだった。

「作戦はここに来るまでに伝えた感じで...でも気を付けてね。」

「うん、こっちは任せて。アルスはゲートの方をお願い。」

ラピスジェネラルに指示されてモンスターたちが王都に向かい始めたことを確認したアルスとエリスの2人は目を合わせ、いよいよ戦闘が始まった。

「フューネラル」

モンスター達の足元に大きな魔法陣が展開されると、上空に向けて闇属性魔力が放出された。

その攻撃魔法により、ほぼすべてのモンスターたちは一瞬にして黒い円柱に飲み込まれて消滅していった。

いち早く気付いたラピスジェネラルは馬を犠牲にエリスの魔法を回避しており、残ったモンスターもその一体だけとなっていた。

「何者だ!」

「それ言って何になるの?」

「ふっ、奇襲であいつらを倒しただけで随分と強気だな。」

奇襲に驚いていたラピスジェネラルだったが、エリスの姿が見えるとすぐに冷静さを取り戻し、エリスの煽りに対しても軽く笑って答えた。

「...エリス。覚えなくていいよ、どうせ今からお前は死ぬんだから。ネグロアルカ、メランゼーデル」

「アクアゼーデル。エンチャントウォーター。」

少し怒っている様子のエリスは闇属性の黒い魔力の結界を展開し、自身と共に相手を閉じ込め斬撃を放つと、ケイオス(鎌)を持ち距離を詰めた。対するラピスジェネラルは水属性の青い魔力の斬撃を放ち、剣を持ち距離を詰めた。魔法は相殺され、鎌と剣の打ち合いが始まった。

「我との1vs1(サシ)を望むか。いいだろう、乗ってやる。」

「キモ...死ね。イビルレイン。」

「そう言わず、楽しもうじゃないか。バレットレイン。」

ラピスジェネラルに雨のように闇属性の黒い弾丸が放たれると、ラピスジェネラルは水属性の魔法で対応した。

それらが相殺される中、エリスはラピスジェネラルの背後を取ると、ケイオスを振り攻撃をした。

ラピスジェネラルはその攻撃を振り向きざまに剣でガードし、防がれたエリスは距離を取った。

「そろそろ終わらせるか。スプラッシュ、フリーズ。」

水飛沫のような魔法はエリスを濡らし、続いた氷魔法により下半身が凍らされた。

エリスは少し焦るような表情を浮かべており、ラピスジェネラルはそれを好機とみた。

「我でも初級魔法くらいは使える。氷魔法は盲点だっただろう。キアノスシェリング」

「オスクレッシング、ダークプロテクト」

水を砲撃のように勢いよくを放つ魔法を発動させたラピスジェネラルに対してエリスは、補助魔法で自己強化した上、闇属性防御魔法で障壁を発動させてその攻撃を防いだ。

「そのくらい既に予測済みだ。ラメールブレッシング、ホーミングバレットレイン」

「イージスオブシュバルツ」

すぐさま自己強化をし身動きの取れないエリスに対して追尾型の魔法を放った。

放たれた無数の弾丸はエリスが発動させた障壁により確実に防がれていた。

しかし、ラピスジェネラルの水属性魔法が切れた頃、初めに展開された闇属性の結界も効果を失い、消え始めた。

「魔力の維持が出来なくなったか。我の勝ちのようだな。」

両手両膝をついたエリスを見て勝ちを確信した様子のラピスジェネラルは、自身の剣を持ち、エリスにとどめを刺そうとした。

その時だった。

少し離れた位置で多大な魔力を感知したラピスジェネラルがその方向を見た時、それを認識した1人の少年が魔法を放った。

「グランツペネトレイション」

放たれた光線は先程ラピスジェネラル達がやってきたゲートを貫き、破壊した。

もう一人相手がいた事、そしてゲートが破壊されたことによりラピスジェネラルの警戒はエリスからアルスへと向けられていた。

「何故だ⁉そのゲートは特異能力によるもののはず、何故破壊できる?」

その隙を逃すはずもなく、エリスは背後からラピスジェネラルの体を貫き、コアを手にしていた。

「油断しすぎ」

「貴様ッ...」

そしてエリスによってコアが破壊されると、ラピスジェネラルは消滅していった。

周囲にモンスターが居ないことを魔力感知により確認したアルスは、エリスの元に近寄った。

「大丈夫?って、こ...これ着て!」

そう言って自分が羽織っていたローブをエリスに渡し、アルスは後ろを向いた。

エリスは自分の服が透けていたことを知っており、渡されたローブを手に持ったままアルスに後ろから抱き着き、悪戯な笑みを浮かべた。

「え~アルスだったらいくらでも見ていいのに~///」

「...っ///い、いいから早く着てください!」

「む~......着たよ。」

エリスは少し不機嫌そうにしながらもローブを着、アルスはその事を知るとエリスの方に向き直った。

「エリスはもっと自分を大切にしてよ。あのモンスター相手ならそんな攻撃受けなくても時間稼ぎ出来たんじゃないの?」

「出来るけど~アルスの教えてくれた魔法を使いたかったからつい。でも攻撃受けた後に、服が透けてる~って焦った~。あ、でもこんな姿はアルスとかお姉ちゃんくらいにしか見せないよ♪」

「はぁ、そのまま戦ってても教えた魔法を使う機会があったはずなのに...まぁ終わったことだし、もういいけど。」

頬を赤く染めながら話したアルスに対して、“あはは〜”と笑いながらエリスが応えると、アルスは呆れと安堵を混ぜた表情を浮かべた。

「それにしても作戦通り行ってよかった。」

「私はアルスの考える作戦なら失敗しないと思ってたけどね。アルスは頭いいし頼りになるもん。」

何故か自慢げなエリスの発言を聞きながら、アルスは戦闘前に行っていた作戦会議の事を思い出していた。


ー少し前ー

「エリス」

「なに?」

「覚えておいてほしい魔法があるんだけど...」

そう言ってアルスは魔導書を取り出してエリスに見せた。

エリスは開かれた魔導書のページに書かれている魔法の術式をサラッと見た後、試しに魔法を使ってみた。

「ちょっとやってみるね。イージスオブシュバルツ。...これでいいのかなぁ。アルス、ちょっと棒で叩いてみて。(アルスに叩かれるって、なんか...いい///)」

「えっ、あ、うん。分かった。」

そう言ってその辺にあった木の棒で優しくエリスを叩こうとすると、障壁によって防がれた。

「ふふん、できた。」

「えっ!もうできたの!?...然精族(エルフ)の中でもそんなに早く魔法の習得が出来るなんて聞いたことないよ、すごいね。」

エリスは魔法の才能があるとは思っていたが、これほどまでとは思っておらず、自慢げにしているエリスの前でアルスは驚愕していた。

「流石だね、エリス。その魔法は魔力消費が激しいけどある程度の魔法や物理攻撃を防いでくれる。」

「アルスがそこまで私の心配してくれるなんて~うれしい~♪」

「もちろんそれが理由としては大きいけど、この後の作戦にも使えるかなって思ったんだよね。」

「作戦?」

「そう、まずはゲートからモンスターたちが完全に出てくるまで待って、そこをエリスの魔法で奇襲しようと思うんだ。でも中にはそれで倒せない敵も出てくるかもしれない。そうなったとき、僕がゲートを破壊する魔法を使おうとした時、必ずと目に来る。だからエリスにはネグロアルカを使って注意を引いておいてほしい。ある程度時間がたったら、ネグロアルカを解いたのと同時にイージスオブシュバルツを使って相手を油断させる。そのタイミングで僕が魔法を使えばこっちに注意が向くと思うから、その隙をついてほしいんだよね。」

長々と作戦を語ったアルスだったが、エリスには何となくしか伝わっておらず、難しい顔をしていた。

「私が奇襲を仕掛けて、それでも倒せなかった奴の注意を引けばいいって事?」

「まぁそんな感じで。あ、そうだ...スペルカモフラージュ。よし、これで魔力量が普段より少なくみえるはず。エリスには負担を掛けるけどごめんね。」

「ん~それじゃあ私とデートしてくれる?」

「デ、それはちょっと...」

「ダメ...なの?」

エリスは悲しそうな表情でアルスを見つめていた。

この作戦でのエリスの負担が大きいこと、そして目の前で好きな人が泣きそうになっている姿を見て、それが嘘泣きであったとしてもアルスに断ることはできなかった。

「わ、分かったから、そんな悲しそうな顔しないで。」

「えへへ~、アルスとデート、楽しみ♪」

ー現在ー

「エリスが居なきゃできなかったし、僕よりもエリスの方が頼りになるよ。ありがとう。」

「ふふっ、これでアルスとデート出来るんだから、あんな奴大してことないよ。」

もう待ちきれないのかアルスと腕を組んだエリスと、そんなエリスに対し恥ずかしそうにしているアルスは、そのまま王都へ戻って行った。


 一方、中央のゲート付近には白とゼータ、ヘスティアの三人が来ていた。

三人は一切隠れずゲートの前で待っていると、モンスターたちが次々に現れた。

「やっぱり結構いるね。」

アルスの父親が治める国を攻めようとするなど許せるはずがない。

というか今はさっさと終わらせてかっこいい所を一緒に居るゼータに見せよう。

そう思って白は刀を取り出した。

「...分かってると思うけど、白はゲートの破壊の方担当だから、あのモンスターたちは私とゼータが相手するのよ?」

ヘスティアにそうくぎを刺された白は、残念そうにうなだれていた。

正直白1人でもモンスターを倒せるだろうし協力はいらなそうだけど、この場には白しかゲートの破壊が出来る人はいないし、分担した方が早く終わらせられるだろう。

だがここには強力なモンスターが出てくる可能性が高く、自分とゼータだけで対処するのが難しいかもしれない。

まぁその時は白が助けに入ってくれるだろう。

それをふまえてこの作戦を立てた訳だし。

「白はゲートを破壊した後、ゆっくりしてればいい。」

「え~なんかそれじゃあ私の置物感すごくない?ゲートの破棄なんてすぐに終わっちゃうし~」

やる気がなくなった白に対してかける言葉を考えていたゼータは、普段エリスが白に対してとっている対応を思い出した。

「......ゲートの破壊は私やヘスティアにはできない。私たちにできないことが出来る白お姉ちゃんはすっごくかっこいいよ!」

白は一瞬時が止まったような気がした。

普段はエリスにしかされていない“お姉ちゃん”呼び、そして上目遣いに尊敬の眼差し。

あぁ、もうここで終わってもいい。私は十分満たされたのだから。

ゼータとヘスティアの2人は白の姿がだんだんと薄れていくような気がした。

「白、今はそんな風になっている暇はないわ。全員出てきたみたいよ。」

我に返った白はゲートの方へ目を向けた。

ゼータとヘスティアはそのうちの一人が放つオーラに冷や汗をかいていた。

本当にあいつを相手にできるのだろうか。

まずはほかの雑魚たちを倒してから相手にした方がいいと思うが、そんな隙は与えてくれないだろう。

どうやって1対2の状況に持ち込むべきか…

ヘスティアがそう考えていると、強力な魔力を持つ者が話しかけてきた。


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