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未来視探偵の超推理

作者: 天野純一

「犯人は君たち三人の中にいる!」


 名探偵・れんは大仰な仕草で一同の前に現れると、その三つ子を指差した。


 指されたいちろうろうさぶろうはたじろいだ。


 一郎と二郎が同時に叫んだ。


「「俺は犯人じゃない!」」


 三郎も負けじと、


「僕だって違う!」


 と叫んだ。


 蓮は何度もうなずいているが、三人の言い分を聞いているというよりは、自分の名探偵らしさに惚れ惚れしているだけのようだった。


 彼は人差し指を立ててカッコをつけながら、聴衆の前を練り歩く。


「三人のうちの誰が犯人としても決め手に欠けるこの事件。この名探偵・明日見蓮が鮮やかに解決いたしましょう。今日子君、準備はいいかい?」


「バッチリです」


 私は小さな丸薬を差し出した。


「ありがとう、君は頼りになるワトソンだ」


 蓮は丸薬をゴクリと飲み込んだ。しばらくして彼は目を閉じ、集中し始めた。


「見える……見えるぞ……! 1分後に事件が解決している未来が……!」


 彼の二つ名は、未来視探偵。未来で見えたことを参考にして事件を推理する、ノックスもヴァン・ダインもびっくりの超能力探偵である。


 蓮が未来視への集中をやめて、今度は思考モードに入った。


「ダメだった……解決の材料は何も見えなかった……。しかーし!」


 彼は三つ子のほうをニヤリと見た。丸薬を飲んでからちょうど1分後だった。


「犯人は三郎! お前だ!」


 三郎はうろたえた。


「しょ、証拠がないだろ!」


「いーや、証拠はある。三つ子といっても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ということはどういうことか分かるかい、ワトソン君」


 急に話を振られた私は、流れるように答える。


「いいえ、さっぱり分かりません」


 とりあえず「分かりません」と答えておけば蓮は機嫌が良くなる。楽な仕事だ。


 案の定、彼は満足そうな表情で声を大きくした。


「よろしい。ではオイラの口から説明してあげよう。三郎が犯人だと確定するのはずばり、()()()()1()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「ほう……もう少し分かりやすくお願いします」


 私は慣れた口調でさらなる説明を求めた。


「いいだろう。一郎と二郎は見た目も一緒、性格も一緒、いつも一緒で、違いが一切ない。ということは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。でもオイラは未来で特定していた。すなわち三郎が犯人だということなのだ!」


「やられた……」


 三郎は地に膝をついた。

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