最終的に
澄み切った青空の下、王都の中心にある大聖堂の鐘が高らかに鳴り響いた。
この日、王族や貴族、そして多くの市民が見守る中、 カイル・フォン・レグナス公爵 と リリィ・エヴァンジェリスタ の婚礼が盛大に執り行われた。
彼女が王宮に足を踏み入れた頃から幾多の困難があった。暗殺未遂、陰謀、そして自身の血筋の発覚──。それらすべてを乗り越えた先に、今日という日が訪れたのだ。
陽の光が降り注ぐ聖堂の中──
祭壇の前には、誇り高き公爵カイルが立っていた。
漆黒の軍服に金糸の刺繍が施され、その肩には王国随一の騎士である証たる勲章が輝いている。彼は硬派な男だが、今日ばかりは感情を隠せない。
緊張と、それ以上に高揚した気持ちが胸を満たしていた。
──そして、扉が開く。
光の中から、リリィが現れた。
純白のドレスは王宮の仕立て師による最高級のもので、まるで花の蕾がゆっくりと開くような優美なシルエットを描く。
髪は軽く編み込まれ、王女が彼女のために贈った 繊細なティアラ が輝いていた。
瞳は澄んだ湖のような深い青。髪はふわりと揺れ、淡く光を纏っている。
──美しい。
ただ立っているだけで、彼女が持つ気品と可憐さが人々を魅了していた。
「……カイル。」
花嫁が、まっすぐに彼を見つめる。
カイルは、彼女の手を取った。その指先は緊張しているのか、少しだけ震えていた。
「よく、ここまで来てくれた。」
低く、けれどはっきりとした声で囁く。
リリィはふっと微笑んだ。
「あなたが、ここにいてくれたから。」
そして、神官が誓いの言葉を告げる。
「カイル・フォン・レグナス公爵、汝はこの者を妻とし、一生愛し、守ることを誓いますか?」
カイルは迷うことなく、彼女の手を強く握った。
「誓おう。」
「リリィ・エヴァンジェリスタ、汝はこの者を夫とし、一生支え、共に歩むことを誓いますか?」
「……誓います。」
優しく、それでいて力強い声だった。
その瞬間、聖堂の大扉が開かれ、祝福の鐘が鳴り響いた。
王都中が歓喜に包まれる──。
祭壇の前で、二人はそっと唇を重ねた。
美しい誓いのキス。
リリィの頬が、恥じらいと幸せに染まる。
カイルはそんな彼女を腕に抱き、静かに囁いた。
「もう、どこにも行かせない。」
リリィも、そっと彼の胸に顔をうずめる。
「ええ、ずっと一緒よ。」
──そして、二人の物語は、新たな章へと進んでいく。




