第2話 ユニークスキル【実績コレクター】
「ステータス、オープン」
こんなこと言うのは現実世界だと痛いやつだが、ここが異世界なら問題あるまい。
俺の呼びかけに応じて期待通りにウィンドウが表示された。
名前:田中英雄
年齢:30歳
職業:無職〈選択してください〉
<ステータス>
レベル:1
体力:3/10
魔力:0/0
攻撃力:3
防御力:6
魔法攻撃力:0
魔法防御力:0
素早さ:4
<スキル>
・魔法
なし
・その他
なし
<ユニークスキル>
・【実績コレクター】
<装備>
・武器:なし
・防具:異世界の服
・アクセサリー:異世界のキーホルダー
<プロフィール>
生粋のゲーマーであり、アニメ、機械などにも造詣が深い。
特にゲームについてはクソゲー、神ゲー問わずにプレイ。
全ての実績を獲得するまでプレイする姿は狂人に近い。
「――ヒョロガリ乙」
余りの自分のステータスのみずほらしさについ煽る。
しかもプロフィールでちょっと悪口言われてるじゃねぇか。
そしてHPは3、すでに死にかけである。
異世界に来てハイになってるから忘れてたけど、俺徹夜明けだった。
そして気になるのが<ユニークスキル>【実績コレクター】だ。
実績、いわゆるゲームのやり込み要素である。
簡単なモノだと『何歩歩いた』だとか、『初めて魔物を倒した』だとか。
難しいモノだと『回復を使わずに倒す』とか『特定のモンスターを討伐する』とか。
それらの条件をクリアーすると実績が解除される。
試しに言ってみる。
「実績の表示」
やはり実績の一覧が表示された。
全く底が見えないほどに多くの解放されていない実績が並ぶ。
そして実績を達成すると報酬がもらえるようになっているようだ。
試しに一番簡単な実績。
『異世界への第一歩』を達成すべく俺は足を踏み出した。
〈実績が達成されました〉
直後、俺の頭に無機質な声が響く。
表示されている実績を見ると、達成したモノは色が濃くなっていた。
「アンロック」
そう言うと、実績は解除され、頭の中にまた先ほどの無機質な声が響く。
〈おめでとうございます。10の経験値と10ディルを手に入れました〉
そして、俺の手元にはこの世界のお金と思わしきモノが落ちてきた。
なるほど、これで俺のユニークスキルの効果が分かった。
実績を達成すると報酬を受け取ることができる。
つまり、『俺だけが受けられる隠しクエスト』である。