最終目撃地点は五反田。
ぼんやり電車を待ちながら、あー、かったるぅとスマホを見て。背中から押されて、スマホ落下事件。このやろうと振り返れば誰もいない。
駅のホームですらなく、なぜか白と青の部屋にいた。
ここ、どこ? と部屋を出れば白いヒゲの爺さんと目が合った。
「きゃーっ!」
可憐な悲鳴を上げたのが爺さんのほうで。
あたしは脱兎のごとく逃げ出した。理由は不明でも不法侵入は通常犯罪。捕まったら前科一犯。就職に差しさわりがある。
あたし、まだ、新卒予定! この先の人生をハードモードにしたくない!
大きなドアを開けたらそこは、某テーマパークのようだった。
「おぅふっ」
え? これなんのびっくり? や。やだなぁと思っている間もなく、マッチョな衛兵に捕まった。
なにこの罰ゲーム。
というのが、あたしが異世界に来たきっかけである。
新卒採用にぐあっと煮詰まっていたけど、異世界来るほど世の中儚んでない。
ちなみにスマホは液晶ヒビ入って瀕死の重症。ふざけるな。あと一年は残金あるんだぞ。しかも壊れても直してくれる人いない。むしろ充電できるのかという……。
都合の良いと世の中浄化したら帰してあげると言われて頑張ることにした。
あたしには就活がっ! あるっ!
こんなところにいるわけにはいかないんだ。とはいうモノの……。
「ああ、どうでもいいけど、マカロン、食べたい」
死ぬほど甘いものを食べて糖分を摂取したい。
なお、主役はこの人ではありません。