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天地開闢の始神、降臨す

新連載始めました♪

 

 穏やかな春のそよ風が桜の花びらを舞い上げ、幻想的な空間を作り出している放課後の校庭。その淡く儚い春の風を一身に受け、不安と期待が入り交じっているであろう心境の中、真新しい制服に身を包み下校する新一年生が見えた。


 教室の窓から眼下に広がる、昨年体験した懐かしき光景を眺めているのは、俺こと和宮太陽かずみやたいよう、高二の十七歳だ。


 そんな風情ある風景を一望していたのだが、すぐに興味が失せ、あくびが出た。なぜならこの高校には、他の高校と違った一つの大きな特徴があるからだ。


 それは右を見ても、左を見ても見渡す限り男子生徒しかいないから。360度見渡しても男・男・男……男しかいない。悲しいかな、ここって男子校なのよね……。


 野郎しか居ない学校で、どうして生徒が行き交う校庭を美しむ心で見届けられようか。そんなの腐女子さん以外に居たらおかしい。


 しかし今年から共学化し、なんと、早速一年生にひとりの女子生徒が入学して来た為、男子校ではなくなった。まあ、一人程度じゃほぼほぼ男子校だけどね。


 ちなみにこの学校は一学年に三百人強ほどの生徒が在籍しており、三学年合わせると約千人の生徒が在籍している事になる。その中に一年生としてぽつんと女子ひとり。


 故にその男女比たるは1:1000となっている。


 そして男子に対して女子の比率が極端に低い場合、失礼な話である事は重々承知だが、容姿がそれほど飛び抜けていない子でも【天使】と崇められ、もてはやされるのが世の常となっている。

 そして次第に周囲からはその存在に敬意が集まり、所謂【姫】と呼ばれる存在に昇華される。


 もちろん入学した一年生の女子生徒も例に漏れず、入学早々から約千人の男共から男子校の姫として崇められている。


 千人もの男子生徒を盲目化させる病に陥らせた女子生徒……。恐ろしい限りである。尚、俺はその病にはかかっていない希少種である。

 そうそう、俺以外にもあともう一人いるな。この『男しかいない学校で女子生徒なんて見ようものなら、速攻惚れちまうZE☆病』に侵されていない奴が。


「どうした、太陽? やっと退屈な授業が終わったって言うのに、そんな冴えねえ顔してよ。ああ、そろそろアイツが来る時間だからか?」


 小憎たらしい顔でニヤつきながら絡んでくるのは河原達也かわらたつや。俺と同じく男子校病を患っていない稀少種である。


 見た目はぱっと見、強面のヤンキーであるが、人を外観で判断してはいけない。こう見えて根はとっても良い奴。こいつとは馬が合って一年の入学の時以来ずっとつるんでたりする。


 そんな親友と称してもよい輩が放った心無い言葉が、俺の胃酸を分泌させた。胃液が自らの胃を溶かしてるのを感じる。

 この歳で胃薬のありがたみを知ってる奴は少ないだろうな……。


達兄たつにぃ、和宮先輩、一緒に帰りましょう」


 キリキリと痛む胃を押さえていると、一陣の風と共に淡々とした口調で教室の入り口から声をかけてくる女子生徒が居た。

 一年下の女子生徒。名は安藤みゆ、この高校における絶対無二の女子生徒、そして男子校の姫である。


 立てば芍薬しゃくやく座れば牡丹ぼたん歩く姿は百合(ゆり)の花。ちょっと例えが古典的にはなるが、まさにその言葉にドンピシャで当てはまる美人さんである。


 と、同時に俺のストレスの元になっている存在でもある。


 彼女の特徴としては胸部の発達が目まぐるしい点、ウエストがくびれてる点、少し大きなお尻であるという点、整った顔立ちの見目麗しい美人である点など、彼女に対して賛美の言葉を上げ出すと枚挙にいとまがない。


 世間一般で定義される美少女のボーダーラインを超越した存在であり、俺の短い人生の中ではあるが、彼女を超えるような女性はアイドルも含め、ご拝顔した事が無い。


 背中まで伸びた長く黒い髪がその容姿に大変似合っており『アイドル顔負け』、『芸能界の奴らスカウトミスしてやんのwwワロタww』など様々な名誉ある勲章を持つ、新生JKである。


 ポテンシャルも魅力も申し分なし。これから先、伸び代しかない子である。そんな子がうちの高校の姫なのだ。


 このようにズバ抜けた素質を持つ子が姫をやっているおかげで、よく美女を例える時に使われる【天使】なんて言葉は軽く通り越し、その先の【女神】すらも跨ぎ、居並ぶ神様もごぼう抜いて【天地開闢てんちかいびゃく始神ししん】として崇められている。


 既に信者の数は校内数百人に登り、入学式当日にファンクラブも乱立されたとの噂も聞いている。


 いかんせん背景が男子校だった事もあり、この辺りの勢いは共学の学校と比較にならない程の爆発力があったのではないかと思う。


 そしてここが最重要ポイントなのだが【開闢の始神】の異名を持つ姫の素性がなんと、俺の親友である河原達也の従妹なのだ。


 姫がこの高校に入学する前からの顔見知りである為、盲目化は避けられているというカラクリである。


 昨年から達也の家にお邪魔した際に、何度も顔を合わせており、綺麗な子だなとは思っていたが、まさか男子校同然の学校に入学してくるとは思いもしなかったけどね……。


 てっきりお嬢様が通うような、私立の女子高にでも進学すると思っていたのに……。


出来る限り毎日投稿頑張って行きます!

宜しくお願いいたします!

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