目立ってはいないが目を付けられている
港町は現在プレイヤーで溢れかえっていた
原因は船を手に入れたプレイヤーが現れ海を渡ることが可能になったからだ
そのプレイヤーとはあの釣りクランである
船といっても漁船なのだがそれなりの人数を乗せることができ既に海の向こうに渡っている
船に乗れるのは釣りクランと関わりのある一部のプレイヤーやクランだけなのだが便乗しようとプレイヤーたちが集まっていた
ノブオはというと当然港町から離れており別の場所へ移っていた
話は変わるがノブオは特に目立ったプレイヤーではない
基本的にはセオリー通りにプレイしているので当然だ
しかし一部のプレイヤーたちからは密かに注目されていた
ノブオに目をつけているのは生産職のグループやクランといったコミュニティだ
ノブオのようにどこにも所属しないソロの生産職のプレイヤーは珍しくないがほとんどの場合は他との関わりを持たないことが多い
しかしノブオの場合 割りと頻繁に現れ協力してくれる
基本依頼でしか関わりがないのだがノブオに対する評価は好印象だ
生産職は地味で派手さはなく目立たないがそれなりにプレイヤーはいてそこそこのグループとクランがある
しかし大きな案件の場合手が回らない時があったりする
各クランやグループ内だけで賄えない仕事の時は助っ人の募集依頼を出すのだが中々集まらないことが多い
集まってくれるプレイヤーはいるのだが大抵のプレイヤーはレベルや熟練度が低いことが多く戦力にならない場合が多い
それなりに育っている生産職プレイヤーは大抵どこかに所属しているか完全にソロで活動しているのでまず来ない
ならば他の生産グループなり個人に直接交渉すれば良いのだがそこまでするのは余程大きな仕事でないとマイナスにしかならないので上記以外のプレイヤーを集めるのがまだマシなのだ
そういった中でふらっと現れ依頼を受けるノブオは各生産職グループの間で重宝されていた
その理由は何処にも所属しないソロの生産職でありながら依頼を頻繁に受けてくれる上に仕事は常に安定していて安心して任せられる技量を持っているからだ
本来それだけの逸材なら即スカウトするところなのだがノブオはソロで活動するのが好きなプレイヤーだ
強引に勧誘して二度と現れなくなるのも困るし何より他人のプレイを無理強いするのはマナーとして宜しくないのであくまで助っ人として今度も良い関係で付き合っていこうという方針で生産職たちのコミュニティでは話がまとまっていた
要するにノブオはお助けキャラ的な存在として扱われていた
ノブオはフレンドなど親しいプレイヤーを滅多につくらない為ノブオの居場所は生産職コミュニティの間で常に共有されていた
そんな状況になっていることをノブオは知らずに今日もマイペースに活動していた