抜きつ抜かれつ
道路交通法では、追い越しの方法も定められています。
追い越しには進路変更も含まれます。
進路変更をしてはならない場合の定めもあり、道路標示で禁止されている他は、法第二十六条の二の3で規定されるように緊急車両を優先する場合も進路変更はできません。
追い越しされる側は追い付かれた場合、加速してはなりませんし、左側へ寄せて進路を譲らなければなりません。
世間一般ではこの規定を無視して進路妨害する方がいますし、警察官等も速度抑止の観点から意図的に追い越しする側を悪し様に見ますが、法令上は譲り合いの精神で円滑な交通を実現するように規定されていますから、後続車に追い付かれたら特段の事情がない限りは進路を譲りましょう。
追い越しする車両は、必ず右側から追い越しするよう定められています。
例外は右折待ちをしている車両がいた場合で、この時は左側から追い越しても良いとされています。
追い越しが禁止されている場面は、追い越ししようとしている車両に対しての他、曲がり角付近、登り坂の頂上付近、急勾配の下り坂、トンネル、交差点と横断歩道、踏切などの中及び手前三十メートル以内とされています。
更に路面電車が乗客を乗降させている場合も追い越し禁止ですが、乗降場所が安全地帯であれば徐行で進行できます。
路線バスに関しては、その発進を妨げないような通行が求められます。
なお法令上は明確な記述はありませんが、「追い越し」と「追い抜き」は違います。
「追い越し」とは前車の側方を通過して、同一の進路、通行帯に入る行為です。
前車の側方を通過して、同一の進路に入らなければ「追い越し」ではなく「追い抜き」になります。
道路交通法第二十八条では、左側からの追い越しは禁止していますが、追い抜きは禁止していません。
とは言え、後続車に追い付かれた場合は左側に寄って進路を譲るよう明記されていますので、法令を遵守して右側車線から左側車線に移って、速度の速い車両を先に行かせましょう。
第二十六条の二 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
3 車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によつて区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。
一 第四十条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。
二 第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のため、通行することができなかつた車両通行帯を通行の区分に関する規定に従つて通行しようとするとき。
(罰則 第二項については第百十七条の二第六号、第百十七条の二の二第十一号ニ、第百二十条第一項第二号 第三項については第百二十条第一項第三号、同条第二項)
第二十七条 車両(道路運送法第九条第一項に規定する一般乗合旅客自動車運送事業者による同法第五条第一項第三号に規定する路線定期運行又は同法第三条第二号に掲げる特定旅客自動車運送事業の用に供する自動車(以下「乗合自動車」という。)及びトロリーバスを除く。)は、第二十二条第一項の規定に基づく政令で定める最高速度(以下この条において「最高速度」という。)が高い車両に追いつかれたときは、その追いついた車両が当該車両の追越しを終わるまで速度を増してはならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。
2 車両(乗合自動車及びトロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、最高速度が高い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路の右側端。以下この項において同じ。)との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、第十八条第一項の規定にかかわらず、できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。
(罰則 第百二十条第一項第二号)
第二十八条 車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。
2 車両は、他の車両を追い越そうとする場合において、前車が第二十五条第二項又は第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央又は右側端に寄つて通行しているときは、前項の規定にかかわらず、その左側を通行しなければならない。
3 車両は、路面電車を追い越そうとするときは、当該車両が追いついた路面電車の左側を通行しなければならない。ただし、軌道が道路の左側端に寄つて設けられているときは、この限りでない。
4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)は、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。
(罰則 第一項及び第四項については第百十七条の二第六号、第百十七条の二の二第十一号ホ、第百十九条第一項第二号の二 第二項及び第三項については第百十九条第一項第二号の二)
第二十九条 後車は、前車が他の自動車又はトロリーバスを追い越そうとしているときは、追越しを始めてはならない。
(罰則 第百十九条第一項第二号の二)
第三十条 車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(軽車両を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。
一 道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近又は勾配の急な下り坂
二 トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る。)
三 交差点(当該車両が第三十六条第二項に規定する優先道路を通行している場合における当該優先道路にある交差点を除く。)、踏切、横断歩道又は自転車横断帯及びこれらの手前の側端から前に三十メートル以内の部分
(罰則 第百十九条第一項第二号、同条第二項)
第三十一条 車両は、乗客の乗降のため停車中の路面電車に追いついたときは、当該路面電車の乗客が乗降を終わり、又は当該路面電車から降りた者で当該車両の前方において当該路面電車の左側を横断し、若しくは横断しようとしているものがいなくなるまで、当該路面電車の後方で停止しなければならない。ただし、路面電車に乗降する者の安全を図るため設けられた安全地帯があるとき、又は当該路面電車に乗降する者がいない場合において当該路面電車の左側に当該路面電車から一・五メートル以上の間隔を保つことができるときは、徐行して当該路面電車の左側を通過することができる。
(罰則 第百十九条第一項第二号の二)
第三十一条の二 停留所において乗客の乗降のため停車していた乗合自動車が発進するため進路を変更しようとして手又は方向指示器により合図をした場合においては、その後方にある車両は、その速度又は方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした乗合自動車の進路の変更を妨げてはならない。
(罰則 第百二十条第一項第二号)
第三十二条 車両は、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため、停止し、若しくは停止しようとして徐行している車両等又はこれらに続いて停止し、若しくは徐行している車両等に追いついたときは、その前方にある車両等の側方を通過して当該車両等の前方に割り込み、又はその前方を横切つてはならない。
(罰則 第百二十条第一項第二号)




