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小説の書き方 ~小説を書きたい・書いている人へ捧ぐ、物語の極意~  作者: ぶるすぷ
ストーリー編:『転』こそがエンターテイメント!
6/9

小説を書くために必要な伏線は、もう既に揃っている

 起承転結という言葉をご存知だろうか。


起:主人公の置かれている状態、劇の説明

承:主人公の置かれている状態にある事件が起こり、これから段々劇が展開して行く過程

転:一つの劇のヤマ場で結果に赴くための転化

結:承、即ち事件とそれによって起こった転化によって出された結果

(wikipedeia「起承転結」より引用)


 物語の構成を大きく四つに分け、それぞれの役割を簡潔にまとめた言葉である。

 エンターテイメント性のある小説のほとんどが、この『起承転結』を踏まえた上でのストーリーとなっている。裏を返せば、起承転結をきちんと考えた上でストーリーを作れば、読者にエンターテイメントを伝えられるということでもある。

 ストーリー構成を意識するのと意識しないのでは、小説全体の完成度が大幅に変わってくる。どれほど文章力があろうと、何をしたいのか分からないような展開や結末ばかりでは面白くない。


 サッカーはドリブルが上手くてもチームプレーが下手であれば余裕で負ける。『文章力』という選手一人だけが上手くても、他の選手がパスできなければ無意味。チーム全体が強くなければ勝てないのだ。

 もちろん文章力はどれだけあっても構わない。しかし小説の中核とも言えるストーリー構成は、文章力や世界観・キャラ設定などという個々の力よりも頭一つ飛び抜けて重要だ。

 土台が脆ければ、その上に立つ個々の力も簡単に崩れる。

 だがそれは、土台が強ければ強いほど個々の力が輝いて、応用の効く、自由で新しい世界を物語の中に広げられるということでもある。


 ストーリー編では小説の土台とも言える『起承転結』の作り方、及びエンターテイメント性を持ったストーリーの作り方を私なりに紹介させていただきたいと思う。 


*


 小説を読んでいて、どのような時に驚きを感じるだろうか。

 死んだはずの人物が登場した時。負けると思っていた戦いに勝った時。絶対に付き合えないと思っていた相手と両思いだった時。これらは全て正解である。

 今挙げた例に限らず、他にも驚く場面というのは沢山存在するだろう。

 驚きとはつまり思ってもみなかった結果であり、読者に『面白い』と思わせるために必要な感情。

 恋人だと思っていた女の子が実はホモだった、などというクソ展開であっても、予想していない急展開であればやはり読者は食いつく。

 むしろ、読者は変化を望んでいるのだ。

 『ほのぼのスローライフ』とタイトルに書いてあるからと言って、ずっとスローライフしているのかと聞かれればそんなことはまず無いだろう。それは結局、スローライフの中にも小さな事件が散りばめられ、その変化を主人公がどうにかしていく過程が、その作品の主軸となっているからである。


 予想していた結果や想定していた内容と事実が異なった時、人は驚き「おもしろい」と感じるのだ。


 では、読者を驚かせられるようなストーリーは、具体的にどのようにして作れば良いのか。

 予想を裏切る展開を作るにはまず『予想』を作らなければならない。

 読者に『これは絶対〇〇だ』と信じ込ませるのだ。予想を裏切るために、事前に予想を作っておく。これがいわゆる伏線。

 そして山場で『実は〇〇でした』と種明かし。これが起承転結の『転』の部分に当たる。

 どれだけ読者を騙せるかというのは、伏線でどれだけ『〇〇だ』と信じ込ませられるかにかかっている。伏線の辻褄が合うようにするために、伏線のための伏線を書いたり『起』の部分で説明したり、世界観や設定そのものをいじったりする。


 伏線を増やすほど物語が濃くなっていくが、その分読者が混乱する可能性が増えたり、文が説明ばかりになってしまう。物語をどの程度複雑にするのかは、作者の筆力次第とも言えるのかもしれない。

 あまりに不自然な伏線や設定は読者に受け入れられない。また伏線なしに『転』が始まってしまうことはしばしば『ご都合主義』と呼ばれ、これも受け入れられない。

 また、伏線をたくさん作れば作るほど良いというわけでもなく、少ない伏線や説明でテンポよく書かれた作品にもヒット作は存在するだろう。ギャグコメディーなどのジャンルではかえって、繊細な描写や濃厚な設定などは敬遠されがちだ。どちらかというと物語全体のテンポの良さの方がが重視される。必ずしも伏線が重要というわけではないのだ。


 ざっと基本的なことを書き上げたが、この説明だけ聞くと難しそうに感じる方も多いかもしれない。しかし、これこそやってみないと分からないことだ。

 一発目で上手くいくことなどほとんどないのだろうし、むしろ最初は大失敗に終わることが普通だ。

 だからこそ、失敗してもいいやぐらいの気軽な気持ちで挑戦してほしい。

 〇〇だと思っていたら、〇〇だった。

 自分には難しいものだと思っていたら、思っていた以上に簡単だった。

 ほら、これだけでもう、予想は裏切られる。

 もしかしたら小説を書くというのは、あなたが思っているほど難しくないのかもしれない。簡単なのかもしれない。本は読まなければ内容がわからないが、小説だって書いてみなければ結果は分からない。

 誰も予想できない、あなたが小説を書くというストーリーを始めよう。

 『小説を書きたい』と思った瞬間、あなたが小説を書くために必要な伏線は、もう既に揃っているのだから。

 

『小説を書くために必要な伏線は、もう既に揃っている』終

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