ミスりやすい文章のルール
文章を書く上でのルール。
これは小説を書くための一つのマニュアルのようなもので、これさえ守って書けば文章として成立する。
逆にこのルールを守らなければ、書いた本人にしか理解できないような文章ができあがることだろう。
あえてルールから外れることもよくあるが、しかしそれは、大前提としてルールを知らなければできない高等テクニックである。自転車にも乗れないような人間がバイクを運転しようとするようなものだ。それができるのは本物の天才だけ。不可能ではないが、無謀ではある。急がば回れということわざがあるように、焦らず一から順に学んでいくというのが無難だろう。
今回は沢山あるルールの中から、ネット小説でよく見られるミスを抜粋して解説することにする。
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――適度に読点をつける――
ネット小説では、読点を付けずに長文を書く人を時々見かける。
そのような作品が悪いと言うわけではないが、少なくとも読者目線で言わせてもらうと、「かなり読みにくい」。
試しに読点無し縛りで書いてみるとよく分かるが俗に言うマシンガントークというものを聞いていて疲れることと同様にとても読者に負担がかかってしまう。どうだ読みにくいだろう。
逆に読点が多すぎる場合もけだるさを覚えてしまう。
試しに、付けられそうな場所に、全部くまなくつけてみると、途切れ途切れで、まるで、息切れしているような、下手くそに見える、いや、正直に言えば、普通に下手くそで、拙い文章になってしまう。どうだ、気持ち悪いだろう。
どんなに嫌でも、より多くの人に読んでもらいたいと思うならば適度に読点を付けるべきだ。
ちなみに、私は読点を多くつけすぎてしまう癖があるので、推敲(書いた文章の点検作業)をする際には読点を意識的に減らすようにしている。
――『!』『?』の後は一マス空ける――
*ありえない!と、私はそう激怒せざるを得なかった。*
これは間違いである。
*ありえない! と、私はそう激怒せざるを得なかった。*
これが正解だ。
このミスはあまりに多い。なろうのランキング上位の作品ですらミスしていることもあるほどだ。
知らなかったという方は、ここでしっかりと覚えて欲しい。
このミス次第で読むか読まないか決める読者だっているのだ。
『これぐらい別に良いだろう』などと変な妥協はせずに、きちんと書き改めてほしい。
なお、『!』『?』の後ろを空けない書き方で著された作品もあるようだが、今現在は一マス空ける書き方が主流である。
――三点リーダーとダッシュ――
三点リーダー『…』とダッシュ『―』の用法について。
これも非常に間違いが多い。
どちらも『二の倍数上』づつ並べる。つまり、二つでひとかたまりということだ。
*…ありえない*
*………ありえない*
*―ッ!*
*―――ッ!*
これらは間違いである。
*……ありえない*
*――ッ!*
これが正解だ。
沈黙表現の際は「…………」と、三点リーダー四つで現す。
『!』『?』の場合にも言えるのだが、三点リーダーやダッシュなどの記号を多用しすぎると、小説としていかがなものかと思われがちである。
私もあまりいい印象を抱かない、いや、抱けるワケがないんだ……………………ッ!!!!!! どうだ、おかしいだろう。
三点リーダーやダッシュなどの記号はできるだけ使わずに、地の文で表現することを意識して書くと文章力も上達するのかもしれない。
逆に、記号を使いまくることを主題とした小説を書いても、面白いのかもしれないが。そのつもりが無い方は、無難な選択をすることをオススメする。
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以上が、ミスりやすい文章のルールである。
他にも沢山ルールはあるが、この三つを特に意識するべきと私は考えた。単純に間違えが多いからである。
読めば分かるだろうが、なろうの小説の半数以上が、このル―ルのいずれか一つ間違っていると言っても過言ではない。
この三つをよく意識して書いてほしい。
だが、ルールというのは危険要素でもある。
ルールがあるからこそ誰でも読める小説が書ける。しかしながら、ルールがあるからこそ表現の幅に制限がつく。
世の中には『ルールを守れ!』と指摘する人も多いだろう。だが私は、そんなことは言いたくない。
今この文章を読んでいる方の大半は、小説を書きたい初心者だと推測される。だからあえて言わせてもらう。
ルールなど気にせず書きまくってほしい。
ルールがああだこうだと必死に訴えられようが何しようが、書けばそれは小説だ。
逆に、ルールがああだこうだと訴えたとしても書かなければ意味がない。ルールを気にして手が止まるぐらいなら、支離滅裂で黒歴史確定のゴミ文章を書き続けるべきだ。私もそうやって成長してきた。
ルールが何だ? 小説を書くのに規則を設けてばかりで楽しいか? そんなことあるわけないだろう。
小説を書かずして他作品に『ルール違反だ』と指摘するのは間違っている。そんなことをしている暇があるのだったら、今持っている白紙の紙に一文字でも多く書くべきだ。
本当に恥じるべきは、拙いと酷評されるような文章ではなく、何も書かれていない白紙の文章なのだ。
ルール違反、いいだろう。上等である。違反しなければ分からない世界だってあるだろう。違反した上で見えてくる文章もあるだろう。
だからルールにとらわれず、感嘆符連打、超ロング三点リーダー、謎のルビ、『あ』の大名行列、行間空けすぎ作品、もうなんでもやってみて欲しい。
間違いなど間違ってから修正すればいいのだ。
そうやってルールは作られてきたのだから。
『ミスりやすい文章のルール』終