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蜜柑  作者: ネク
2/2

-回想-

今までであなたが1番恋をしていたときはいつですか?

と聞かれたら僕は間違いなく中学の頃と答えるだろう。


馬鹿なことに僕は3年間も叶わぬ恋をし続けたのだ。

全く、自分に呆れる。


でもそれくらい彼女は僕にとって魅力的な存在だったのだ。(会えなくなってしまってからはよくわからなくなってしまったのだけれど。)



なんせ僕は初めて“一目惚れ“というのをしてしまったのだから。



彼女とは、中学1年生の時に同じクラスだった。



出席番号順の席が近かったから、かわいい彼女の姿は自然と僕の視線を奪っていった。


名前は桃夏


彼女と話している時が、1番学校生活を彩ってくれる唯一の瞬間-

君が話す一つ一つの言葉、喋り方、行動、その全てが愛しい。


これはもう手遅れ。重症。

僕はどっぷりと彼女にハマってしまった




そして、彼女は優しいから、こんな僕でも笑顔で楽しそうに話してくれるんだ。

そういう所がとても好き。



まだほかの男子には彼女の魅力はバレてないかも。

入学してからの1ヶ月間、彼女の1番そばにいたのは間違いなく僕だった。


どうだ、羨ましいだろ?

そう心の中で息巻いたものの、彼女の魅力は、だんだんと知れ渡り、人を引き寄せ、僕が話しかけれるタイミングを失って1週間もたち、僕の立ち位置は、よく話すクラスメイトから、ただのクラスメイトになってしまった。





そして、中学に入ってから初めてのテスト週間。

彼女はいつも通り僕の斜め前の男子に数学を教えて貰っているようだった。


羨ましい。俺もそばにいって教えてあげたい。

そのポジション俺に譲ってくれよ


「あとどこがわかんない?」


「んー、あ、ここ。これはどうやってやるの?」


「こんなん、さっきの公式利用すればできるやん」


「もーまたそーやってバカにしてさー!でもこれさっきと問題文ちょっと違うじゃんか」




2人がどんな風にやり取りして、彼女がどんな反応をしているのか気になって、こっそり盗み聞きしてしまう。自分の勉強に集中できるわけなんかない。



気づけば僕はぼーっと、目の前で繰り広げられる2人の様子をみていた。


数学を教えている彼女の隣の席の男子は説明しなくても彼女とのやり取りからわかるかもしれないが、僕よりうんと頭がいい。

名前は“利央“。

俗に言うイケメンである。

頭も良くて顔もいいのだから、手も足も出ない。



でもそんな利央と桃夏のやり取りを見てイライラが募った僕は自分の感情を表に出さないよう注意しながら


「何がわかんないの?」


と、二人の間に入って声をかけた


「これ、利央の説明じゃよくわかんないの」


「おいおい、お前の頭が足りないから理解出来ないんだろ?」


「竜樹はわかるのー?」


「ん?これもう解いたからわかるよ」


「嘘!負けたぁ〜、なんか悔しいわー」


「なにそれ」

僕は笑って答えた。



今、久しぶりに桃夏と話すことができている。

それだけで一日が満足出来る。ほんとに単純。



「やっぱムズい」


「竜樹の丁寧な説明でわかんないならもう手遅れだな」


「えー、どうしよ」


「諦めろ」



何としても彼女の役に立ちたい、そう思った僕は、彼女を今度の土曜日に勉強会と称して誘ってみた。

いつも話しているように、自然に、さらっと振る舞いながら。


でもあとから振り返ってみれば、顔は強ばっていただろうな、と思う。


そんな彼女からの返事はこうだ


「え!ほんとに!お願いします!」


よかった、、緊張が溶け、ほっとする。



これがきっかけで、僕と彼女はこれから何度も遊ぶようになる。



彼女に恋人が出来たことを知るまでは。

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