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シロエとクマ  作者: むあ
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2/2

シロエとクマ 2


 もちろん、悲(かな)しんだのは王子(おうじ)だけではありません。



 木苺(きいちご)のようせいはそのできごとを"いちからじゅうまで"全(すべ)て見ていたのです。シロエが大好きだったようせいは、王子をにらみつけて言(い)いました。



「わたしたちの大切(たいせつ)なシロエをよくも傷(きず)つけたな!」


  おこったようせい達(たち)はとてもおそろしい顔(かお)をして、王子にまほうをかけました。


「わぁぁぁぁぁぁ!!」








 しかし、そのまほうは王子には当(あ)たりませんでした。

 王子の家来(けらい)が彼(かれ)をかばい、その大きなからだでまほうをうけとめたのです。


「おぉ、ウズよ……なんていうことだ」


 王子はその日、美(うつく)しい娘(むすめ)のシロエをうしなうだけではなく、国一番(くにいちばん)のすばらしい家来のウズも、うしなってしまったのでした。ようせいは、シロエを傷(きず)つけた王子におこっていたのですが、王子ではなく家来にまほうがあたってしまったことに、とてもおどろいていました。




 本当ならそのようせいのまほうは"死(し)"のまほうで、王子の家来はたちまち死んでしまうはずです。家来のウズは息(いき)もたえだえに、最後(さいご)にこう言ったので、王子は泣(な)きながらほかの家来と一緒にかえっていきました。


「王子、早(はや)く国におかえりください。これはぜんぶ、わたしがやったことなのです……」








 ようせいはそんな家来のウズがとても心(こころ)のやさしい男(おとこ)なのだとしると、かわいそうになって死のまほうを解(と)いてやりました。しかしウズはそのよこでたおれる娘のシロエを見てこう言いました。


「ようせいよ、わたしはこの娘さんをどうにかして助(たす)けることはできないのか」と。




 ようせいはもちろんそうしたかったのです。しかし小さな木苺のようせいには、そんな大きなまほうを使(つか)うことはできません。なのでようせいは、そう言ってくれたウズにひとつだけ方法(ほうほう)があるのだとつたえました。


「この林(はやし)のおくの小屋(こや)に、それはそれはおそろしい"まじょ"がすんでいるんだ、"にんげん"がだいきらいだけど、彼女(かのじょ)のまほうはとても大きい。まじょから命(いのち)の水(みず)をもらってこれば、シロエは助かるはずだよ」



 ウズはそれをきくなりたちあがって、林のおくに歩(ある)いて行きます。









 シロエはウズがいなくなってすぐに、小さな町の住人(じゅうにん)が見つけたのでした。見つけた青年(せいねん)ももちろんシロエが大好きでしたからおいおい泣きました。シロエは家(いえ)にかえっても、もう話(はな)すことはありません。おかみさんは心(こころ)の強(つよ)い人でしたが、顔(かお)をまっさおにしてたおれてしまいました。



 小さな町は、人々(ひとびと)がシロエのしんでしまったことに、ふかくふかく悲(かな)しんだせいで、その悲しみは"まほう"を呼び、まほうの雲(くも)は小さな町をおおいかくしてしまいました。小さな町にたいようが顔(かお)をだすことはなくなってしまったのです。





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