スワンプレミングス
第一防衛線突破と聞いて市庁舎に急いで戻る。
確かに沼小鬼がぞろぞろと、外堡内部の曲輪に侵入しているが小門が破られたようには見えない。
夜の帳が下りてきてよく見えないが、沼鬼はまだ壁の外だ。
「どこが破られたの?」
「破城槌をハシゴ代わりに登ってきました。あと、沼鬼が網を投げ入れてきたんですよ」
ザシャ先生が言うには、泥鬼が背負っていた大きな袋のようなものは、網だったらしい。
初日に砦の前で嬲っていた人間を入れてきたその大網に沼小鬼を詰め込んで、それを泥鬼がが土塁の上めがけて雑に投網。
(土塁上部にぶつかった時と、着地した時の衝撃で何匹かは潰れて死んだらしいが)網の中から沼小鬼が這い出してきたらしい。
思わず眉間にシワが寄る。
ああそうだ、あいつら筋脳だった。
(ダイスロール(3D10)+6= [8] [2] [1] 13匹死亡)
網は3回ほど投げられ、17匹ほどが投網で内部に侵入。
隣で、破城槌を担いだ泥鬼を雲梯がわりによじ登ってるのになんで投げてんだよ。
埒があかなくてキレたっぽい。
まあ城壁を隔てて対峙してる時にキャストされなくてよかった。
夜に備え、ミルチャさんのところに行かせたリセイネルさんから連絡が入る。
侵入してきた沼小鬼の一部が、外と連携して小門横の薄い土塁部分へ破城槌を持った泥鬼たちを誘導してるらしい。
知恵がまわるのもいるみたいだ。
侵入してきた200匹ほどの沼小鬼は、そのほとんどが豚の声につられマグマトラップの方へ一直線。
《ゲヒャー! ニンゲンどこダァー》
《コロせコロせ!!》
《オレっちの"ヤッベェ切れ味の棍棒"でムチャクチャキりコロす!》
《ニンゲンいねーじゃねーカ! ニンゲンクイホウダイってハナシじゃねーのカヨ!》
《ガセかよ!!コロせ!》
《トりモドせ!!》
ブヒーブヒー!
《あっちにブタダ!》
《ブタ!ブタ!》
《ブタクわせろブタ!》
【2/3以上が罠に気がつけば罠回避】
(判定 (2D100)= [60] [60] 合計120 失敗)
(ダイスロール (2D100)= [18] [62] 80匹落下! 残り120匹)
《ブタ!ブタ!》
《ワナダ!! オすんジャネーヨ》
《ブタ!ブタ!》
《ブタクわせろブタ!》
《ブタ!ブタ!》
面白いようにマグマトラップへレミングスする、泥小鬼。
集団自殺は迷信だっけ?
(判定 (1D100+10)= [61] 合計71 失敗)
(ダイスロール (1D100)= 73 73匹落下 残り47匹)
《ブタ!ブタ!》
《ギャー!!》
《ブタクわせろブタ!》
《ブタ!》
相当数が罠に気がつくも、後ろからどんどん仲間が突入してくる。
そして仲間に押され、マグマ溜まりに落ちていく沼小鬼たち。
【半分以上が罠に気がつけば罠回避(数が少なくなり、圧力が減ったってことで)】
(判定 (4D10+7)= [7] [5] [0] [7] 合計26 成功!)
《ワナダ!!ワナダモドれ!!》
《ブタ!ブタ!》
《ワナダってイってんダロ!》
《オすナ!コロすゾ!》
《モドれモドれ》
153/200匹がマグマダイブ。
罠を回避して戻ってきたのは、47匹。
後方にいるものを含めても、沼小鬼の数は100を切っている。
ざっくりと、敵残戦力は
沼鬼:36
沼小鬼:90
マグマトラップGJ。
「奴らは自分がいい目を見るための悪知恵だけは働きますが、基本的に馬鹿ですから。目の前で仲間が死ねば恐怖で逃げ出しもしますが、その様子を目撃しなければ周りが何か言っても、特に気にしたりしませんからね」
フェデルマさんが沼小鬼たちを嫌ってるのはわかる。
えらい言われようだ。
でもさすがに生き残った沼小鬼が仲間に罠の存在を知らせて終了だろ。
とか考えていたら、罠を回避した生き残りの47匹すべて、まっすぐ市庁舎に向かってくる。
おお、バカがいるw
あれだけの仲間が目の前で死んだのに。
いやバカで助かった、バカ最高。
「本体に合流させずに殲滅させたいな」
「お任せください」
だだ漏れてた心の声に対して、人狼のルフさんが名乗りを上げる。
「窪地に侵入したところを背後から殲滅させます」
「一人で?」
「我らはいつも一緒です」
自信ありげに頷くルフさんと子供たちかわいい。
悲壮感漂ってる気もする上に、結構な残敵数だけど大丈夫かな?
「わかった、無理はするなよ。外門砦前に囮の豚を用意する。こちらに誘導してくれたら、上から弓で援護させる。窪地の下にはマグマトラップがあるから、衝撃を与えすぎて落ちないように気をつけて。退却経路は状況に応じて、外門砦の奥、もしくは市庁舎の側面から」
軽く頷き、二人の子供と共に出て行く人狼。
うーんカッコいいなぁ。
「ザシャとクーリンディアは射撃準備。ルフたちに当てるなよ。モットーは 国造の精に豚の準備をさせろ」




