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まったり城塞都市をつくろう  作者: Kiryo
本当の拠点をつくろう
82/120

葬儀

モットーの報告書

鹿狩りの月 24


死亡:1名

マクダ(人間 女性 6歳)

死亡理由:魔物による食害(推定)


以上




鹿狩りの月 25


翌日、小堡バービカンの外、教会建設予定地の近くに子供の遺体埋葬が行われた。

名前も知らなかったし話したこともないけど、こっちを見て手を振ってくれたのは覚えてる。


人狼ライカンスロープたちが、少女を抱えてきたときには、半身を失い既に事切れていた。

母親が半狂乱になって、血まみれの少女を奪うように抱きかかえてたのを目の前で見た。



母親が精神的にかなりやばそうだったので、厠の神フルヌカンのフールーさんに相談して、少女の母親に声をかけてもらう。

こういう時は何でもいいから、話し相手とやることが必要だと思うので、無理しない範囲でエミリアさんや竃の神ヒヌカンのヒヌカさんと食堂で仕事をしてもらいつつ一緒にいてもらう。


教会は仮設小屋だったから、こちらも早めに手をつけないと。



市庁舎シティ・ギルドの執務室で、いつもの音読大会。

昨日の人狼ライカンスロープ及び、ハーフエルフからの報告によると、噛み跡などから巨大な熊、もしくはそれに類する魔物による食害の可能性が大とのこと。

人狼ライカンスロープは鼻がきくし、ハーフエルフは優秀な森の斥候スカウトなのでこの情報は信頼できると判断。


人狼ライカンスロープとハーフエルフたちには引き続き周辺偵察行動を依頼、無理をする必要はないが可能なら対象の排除を」



ここ数日、夜になると魔物の気配が大きくなると報告も増えてきている。

人狼ライカンスロープの子供の耳が「へにょん」となっててかわいい。


吸血鬼ヴァンピールのミルチャによると、実際魔物らしき姿は増えているがどうにも気配がおかしいという。

意味がわからんが、要警戒お願いということで。


さらに、人間の亜人に対する態度の変化、特に人狼ライカンスロープへの憎悪のようなものを感じると複数の報告を受ける。

人狼ライカンスロープとハーフエルフの自作自演っていうシナリオは個人的に無理があると感じたので、俺は報告を信じたけど、そもそも感情っていうのは理屈じゃないってのもわかる。


ただ、遺体を発見して運んできてくれた相手に対する態度としては、まあ言葉を選んだとしても反吐が出るレベル。


ってか種族間対立とかマジ勘弁。余所でやれよ。

いや、俺が出ていけばいいのか?


悶々としていると、モットーくんから指示待ちの圧力を受ける。

モットーくんに丸投げしたらうまく差配できるんじゃないかな。



「えーと、何から先に手をつけなきゃいけないんだっけ」

頭が回らないので口に出してみるが、大した効果はなし。


「法整備が急務かと存じます」

モットーくんから10歳とは思えない言葉が出る。すげーな。

ってか、法整備?


「法は何かが起こった時の対処だけでなく、抑止の効果があります」

おお、なるほど。

法規範とか社会秩序をどうこうってことね。


「モットーくんは法律に詳しい?」


「法律家ではありませんので、慣習法以外は嗜み程度です。現在、租税関係は免除と伝えてありますが、こちらも急ぐ必要があるかと思います」


「んー、とりあえず識字能力のある人を集めてくれる? あとはそのあたりに明るそうな長老とか。可能であれば今日中に」


「畏まりました」



現代日本の法律はなじまなすぎるし、細かいところはよくわからん。

十七条憲法は帝王学というか上様の話だし、律令は単純に言えば、律が刑法的、令が行政法だけど、範囲が広すぎる。と言うか再定義・体系化なんてできるかボケ。


もっと簡単な、古代ローマ法を思い出してみる。


"明らかに醜い子は殺さなければならない"

とか、

"貴族と平民は結婚できない"

とかあったな。


でも、モットーくんの言ってるのはそういうことだよね。



十表法とか十二表法の気に入らない部分を削除する感じで大枠を決めて、律令法みたいに各氏族やらの慣習法をすり合わせる感じでいいのかね。

足りない部分は後で継接ぎ。

ああ、面倒臭い。


何で俺が法律とかつくんなきゃいけないんだよ。

こっちの文字も読めないのに。

そういえば漢文が東アジアの通商語だったことを考えれば、モットーくんにひらがなを覚えてもらうのもアリかもしれない。

いや、むしろ漢字か。



駄目だ、文盲すぎる。

文字を教える初等学校でもつくって俺も教わればいいのか?


いっそのこと、名ばかりの主塔ベルクフリートとか潰して、あの辺全部学校にすればいいのか?

でもなんとなく崖の上につくりたい気もするんだよな。


今回は小堡バービカンの外で起こった事故みたいなものだから、打てる対策は限られてくる。

一応、外壁増設のついでに侵入口がないか再度確認。

コボルトたちのおかげで石素材も増えてきたので、可能な範囲で石壁も増設。



夜はみんな小堡バービカンの内部に入るが、子供も労働力と考える風潮が強いので、昼間はどうしても外に出る機会が増える。

みんなを閉じ込めておくわけにもいかないとはいえ、年齢によっては宿舎に入ってもらうことも合わせて考える必要があるかもしれない。

そろそろ本気で学校整備しないと。



あれ、なんでこんなに忙しいんだっけ?

モットーの報告書

輝く月 11


住人数についての報告

報告者:モットー ドリュアス


追加難民:2名

人間(2)


死亡:1名

ハンネス(人間 男性 16歳)

死亡理由:食害



住民総数:115

内訳:

招来者ブリンガー:3

人間:93

ドワーフ:8

ハーフエルフ:3

人狼ライカンスロープ:3

熊猫人ウェアパンダ:2

吸血鬼ヴァンピール:1

人虎ウェアタイガー:1

龍人ドラグメイド:1



備考

食害被害について

先日の私闘時逃亡した一人と判明



以上


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