禁断の果実
「めぇー」
対岸にあがると、白いヒツジと黒いヒツジが草を食んでいた。
牧歌的な風景だ。羊を見ながら歩いていると
「ボチャン」
水に落ちた。
木の横に2×2の水たまり。
さっき溺れかけたばかりだから、ここは冷静に対処するぜ。さっさと上がろう。
プカーン プカーン
プカーン プカーン
……一段高くなっていて、上がれない。プカプカするだけだ。
若干焦るが、潜って深さを調べると先ほどの河と同じくらいだ。ただ足がかりがないので上がれない。
まずは底まで沈んで、壁を掘って階段をつくろう。
壁を殴るが、いつもより砕くのに時間がかかる。体が浮いてうまく砕けない。そうこうしているうちに穴の内側に入り込んでしまう。上部が閉じていて息継ぎが出来ない。
苦しいw
右往左往しながら開いた箇所から息継ぎ。
ってなことを数回繰り返す。
駄目だ、うまく掘れない。
そうだ、掘れないならブロックを置けばいいじゃない。
(なぜか)手に持っていた長い草ブロックを土ブロックに持ち替える。ふわふわ浮いてしまい、置きたい箇所になかなか置けないが、息継ぎ息継ぎ、なんとか完成させて生還。
1日に何回溺れるんだよ。
また落ちそうなので、この穴はふさいでおこう。
見回すと周囲には、茶色や白樺風の木が茂っている。
木々には緑の葉が茂っている。実はこの葉もブロックになっていて、当たり判定もあるので通り抜けられない。(ちなみにさっき持っていた長い草ブロックは通り抜けられる)
しかも、木の部分を採取すると葉のブロックだけ宙に浮いたまま残るので、かなりシュールな風景になる。
細かいことは気にせずに伐採作業開始。
「ザシュザシュ」「サクサク」伐採していると、だんだん楽しくなってくる。うは、楽しすwどんどん行こう。
幹も葉もどんどん採取していく。
周りが見えなくなるくらい作業に没頭していると、ふと葉っぱから赤い何かが落ちてくる。
一瞬ビクッとしてしまったが、ドロップアイテムだ。
りんごゲット。
おおー、果物をゲットしました。
周囲に蛇はいない。
殺生不要の食べ物は心の負担が少なくていいよね。
早速りんごをいただきます。
わっ、すげー美味い。
りんごの木とか増やしてりんご園とかできないかな。それだと林業というより農業かな。
いや農業もしないと。
満タンになった体力ゲージとは関係なくもっと食べたい。葉っぱの採取は適当だったけど、もっと積極的にザクザクしていこう。
それからしばらく伐採を続けてみたものの、残念ながらりんごはドロップせずじまい。
ふと気がつけばあたりに夕闇が迫ってくる。
あ、ヤバイ。
ココハドコデスカ。
迷子になった。
パン屑も落とさなかったし、おうちが一番とか言おうにも、踵とかないし(混乱)
プチパニックになりながらも、ふと思いつく、イヤ思い出す。前から妄想してた「セルフ生き埋め作戦」。
そう、自分の周りを土壁で覆って簡易シェルターをつくる。棺桶を立てたイメージ。縁起が悪い。
崖を背にしたほうが安心感がある気がするので、とりあえず崖がある方向に進む。そこを背面にして三方を囲もう。そして最後に蓋をすれば完璧だ。
崖側に進もうとするも、伐採時に残っていた葉っぱのせいで、崖が見えてるのに進まない。落ち着けw
そうか伐採すればいいのか。
慌てるとすぐ前後不覚になる癖どうにかならないかな。
なんとか崖側にたどり着いた時には、あたりはもう真っ暗に。
早速周りに土ブロックで壁を構築。
簡易シェルターに窓をひとつ開けて、朝が来るのを待とう。
ほっと一息。
伐採のおかげでアイテムが増えたな。窓の外には茶色いヒツジが見えるだけで暇なので、インベントリでも確認しようかと思っていたら、あいつが現れた。
緑のサボテン。