シティ・ギルド
市庁舎完成。
市庁舎イメージ図
小堡は後ほど強化するということでざっくり設置して、市庁舎建設の突貫作業。
辺りはすっかり暗くなってしまった。
クッコロ騎士団の巨人たちとどんちゃん騒ぎしたおかげか、みんなが気軽に声をかけてきてくれたし、建設も手伝ってもらった。
完成まで二日、作業時間的には実質一日で市庁舎をおっ建てたので、手伝ってくれたみんな相当驚いてた。
褒めて褒めて。
【市庁舎】
1階部分は宿と役場の受付と厨房を備えた食堂。夜は酒場として利用したいが、アルコールの在庫はほとんどない。
宿はエミリアさんに仕切ってもらって、受付と料理人、ウェイトレスを何人か雇う予定。
役場はモットーくんをメインに国造の精が働くけど、受付には華が欲しいのが世の真理。
『女性が働きやすい職場です!』
2階は大部屋含めて30人近く泊まれる宿。
宿と言っても、現在は避難所的扱い。
役場と併設しているので将来的には、宿ではなく騎士とか兵士の詰所的に使う予定。
3階は市庁舎の会議室。
来賓対応の応接間と合わせ、事務室も用意したので国造の精たちはこっちで事務仕事することが多いかもしれない。
4階は宿直室。
カールさんたちにはこちらに移ってもらった。畑も近いので。
テオくんとユリアちゃんは宿舎に移って精霊魔法のお勉強。
お兄さんやお姉さんに囲まれて楽しそうにしてた。
まだ少しスペースが余ってるので、俺とザシャくん、あんちゃんや興里たちが使える部屋も用意する。
各階にトイレを設置するも、水を人力で(4階まで!)あげる必要がある。しんどい。
これは、水の精のマウロ爺さんに後で相談してなんとかしたい。
翌日は、完成した市庁舎のお披露目と、各氏族長や司祭との面談。
教会建設の要望が軽く出た以外は、まあご挨拶。
「ドーモ!」
靴の精にサンダル作成を依頼したら怒られた。
「俺っちは手伝いはできても作ったりはできねーんだよ、おととい来やがれ!」
ごめんなさい。
部屋の精は靴の精と一緒に、あんちゃんのところに送り込む。
子供と精霊の契約が済んで、部屋やトイレが綺麗になったり、靴の作り方を勉強したりしてるらしい。
魔法学校というよりも、職業訓練校とか花嫁修業かもしれない。
国造の精たちはモットーくんのところで、こき使われてた。モットー無双。
ドワーフは男性3名、女性5名。違いはほぼわからない。
彼らにはコボルト台地あたりに鉄工所でも設置して、鍛冶をしてもらおうと思ってたら、鍛冶師が一人もいなかった。
まあ、そんなこともあるよね。
「わしらが飲む酒は地底から湧き出るとでも思っとったのか」
だそうです。
そりゃそうだ。
畑をやってるドワーフは想像つかないけど、酒造してるドワーフならなんとなくしっくりくる。
うまい酒を飲ませてやるからと、醸造所の設置を嘆願される。
というか、全員醸造者かよ。
「農家もおるし、樽職人も養蜂家だっておるわい」
そうでしたか、失礼しました。
全員土と火の精霊魔法が使える。
戦闘に使えるようなものではないらしいけどすごい。えらい。
ハーフエルフは見目麗しい男性が3人。爆発したらいいのに。
職業を聞いたところ、
「ない」
とのこと。
基本的には狩人ということで。
三人とも風の精霊魔法が使える。
遠くの声が聞こえたりするらしいすごい。えらい。
3人はハーフという立場だったので、エルフたちとの関係があまりよろしくなく集団から離れてきたらしい。
できれば手を貸して欲しい旨を伝え、時期が来るまでは狩りやらをして過ごしてもらうことに。
気をつけてねー。
人狼は両親と子供の4人家族。
例の神託を聞いて駆けつけたらしい。
「ウェヌスさまとバァンさまに感謝を」
敬虔なウェヌス教徒らしいけど、俺は違うよ。
こちらも普段は狩りをしているそうなので、お願いしたい仕事ができるまで自由にしてもらう。
ついでに狩場が重ならないように、ハーフエルフと会合をセッティング。
さてさて、一通り面接も終わったので、壁の増設でもしに行きますか。
「吸血鬼の方が残ってます」
モットーくんから軽い牽制が入る。いやん。
人狼は、正直モフモフしたいくらい可愛かったけど、吸血鬼はなぁ。
血とか吸っちゃうんでしょ?
吸血鬼の発音的にはスラブ系フォークロアかな?
「ミルチャ・ドラクリヤ」
そう名乗った盲目の少女は、まだ真昼にもかかわらず平気そうに立っていた。
黒い布に一つ目の金刺繍があしらわれた眼帯で両目を覆っているが、眼帯からはみ出た傷跡からは、両目とも潰れているような印象を受ける。
「名前はスラブ系じゃないね。ミルチャって男性名じゃない?」
「聖戦が始まるそうね、神敵は私が串刺しにするわ!」
こちらの問いをガン無視して話し出す。J○J○なポージングでない胸を張りながら。
おっぱいに貴賎なし。
ってか、また物騒なのが来たな。
「吸血鬼なら夜が得意そうだから、夜警でもお願いしようと思ったけど」
んー、残念ながら目が見えなさそう。
「夜なら人間より遥か遠くまで見えるわよ」
黒い眼帯を上にずり上げると、ひどい傷跡に潰れた両目あたりが赤く輝く。やだ怖い。
潰れた両目以外が、ひときわ整っていて、より恐怖を煽る。中二病的ポーズさえなければ。
色々な意味でマジ怖いので、(夜限定の見張り役として)崖の上の塔に案内するとちょっと喜んでた。
煙が好きな場所的なアレかな。
ミルチャ・ドラクリヤのモデルは有名なヴラド・ツェペシュのお兄ちゃんです。
住人数についての報告
報告者:モットー ドリュアス
追加難民:2名
人間(2)
住民総数:112
内訳:
招来者:3
人間:90
ドワーフ(8)
ハーフエルフ(3)
人狼(3)
熊猫人(2)
吸血鬼(1)
人虎(1)
龍人(1)
備考
土地利用についての苦情
教会建設の要望
以上