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まったり城塞都市をつくろう  作者: Kiryo
拠点をつくろう
67/120

イル・ベルト地方ヴァレッタ島

イル・ベルト地方、ヴァレッタ島を囲む白亜の城塞。


物語を始めるならこんな出だしがよさそうだけど、一番最初はノーアイテム・ノーライフで草原に放り出されて、未だに所々雑草の生えた茶色い土塁が8割を占めている。

(残りの2割は共同トイレ周りの石壁)


やんごとなきお方から下賜いただいたイル・ベルトというのは、マルタ語で「都市」という意味。

子供ばかりで村くらいの人数だけど、名前にあやかって発展させたい。



白い部屋から戻ると、ザシャくんがすごい形相でこちらを見ていた。

「い、い、今、神託がありましたけど!」


「神託? えーと今後も人助けしろってヤツ?。それともこの辺の名前もらったって話?」


「嗚呼っ、それです! 両方! あと、バァンさんがイル・ベルトを治めるって。 本当にウェヌス様からの神託なんですね!」


なんだかものすごい多幸感に包まれてる風な表情で恍惚としている。

ん? 治めるってなんだ。


「イル・ベルトにヴァレッタ。神様が直接なんて! ウェヌス様に! すごい! すごいですよ!」


まあアレは色々な意味ですごいかもね。


そうこうしていると、他のみんなも神託を受けたと集まってくる。


「ウェヌス様の声聞こえた!」

「私も!」

「パンうめー!」

「この島はヴァレッタっていうんだって」

「この辺りはバァン様が治めるイル・ベルト!」

「近々起こる聖戦に備えて、50万人の同胞を集めろだってさ」


そんな話だったかな。

っていうか治めないし聖戦とかふざけんな。


「神託だしねしょうがないですよね」

「リアル王権神授説w」

後ろで、ニートたちがニヤニヤしてやがる。くそ。



とりあえず皆が落ち着いてから、ニート会議。


いや俺はニートじゃない。

むしろこちらに来てから働きすぎで痩せた(特に腹回り)。体重も多分10kg近くは落ちたと思うし、ガテン系と言っても過言ではない。いやガテンはちょっと言い過ぎた。


「おお! 神の代理人たる我らが王よ!」

「うるさい黙れ興里こおり

睨みつけるが、舌を出してきやがった。


「とりあえず、何をするってわけでもないよね、終了」

「まあねぇ」

「え、そうなんですか?なんか色々話が大きくなってなかったですか?」


「というか、二人は帰りたいの? ちなみに俺は、戦争に勝ってとかじゃなくて穏便に済むなら帰りたい」

顔を見合わしてから、

「んー、私はどっちでもいいや」

「子供たちが心配だから、ぼくはまだ帰れないです」


みんなバラバラですか。


「えーと、帰るためには50万人救えって話ですよね?」


「その"救え"っていうクリア条件がそもそも明確じゃないんだよ。実際子供たちを救ったのは興里こおりのハズなのに俺が救ったことになってるし」


「私の時と何が違うかっていうと、砦の中にいるか家があるか。とかかな?」


「助けられたとか、安心したと認識する必要があるとかなのかもしれないですよね、もしかしたらバァンさんが助けないとダメとか?」

「女神の口ぶりからするとそれはないと思う」

管理者権限はもうないらしいが。


「とにかく帰るにしても帰らないにしても、死なないことが前提条件だよね」

そんなこんなで、悩んでも仕方がないので特に踊らない会議を切り上げる。



「ちょい待ち、聖戦の話はものすごく気になるんだけど」

興里こおりは踊らせ足りないらしい。


「あー、なんか別の犯罪者カミサマの世界と競わせる"かも"って話な」

「それってかなりやばいんじゃないの?」

「え? やばいの?」

なんか鋭い風の興里こおりと鈍い風のあんちゃん。


「実装されたらな。あんちゃん、よく考えろよ。聖戦だぞ? 神の神託による宗教戦争だぞ。 おまけに司祭やら王みたいな代理人の言葉じゃなくて、女神自ら神託を撒き散らしやがったんだぞ。神のためなら命を差し出すことに躊躇しない人間同士の戦争なんて、やばいどころじゃねーだろ」

あのしっかりしてたザシャくんですら舞い上がってたくらいだ。


「どう考えたって泥沼の未来しか見えないよねー」

「あの駄女神、本当にろくなことしやがらねぇ。本当はあんちゃんかザシャくんあたりを砦の代表者に担いで、まったり人間重機する予定だったのに」

「代表なんて僕には無理ですよ!」


「そうだ、近々子供のために学校を作りたいと思ってるから、あんちゃんはそこで先生よろしく」

「!!」


「あと、聖戦とかは旧帝大卒の興里こおりがなんか対策考えといてよ」


「卒業してない! 中退したから高卒だよ!」

元気だよな、この子。




この神託は、イル・ベルト(俺が認識している範囲とその近隣)の人間全てにもたらされた。

そのおかげで数日後には付近で生き残っていた人たちがどんどん集まってきた。


人だけじゃなくて、亜人種含めて70人前後。

こんな人数よく生き残ってたな。


はあ、家つくらないと。


神託に呼応したのか単にアップデートなのか。

しばらく大人しかった魔物の襲撃が、この日を境に増えていった。

ブックマークが100を超えた記念に、集落の人数を100程度まで増やしました。

ブクマが減るたび、なんとなく連動して集落の人数も減らしていきたいと思います!

一蓮托生。

集落の人口が0になるのが先か、私のSAN値が


いや、そんな! あの手は何だ! 窓に! 窓に!

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