最後のコボルト2
騎馬隊がこちらとは違う方向へ進んでいる。
簡易橋があった方向だ。
新しく架けた橋は、いつもの簡易橋とは少し違う場所なので、土ブロックを5段ほど重ねて合図を送る。
もういらないかと思って簡易橋とっちゃったしね。
(テヘペロ)
こちらに気がついたようで、土ぼこりを上げながら方向転換して向かってくる。
セーフ。
さて、こちらも準備をしないと。
まずは砦側に渡る。えっちらおっちら。
渡り終えた橋のたもとに、高さ2m横3mほどの矢除けの土塁を設置。
備えよう。
インベントリから大型盾を取り出し、左手でいつでも構えられるよう、矢除けの土塁に立てかける。
さらにインベントリの中で次の準備をする。
蹄の音がどんどん近づいてくる。
バルズスさんの騎馬隊が橋を渡り、目の前を駆け抜けていく。
殿の後ろに乗ってる男に見覚えがないが、何か既視感がある。が、すぐに意識をスケルトンに戻す。
少し間をおいて、橋を渡ってくる弓騎兵。
そして橋を渡りきる直前、顔の高さあたりに10トンファルガッターを横にして顕現。
自然落下を始めた10トンファルガッターに突っ込んでいくスケルトンの弓騎兵。
ドガシャ!
あ、なんか嫌な音したw
痛そうw
ガラガラガシャリ!!
激しい音を立てて、転がるスケルトン。
なんか、一部砕けたりバラけたりしてる。まあ時速40Km以上出てそうだし骨だし。
突っ込んだのは2騎だけ。残りの2騎は橋の真ん中あたりで止まれたらしい。残念。
転がったスケルトン2体にバルズスさんたちがとどめを刺しているので、大型盾を構え、橋上の弓騎兵からの射線を塞ぐ。
タン、カシュッ、タシュッ。
大型盾に弓が刺さるが問題なし。たまに鏃の先端が盾を突き抜けて顔を出しているくらいで。
ヒエッ。
そうこうしているうちに、バルズスさんと侍風の男が、橋上の弓騎兵に突撃して切り伏せる。
……うん、あれは武士とか侍、と言うよりサムラーイだな。
どう見ても格好が漫画っぽい。さっき感じた既視感はこれか。あとイケメン。
またしてもニートの予感!!1!(AA略)
「なかなかやるな!」
動かなくなったスケルトンから防具を引っぺがしながら、いい笑顔のバルズスさん。
「貴殿の方こそ。そして助かりました。主に代わり御礼申す」
イケメンサムラーイの発言になんとなくイラっとする俺。爆ぜろ。
「ウホッ!」
いや、これは俺じゃない。
俺の後ろで、白い着物をたすき掛けにした、メガネの女が興奮してる。
「絵に成る! 最高!! なにあのシブメン!!! CV:玄■哲章か!!!!」
どうもニートはこっちらしい。
「ようニート」
「ニートちゃうわ!就活中や!」
エセ関西弁が返ってくる。
「もしかして、あんたもニート?」
いや俺は就職してるよ。辞めたいとは常日頃思ってたけど。
「ニートならあっちにいるよ」
走ってくるザシャくんとアンちゃんを示す。
「なにあのショタ! マジカワユス!! 首細っせー! 神展開!!!キタワ!!!!」
そっちはニートじゃない方だけど、もういいや。
「村で用事を済ませた後に、なんか変な格好してるのがいたから連れてきてやったぞ。どうせお前さんの仲間だろ?」
同類扱いとかやめてくれませんかねそういうの。




