最後のコボルト1
やらないといけないことが増えた。
やらないといけないことは増えたけれど、俺はもう限界だった。
そう、限界だったのだ。
皆の目を避けるようにひっそりと。
ひとり東崖に登り、石を積み始める。えっちらおっちら。
5×5の四隅に大きめの石ブロックを配置して、壁は少し粗めの石ブロックを使用。
ゲームの時は、【石ブロック】の表示だったが、インベントリの中でごにょごにょしてると玄武石あたりがメインな感じ。
高さは約20m。
崖の高さが20m以上あるので、実質40m以上といったところ。
螺旋階段塔の完成!(パチパチー)
螺旋階段は、時計回りに登る配置にすると、攻める側が剣を使いにくいらしいですよ?奥さん。
作業中ずっとキュッキュッしてたが、それどころじゃないくらい俺は限界だった。
ただ壁を設置しーの、内部に螺旋階段をつくりーのだったためか、外側に体を晒す回数は少なかった。
でもキュッとはする。
そして思ったより、安定してる。
もうちょい高くしようかな。
この螺旋階段塔は文字どおり、螺旋階段塔です。
ナッサウ城の主塔の側面についている、螺旋階段塔部分のみをイメージしてもらえればわかりやすいのではないだろうか。(わかりにくい)
屋根はつけずに、胸壁で飾り付け。
入口は二階以上の高さに。
タタール人やアジアの遊牧民族の侵攻ルートに在った街や村では、塔や城などだけでなく塔住居というものが多く作られるようになる。
騎馬民族が馬から降りてまで塔住居には攻めてこなかったからだそうです。
これが馬に乗っただけの盗賊なんかとモンゴルあたりの騎馬民族の「練度」の違いなのかなと思う。
ウォー、楽しい!(*´Д`)ハァハァ
息が荒いのは変質者がいるからではなく、体力がないせいです。
この勢いで、馬車が二台すれ違っても大丈夫なように石造りの橋も架けるよ!
橋を常時設置するなら門を設置しないとまずいよね。
あと、そろそろ名前とかつけなきゃだけど、人が増えてきたのでどうしようかな。
俺一人だけなら、「爆裂!俺のベルクフリート!」とか勝手につけられるのにな。
螺旋階段塔は新しい主塔用にと考えていたけれど、城壁塔ということにして、城壁で繋げば、もう立派なお城の完成といっても過言ではない気がしないでもないしどうしよう。
でもその前に、橋の内側に楼門、外側に外堡まではやっておきたい。
どう考えてもしょぼい今の主塔もどうにかしたいし。
なんかもう、いつの間にやら共同トイレの方が堅牢な造りになる始末。
橋の前でニヤニヤしながら、楼門やら外堡の構想を妄想しているとバルズスさんたちの騎馬隊が帰ってくる。
帰ってくるというか逃げ帰ってくる。
ドドッ、ドドッドドッドドッ!
バルズスさんたちの後ろにはゾンビ、ではなくスケルトン、いやスケルトンライダーとでも呼称すればいいのか。
スケルトンホース(!)に乗った革の鎧に革の帽子を装備したスケルトンが4騎。
手に弓矢を持ったスケルトンの弓騎兵から次々に弓を射掛けられている。
お前ら騎馬民族か。
乗馬しながら弓を扱うのがどれだけ大変かわかってんのかと小一時間問いただしたい。
まあ、泳ぎながら那須与一ばりに正確無比な射撃をしてきたスケルトンさんだし、しょうがないよね。
殿は二人乗りで後ろに乗っている男性が、剣で矢をなぎ払ってる。
おお!こっちもすげーな。
あれ、なんかみんな二人乗りしてるみたいで人数が多い。
いや、それどころじゃないな。
楽しかった妄想の海から意識を戻す。




