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まったり城塞都市をつくろう  作者: Kiryo
拠点をつくろう
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コボルト・征服

帰りのパーティーには、土の精コボルトのコーネリアスとシーラが増えた。

あんちゃんと三人で、何やら色々試してるっぽい。そしてそれをうらやましそうに眺めるザシャくん。

契約しとけばいいのにw



さて、事後になるけどファサールさんに話を通しておかないとな。

ファサールさんの天幕テントに顔を出すと、開口一番、

「バァンさん、コボルトとの交渉お疲れ様でした」


はっ!見張られてる!?


「情報収集は商人の基本ですから(ニッコリ)」

しかも心も読まれた!


「あー、そういうことでしたら話が早い。昨日見てきた北西の台地を、コボルトの力を借りて開発しようと思うのですが」

心臓がばくばくいってるのが聞かれてそうだが、平静を装う。


「わかりました、何かお手伝いできることがあれば、いつでもお声がけください(ニッコリ)」

商人の笑顔マジコワイ。


「こちらもバァンさんにご相談がありまして」

しまった。交渉担当のザシャくんを置いてきてしまった。迷える子羊のようにガクブルしないように頑張ってみる。


「そろそろ活動の範囲をもう少し広げようかと思っています。ですが、こんな状況ですので、許可をいただけるのであれば、この付近に活動の拠点を作りたいと考えております。」

まあ、確かにいつまでも天幕テント暮らしというのも大変だよね。


「わかりました、拠点は問題ありません。個人的にはこの周辺に街のようなものをつくりたいと思っていましたので。よければ建設も私にお手伝いさせていただければ」


「ありがとうございます、その辺りもお願いしたいと考えていました。拠点を作るにあたってなのですが、土地利用料や権利などについては何かお考えですか?」

おう!めんどいのキタ。


「ですよね、正直あまり考えていませんでした」

「ということであれば、ここからは本題になるのですが」


……ゴクリッ!


「私どもをバァンさんの財務担当として使っていただけないかと思っております」

おや、思っていたのと少し方向が違った。逆に権利を主張してくるかと思っていたのに。特に北西の台地はファサールさんたちが見つけたものだし。


「そういうのはとても助かりますが、現状としては担当が必要なほど、財務的なものはないですが?」

「はい、現状は確かに。ただ、バァンさん、いやバァン様のお力を考えれば、街だけでなく国という形を作り上げることも可能だと思います」

おう、やっぱりめんどい。

夢は広がるだけで、まだ土塁なんだよな。城塞都市をつくりたいだけなのに。

うーん、なんて答えておこう。


「そうですね、国はともかく、街を作るのであれば独自通貨みたいなものがあれば便利かな、とは思っておりました」

「そのお手伝い、ぜひ我々にお任せいただきたい!」

食い気味に被せてきた。商人のクセに直球なんだよな、この人。外に出たくてうずうずしてるっぽいし。


「わかりました。その際は宜しくお願いします。でも様は勘弁してください」

苦笑いで返しておく。



別れ際に声をかけられる。

「ゾンビの巣窟になっていた村のひとつを、バルズスたちが焼いてきたそうです。もう一つの村には今向かっているところです」

あー、燃やすのか。灰が降り注いでとかベタな展開じゃなきゃいいけど。


事務的な話はザシャくんと一緒にということでファサールさんと別れる。


……疲れた。

お金とか権利絡みの話は疲れる。


金貸しが汚いとか、お金自体が汚いとか思ってるわけじゃなくて、お金に絡んだ人間同士の言い争いとかもうね。

清貧とかにも興味ないし。


そんな部分を担当してもらえるというのであれば、むしろ願ったり叶ったりではあるけれど疲れるものは疲れる。

ぐったりしながら、ファサールさんの天幕テントを後にする。



疲れた心を癒しに畑を見に行くと、カールさんが畑の雑草をむしっていた。

作物は特に変化なし。もうちょっと待ってみるかな。

「カールさん、村の話聞きましたか?」

「ええ、私がお願いしました」


ああ、そうなんだ。


「お力になれず申し訳ありません」

「そんな!とんでもないです!こうして命があるのはバァンさんに助けていただいたからなんですから……あ、あのっ!」

「はい?」

「あの、働いてご恩返しさせていただきますから、どうかここから追い出さないでいただけないでしょうか」


は?なんの話ですか?


「は?なんの話ですか?」

「あの、ファサールさんたちが数日後にここを出て行くと聞きました」

「そ、そうですけど、私が追い出すんじゃないですよ?」

「え?」

「え?」

ポカーンなカールさんと俺。


「えーと、ちょうど今、この辺りにファサールさんの拠点をつくろうという話をしていたばかりですし。ああそうだ、カールさんたちの家もつくらないといけませんよね。追い出したりなんてしないので、大丈夫ですよ」

なんか慌てて説明してたら、カールさん涙目。そして力強いマッチョなハグ。四速歩行のAAは不要。


「ありがとうございます、バァンさん!」

できればエミリアさんの抱擁がよかったのだけれど、誤解が解けたようで、まあよしとしよう。

国という概念

国という言葉の意味もなかなかにして広いですし、中国と日本とヨーロッパ、時代によってかなり違ってきます。

このチラシの裏は、いろいろな場所から強制的に頭のおかしい女神の作った世界に飛ばされている設定なので、人によって意味するものが違ったり、知らなかったりします。


ファサールさんはヨーロッパから中東に経済・文化など歴史の中心が移った14〜16世紀頃(中国に抜かれる前あたり)のオスマントルコ商人的な設定なので絶対王政、

ザシャくんあたりは絶対王政(15〜16世紀)よりも前の封建国家に置ける領邦君主国(半自立の騎士領的 10世紀頃)を国と呼んでいるので、二人が交渉したらかなり齟齬が生まれるかもしれません。

カールさんあたりは、農奴設定ですので、そもそもそのあたりを気にしているかどうかも怪しいです。

異世界人は色々すっ飛ばして近代国家なので、ドイツ国王を選ぶ選挙みたいなものだと、そもそも会話が成立しないのかもしれません。


どっかの俺TUEEEEな異世界人が、別の場所で統一国家の成立とか世界征服とか画策してるかもしれないですが、こっちは今の所、明日食べるものの心配がなくなってきたかなーという程度です。

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