続・コボルト
湯気が立ち昇る温水。そして卵が腐ったような匂い。
泉からはいくつも気泡が湧き出していて、まさに温泉といった雰囲気。
ただ成分によっては、入浴できるとは限らない。
近寄ろうとするもかなり熱い。
「なんか、さっきのマグマより暑くないですか?」
「この湯気のせいかもね。マグマは粘度があるから、表面より内側が熱いし」
「お主らの落としたのはどっちのコボルトじゃ」
湯気が立ち昇る泉から、なんか爺さんと子供が出てきた。
「そういうの間にあってます」
「マウロ爺、こいつノリ悪いぞー」
「ワルいぞー」
「まあ、そう結論を急ぐでない」
なんか三人でコント始めたっぽいので、スルーして温泉の温度を確かめる。
「うわっ、熱っ!」
こんな熱いところからよく出てこれるなw
「マウロ爺、こいつオレたちのこと無視してるぞー」
「してるぞー」
「バァンさん、せ、精霊ですよ。私はじめてみました!」
ザシャくんの目がもの凄く輝いてる。
「あの爺さん、精霊なの?」
あんちゃんも食いついてきた。なんか面倒そうだから、やめとけばいいのに。
あと、泉の精って金髪美女が相場じゃねーの?
「わしはこの泉に住む、水の精のマウロじゃ」
「オレは土の精のコーネリアス!」
「シーラ!」
「三人合わせて?」
「ん? 何をあわせるんじゃ?」
あわせないのかよ、がっかりだよ。
ノリが悪いのはどっちだよ。
「この子たちもコボルトなのか?」
あんちゃんが驚くのも無理はない。
さっきのコボルトはどちらかというと小鬼。
目の前にいるのは、5歳くらいのおとぎ話に出てきそうな小人。ついでに犬耳。
あの犬耳は俺だってどうにかしたい。尻尾とかあるのかな?
「おれたちは土の精だよ! あんな落ちぶれた地霊と一緒にすんな!」
「すんなー!」
犬耳がピコピコしてて可愛い、もふもふしたい。
「というわけで、お主らに頼みがある」
やっぱり。
「先ほどの地霊たちをヌッコロしてきて欲しいのじゃ」
尋常じゃねーな、ジジイ。
「意味がわからないよ」
「そ、そうですね」
「あいつらのせいで、この泉の周りが毒まみれにされかけとる。毒が増え過ぎればわしたちは死んでしまうのじゃ」
なんか勝手なこと言ってるな。向こうには向こうの生活とかあるだろうに。まあ、自分に置き換えれば言っている意味がわからないわけじゃないが。
ただ、人に頼むような話じゃない。
「殺さんでも良い。もし、あやつらをどこぞに追い出してくれたら、この二人をお主たちにやろう」
「俺たちと契約だー」
「けいやくー」
なんだろう、この厄介払いされてる気分は。
「……」
「……ついでに、この泉の湯を自由に使うことを許可しよう」
「何なりとお申し付けください!」
「バァンさん!?」
あ、ザシャくんがなんか不満そうだ。そりゃそうだ。
「ところで、土の精と地霊って何が違うんですか?」
お、あんちゃん、空気を読まないナイスツッコミ。できる男!
「コボルトってのは3種類いるんだよ」
断耳前のシュナウザーみたいな犬耳の男の子、コーネリアスくん可愛い。
「いるよー」
ヨークシャーテリアみたいな犬耳の女の子、シーラちゃんマジ天使。
「ひとつは、オレたちみたいな上位の精霊土の精、次は家とか部屋とかに住み着く部屋の精、最後は嘘をついて贖罪しないで逃げ出した地霊」
「ウソつきアクマー」
「地霊どもは、恨みで狂ってしまった存在。憎しみの呪縛から解放してやらんといかんのじゃ」
なんか、ゾンビを倒したときみたいな理屈だな。
「さっきの地霊たちはかなり楽しそうだったが、殺してやった方がいいと思うのか?」
「それはどうじゃろうな。あやつらに聞いてくれ。ただわかっているのは、あやつらが増え過ぎればわしらが死ぬ。そして、わしら上位精霊が死ねば、あやつらも最終的には消え去る。ただそれだけじゃな」
コーネリアスのCVは山田康雄さんではなく、清水マリさんで。
もしくは、大谷育江でも戸松遥でも石田彰でも
とにかくなんでもいいんでルパン以外で脳内再生お願いします。
シーラは久野美咲 希望。