【閑話】鋼鉄の部屋
チャチャラチャーラーチャッチャラー。
そして、いつもの白い部屋へ。
白い部屋には前回あったカール君だけじゃなく、発掘された宇宙戦艦みたいになったキング・ジョージ5世級の2番艦、プリンス・オブ・ウェールズやら、PaK39にかぼちゃのツタが絡まった38式ヘッツァーなんかが増えてて、どんどん混沌としてきている。
あれだ、もうこれ白い部屋じゃない。鋼鉄の部屋。
「銀盃花のウェヌス様、ご機嫌麗しゅう。相変わらず、どこぞのレベルアップ音をパクってますね」
「おおっ!? 君からちゃんと名前を呼ばれたのは初めてじゃないのかな」
「そうでしたっけ」
「何かいいことでもあったの?」
「早く元の世界に返していただければありがたいです、女神様を落とせるような勇者は出てきそうですか?」
「どうなんだろーねー」
他人事かよ。
「そういえば、転生者がレベルアップするたびにみんなをここに呼ぶんですか?」
「そんなわけないじゃんwww まだ6万人もいるんだよwwww いくら私でもそこまで暇じゃないしwwwww 面白そうなの見繕ってたまに呼んでるだけだよwwwwww」
w多すぎ。
「俺とか呼んでも別に面白要素なくないですか?」
「そうなんだけどほら、最初にこの世界に来たの君でしょ。 んーなんていうのかな? 腐れ縁? みたいなーwwww」
w多いよ。
「女神様が陥落される前でもいいので、早く元の世界に返していただければありがたいです。お手数ですがご検討のほど宜しくお願いします」
「そうそう、今回はお願いがあったんだよね」
「俺にできることならなんなりと」
「なんかさー、村人とかどんどん死んじゃうんだよねー。なんとかならない?」
「バランス悪そうですしね、しょうがないね。世界の再構築、適当すぎるんですよ」
「ほら、君のとこって比較的安全そうな感じじゃない? そんな感じでどんどん安全地帯を増やして欲しいんだよねー」
「だったら、前に言ってたクリエイティブモードでしたっけ? 全アイテム無限に使えるとかいうの実装してくださいよ。っていうか、他にも同じゲーム、じゃなかった。パクリ元のゲームやってたニートくらいいくらでもいるでしょ?そっちにも声かけてるんですか?」
「それがさー、ほとんどが最初にBANしちゃった50万人の中に入ってたみたいで。だいたいニートは無料ゲームやってる方が多いんだよねー」
ニートの人たちごめんなさい。
「ニートでも1000円くらい出せるでしょ」
「出せるかどうかじゃなくて、出すかどうかだよ!」
なんか良いこと言ったみたいな顔してるけど、寝転がって言われてもな。
「まあ、私も元の世界に戻れないと色々困るから。積みゲーもやりたいし、積ん読も解消したいし、後ゲームの新作もやらなきゃいけないし。その辺りはお互い協力していこうじゃない」
「はあ、そういえばこのゲームってエンディングとかあるんですか?魔王がいるとか」
「ドラゴンがいるわよ。そいつを倒せば一応クリア扱いになると思う。でも帰れないわよ」
さいですか。
「あと、魔物が最近少ない気がするんですが、何かいじりました?」
「もちろん! 私の世界だもん! 前はプレイヤーの周囲の暗いところに魔物がスポーンされてたけど、今は人間が近くにいない暗い場所にスポーンするようにしてるわよ。あとはダンジョンと繁殖ね。 ほら、やっぱり「くっ、殺せ!」ってヤツがないと異世界って感じしないしねー」
さいですか。




