アルバイト斡旋
ファサールさんがなにやらブツブツ言いながら、思案顔で自分のテントに戻っていく。手に持ったコショウを見ながら。
そしてそれを追いかけるバルズスさん。
あの二人の関係は、単に傭兵と依頼人というより主従っぽいのかもしれない。
そういえば若とか呼んでたな。
卵型の四速歩行のAAは略。
ひとまず、収穫した際の種を、もう一度蒔いておく。当面の食料も確保できたし、通常どう育つのか見ておきたいので今回はノー骨粉。
畑の区分けはまた今度。
収穫した小麦でパンをつくり、それ以外の収穫物はパンと一緒に主塔のチェストにしまっておく。エミリアさんには自由に使ってください、とお願いしたらすごく眩しい笑顔が返ってきた。あと揺れる巨乳。
「こんなに食材があると、お料理が楽しくなっちゃいますね」
守りたい、この笑顔。
まあ、それはカールさんの役目か。
釣り小屋に目をやると、テオくんにユリアちゃん、それとファサールさんとこの丁稚さんが釣り大会。
今日は何をしようかなと、砦の土塁の点検がてらお散歩。
食料確保の目処がついたので、周辺開発でいいんだよね。
昨日遭遇したスレンダーマンは気になるところだけれど、東崖の開発、というか採掘は、素材確保のためにも進める必要がある。
目を合わせなきゃいいんだろ。道で不良とすれ違う中学生みたいに下を向いて通り過ぎればいいと。あれ、すげー屈辱だw
まあ、それだけで戦闘回避できるならカツアゲ目的の不良よりもたちがいいのかもしれないけど。いやどうかな。
あと必要なのは、ちゃんとした橋の整備と砦の出入り口になる門の作成あたりか。
土塁を石に変更したいけど、これは東崖での採取が必要。
船を作って、下から島の周りを見て回ったりもしてみたいな。遊覧船。まあ、木材不足。
妄想が滾る! 妄想万歳!
ヘラヘラしていると、ザシャくんに声をかけられる。
「上に登るのでしたらお供します」
アッハイ。
ザシャ先生のおかげで、本日は東崖での作業に決定。
東崖に登って見下ろすと例のセリフを言いたくなるが自制。
「見ろ! 人がゴミのようだ!」
いつの間にかついてきていたあんちゃんが叫ぶ。
「そういうことは言わない方がいいと思います」
ザシャくんに諌められて、しょんぼりしてるw
しかし、この眺めを目の前にすれば、口に出したくなる気持ちはわかる。
あんちゃんを生暖かく見守っていると、こちらに向き直る。
「何か仕事ください」
「ハロワ行けよ」
あ、胸を押さえながら……orzみたいなポーズになった。これもトラウマなのかな?
インベントリからピッケルを取り出して、あんちゃんに渡す。
「掘ってみて」
ピッケルを手に、地面を掘ると土ブロックが出現。
「「おおっ!」」
そして、ポップした土ブロックを抱えるあんちゃん。直後、土ブロックに重さが加わりバランスを崩す。
危うく足に落としそうになる。落としたら大怪我だよなw
「インベントリの機能とかない?」
「そういうのはないと思います」
当たり前の話だけれど、1立方メートルの土の塊なんて普通は運べない。
「手で土を掘るとどんな感じ?」
「こうですか?」
普通にガリガリ地面を掻いてるだけで、何もポップしない。
うん、俺がクラフトした道具は、他の人が使っても有効ってことはわかった。
「じゃあこの辺を、一緒に掘っくり返していこうか」
ザシャくんに警戒をお願いしつつ、二人で掘削・ポップしたブロックは俺のインベントリに回収していく。
しばらくして、石のピッケルが壊れる。壊れるときの音が嫌に大きいのでビビる二人。
予備のピッケルを渡して、再度採鉱。
採鉱最高!(




