表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/120

楽しいブランチ

「暇になったら実装しといてあげるからー」


そう言い残して、ウェー様は去っていった、いや通信を切った。

どうも、殺風景な白い部屋をガーデニングするのにはまって、忙しいらしい。




いつものごとく盛大な溜息を吐きつつ外に出ると、子供たちがとびきりの笑顔で駆け寄ってきた。


「ねーねーこれ食べられるかなー」

「すげーおっきーよー」

どうやら、バッタやらカエルやらを捕まえてきたらしい。


たくましいね、うん。

喰うよ、バッタでもヘビでも。


よく考えれば、釣竿つくって魚捕るなりできそうだし、食料について深刻になりすぎたかな。

小麦の収穫に半年かかるようならどうしようとか、頭の中で悶々としすぎた。

まだ慌てる時間じゃない。




少し遅い昼食になったけど、なかなか楽しかった。

カボチャと卵は食べられました。

カボチャは半分にして中身をくり抜き、そのまま火にかけカボチャスープに。

卵は石の板を薄く伸ばして、熱して、スクランブルエッグ。


エミリアさん曰く、

「ジャガイモとベーコンとソーセージがあれば完璧なのにねー」

結構足りないなw



食器を人数分つくって出したら、カールさんたちが驚いていた。

何でも、普段は各自のおわんはなく、折りたたみのテーブルにあるくぼみにスープや粥を注いで手で食べているらしい。


ザシャくんはナイフとスプーンは使ったことがあるらしいけど、個人用のフォークは存在しないとのことでこちらもすごく便利だと感動してた。


ちなみに中世ヨーロッパでスプーン・ナイフ・フォークを個人で使うようになったのは、地域差があるけど18世紀以降らしい。フォークも長らく二又で、それまでは基本手づかみ。


閑話休題。



鶏肉は香草か何かを詰めたようで、とても美味しかった。

カエルの足も、結構イケた。


カールさん曰く、

「カエルは毒がある場合があるから、今日は足だけにしとこうね」

と子供たちをたしなめていた。

今日は、って言ったな。


バッタは味はともかく長靴いっぱい……イヤ、長靴いっぱいは無理だ。

香ばしくて、まずかったわけじゃないけど、こうむニュッとね。



カールさん親子とユリアちゃんは、とてもはしゃいで嬉しそうに食事をしていた。

食事は日々で最高の娯楽らしい。

特に子供たちは、白いパンが想像以上に柔らかかったらしく、何か感動して、

「ほぅわー」

とか言ってた可愛い。


ザシャくんは神に祈りをささげた後、静かに、でも微笑みながら。

こいつ、絶対イケメンになるんだろーなー。

落ち着け、俺。



食事をしながら、改めてみんなの格好を見る。


俺は、革の鎧と革の脚甲、革のサンダル。中には緑色の亜麻っぽい素材の貫頭衣とズボンに腰紐。


従騎士のザシャくんは14歳くらいで、鉄の剣と革の鎧を身につけている。


カールさんは20代後半、黒髪、細マッチョで、ちょっと汚れた荒い麻の服を着ている。

正直、ザシャくんより強そう。


エミリアさんとテオくんは、カールさんと同じような服を着ている。

農奴に近い感じかもしれない。


エミリアさんは巨乳でブロンドの髪20代前半、もしかしたら10代後半かもってくらい若く見える。そして巨乳。

テオくんは5〜6歳くらいの黒色の髪。お父さん譲りかな。そばかすがあるけど子供ながらにイケメン候補。いや、テオくんに罪はない。

ユリアちゃんも5〜6歳。茶色の髪で、よく見たらめちゃくちゃ可愛い。着ているのは3人より少し上等な感じ。


なんかよく見たらみんな美男美女とか。

ちょっと、いたたまれなくなってきた。




食事が終わり、俺とカールさん、ザシャくんの三人で、エミリアさんの入れてくれた香草茶を飲みながら座談会。

なんとなく内容をまとめると、


・みんな違う世界から呼ばれたっぽい

・カールさんは村ごと

・ザシャくんは、仕えていた騎士ヴィルヘルム(死亡)と一緒に

・地形も風土も違う

・村には生き残りがいるかもしれない

・村には保存食が少しある

・夜、森の中を逃げ回ったので、村の方向はなんとなくしかわからない

・逃げている時間は半日程度なので、その範囲に村はある


という感じだった。


生き残りがいるかについてはともかく、保存食やらが残っているなら行ってみる価値はある。とは思う。

けど正直、ゾンビの巣窟になっているかもしれない村に行く気にはなれないな。

何か手を考えつかない限りは。



「村に向かうにしても、まずは対岸にいるゾンビの集団をどうにかしないといけませんよね」

ザシャくんが悩ましげに唸る。

何体かはあっちこっちをふらついているようだが、ゾンビの集団はずっと木陰から、こちらを伺っている。


「あの中にはユリアの両親もいるので、できれば土に還してあげたいのですが」

カールさんが続ける。

「バァンさん、何とかなりませんか?」

二人の視線がこちらに向く。


いやいや、俺に何を期待してるんですか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ