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まったり城塞都市をつくろう  作者: Kiryo
チュートリアル
3/120

はじめての砦

赤い画面にあやしい明朝体で「死んでしまった!」の文字。

四角い右手がピクピク痙攣しているのが見えるが、感触はない。


その下に【ゲームを再開する】ボタン。


あれか、もしや不死身か。

そういえば、痛みも感じなかったな。


いやいや。


いくら不死身でも一瞬で死ねなかったら、ゲームのくせして痛みがあるかもしれない。そもそもさっきみたいに怖いのはやだな。

ビビリでヘタレなんだよ。


……これゲームだよね?


自身のゴーストがゲーム世界から抜け出せないなら、それはこの世界ではバグと呼称される存在になってしまったのかもしれない。


なんてつまらない妄想をぼんやりしていたら、なんとなく落ち着いた気がする。やっとか。



じゃあ、そろそろまじめに状況を整理してみよう。


・多分ゲームの中にダイブした?

・死んでも復活できる?

・ゲームを終わる方法は(まだ)見当たらない

・感覚がある

・モンスターが襲ってくる



ってか、ゲームを再開する以外の選択肢がないっておかしいだろ。いや、マジで。


この手のゲームって、クリア条件の実装とかない場合があるよね。

最後に魔王を倒せば現実に戻れたりするのかな、と言うか魔王とかそもそも居るのか?


……嫁さんと子供が心配してないといいな。

向こうで自分が死んでたらまあしょうがない。


魔王がいるかもわからないし、クリアなんてできるかどうかもわからないので、とりあえず保留。



(他に選択肢がないので)ゲームを再開するとして、まず確認する必要があるのは、今は見えていない各種アイコン。


始まって即死亡したので確認できていなかった、各種アイコンを調べてゲームの進め方の見当をつける。

説明書とかあるといいな。

こんなことならwikiとかちゃんと読んでおけばよかった。あ、でも違うゲームか。


あと必要なのは安全確保。

不死身でやり直せるとはいえ、気にせずやられ放題とかイヤすぎる。


さっきはパニクって逃げられなかったし、ひとまず安全地帯をつくらないと。


あー、そういえば城塞都市をつくるつもりでゲームをダウンロードしたんだったなぁ。


マイニングしたり、クラフティングしたりするゲームらしいから、穴掘ったり採取したりできるよね。多分。


よし、小さい砦を作ろう。

まずは最低限の壁と空堀があれば凌げるかな。


パッと見た感じ、すぐ近くにさっきのサボテンはいなかったし、あとはウシやらウマやらニワトリやらしかいなかったはず。


確認はこんなところでいいかな。


ふぅっと、ため息ひとつ。


【ゲームを再開する】ボタンをポチッとな。




直後、最初の地点に最初と同じく少し浮いた状態から再開。

まずは、再度表示されたアイコンの確認。


体力ゲージは満タン。肉ゲージは2個減って残り8個。食料確保も必要……ってことはあの四角いウシやらを食べるのか。うーん、食欲がわかないw。


ポーズボタン改め、メニューボタンには相変わらず【ゲームに戻る】のみ。

意味がわからないよ。


そのうち実装されることを期待してスルー。


吹き出し風のアイコンはチャットだよね。多分。


「コンニチワ」


……返事はない。

マルチプレイ前提ですかね。声は出せるし、チャットの意味がわからない。そもそもチャットじゃないのかも。

うん、保留。


保留ばっかりだなw。


さっきは確認している暇がなかったけれど、視界下部には何もないボックスが6個とメニューボタン。メニューボタンを押すと装備・合成・素材の確認ができそうな表示。持ち物はスマートフォンのみ。スマートフォンは装備できるけど、機能がグレーアウトになっていて何の動作もしない。


さっきの爆発で壊れたのか実装前なのか。とりあえずスマートフォンは外しておく。


トリセツは特になしっと。


ばーかばーか。




周りを警戒しつつ、メニュー類を確認。

何となく理解できたと思う。だいたい。


それでは、マイニング、アイテム採取を開始したいと思います。(パチパチー)


まずは草の生えた地面を掘ってみる。道具はないので四角い素手。サクサクと気持ちの良い音で数回掘るとブロックがポップ。拾いあげるとピッとかわいい音がなる。癒される。確認すると採取できたのは土のブロック。


手は全然痛くない。

よし、どんどん行こう!


次はすぐ後ろにある絶壁の岩を採取。ん? 固い? ボフボフ10秒以上拳で殴ってやっと壊れた。

手に痛みはない。


(推定)不死身かつ拳で岩をも砕くチカラを手に入れてしまったようだ(キリッ

岩をも砕く拳って、動物とか一撃で屠れるんじゃね?


でも何も出なかった。

10回くらい岩っぽい箇所を掘ってみるも何も出ない。単純に出ないのか、確率なのか。


横にある土壁も同じくらい固い。あ、柔らかい土壁もある。何度か試したけど、出たのは土ブロックのみ。


うーん。


少し離れて絶壁を見上げる。これ登れるかな?


ということでチャレンジ。


いけそうだけどルートを見つけないとダメっぽい。あるいは階段をつくりながら上がる感じかな。

高所恐怖症なので。、諦めて草原の方へ歩く。


地形は河のカーブを頂点にした三角州、三角州って逆だっけ。インドっぽい地形。


対岸には森があるけどこちら側にはほとんど木がない。

泳げばいいんだろうけど……、うん。泳ぐのは後にしよう。


インドっぽい地形の頂点より少し内側にくぼみがあったので、そこを中心に小さい砦をつくりたいと思います!(パチパチー)


8×8くらいの外側を横2マス、深さ2マス掘って土ブロック回収と空堀を作成。

掘ってる途中で空洞や地下水を見つけるけどスルー。


回収した土ブロックを横、と言うか幅1マス、縦といか高さ2マスで囲っていく。

ジャンプして試してみたが、縦2マスは登れなかったから、これで多分大丈夫。だと思う。


最後のブロックで四方を囲めば、はじめての砦が完成!

パチパチパチー。


外の様子を見るために内側の四隅にブロックを設置。城壁に登って周囲を眺める。

太陽沈むんだな。結構綺麗だ。夜になる前に完成してよかった。


よし記念すべき最初の砦に名前をつけよう。


……思いつかないので保留。

明日また考える。


壁の上から見える範囲に動物以外のモンスターはなし。四方を囲む壁があると余裕ができるよね。


暗くなっていく世界を眺めながら、心地よい達成感に酔いしれる。

太陽が完全に沈んで空には四角い月と星が瞬く。


四角いゲームなのに、見上げる夜空はすごく綺麗だ。


しばらく夜空を眺めた後、砦に降りる。







.....いやいやいや、マジ暗すぎるw

暗黒!めちゃめちゃ怖いんですけどwww


壁のせいか砦の中の暗闇がマジ濃すぎる。

街灯ひとつない曇り空の田舎の夜か。


おまけに外からなんか、ギチギチ、カチカチ、あと恐ろしげなうめき声やら聞こえてくる。

砦の隅で体育すわりしてたら発狂しそうになったわw

本気で殺しにくるお化け屋敷かよ、あはは(白目


挿絵(By みてみん)

はじめての砦の夜 イメージ



迫り来る暗闇があまりにも怖すぎるので、城壁に登って周辺警戒。

月明かりで少しホッとする。


あ、少し離れてた場所にモンスターがいるのが見える。

暗くてよく見えないけれど、暗闇の中に赤く光る目が動き回ってる。複数か四つ目っぽいな。

その隣にはさっきのサボテンかな。なんだかジャンプしながら楽しそうに動き回ってる、呑気か。


そんなモンスターの踊りを遠くから眺めていると、どこからか視線を感じる……。

下かな。

そろりそろりと、足元に視線を移すと、壁際から誰かがこちらを見上げている。


ぎゃぁぁぁぁーあ。


思わず内側に転げ落ちてた。

外じゃなくてよかった。


登り直して確認すると、両手を上げてキョ○シーみたいなポーズでこちらを見上げる緑のゾンビ風モンスター。これ村人じゃないよね?

一応挨拶してみるも反応はなし。村人だったらといって喋るかは不明だけど。


こちらには届かないようで、両手を水平に上げたままその場を動かず、上を見上げている様はちょっとかわいいかもしれない。


とりあえず手に持った土ブロックで殴り倒す。

ああ、こっちからは届くんだなw


何発か殴ると消えるゾンビさん。

岩をも砕く拳で殴ればよかったかな?


ゾンビさんが消えた場所、砦の外に何かドロップしたので壁から降りて回収回収。


回収したら、すぐに砦の壁を壊して中に入り、振り向いて即補修w

後ろから何か来そうでマジ怖い。

慌てたおかげで、なかなか砦に入れなかったよ、ママン。


ドロップしたのは腐った肉。

ゾンビってことだよね、村人じゃなくてよかったw

えーと、このゾンビ肉を食べろとw

いや素材だよね。これ食べたらダメージ入るのかな?


砦の中でその他のドロップアイテムを確認していると、突如背後から衝撃!

揺れる視界に走る痛み。

ああ、やっぱり痛い。くそ。


慌てて振り返ると、背後から赤い四つの目を持つクモが襲いかかってきている。

えっ? 城壁を登ってきたの?

心臓に悪いからやめたげて。


さっきのゾンビ戦のおかげで心構えができていたおかげか、激しい動悸に耐えつつも思ったより冷静に殴り返せた。


ほっ。


不法侵入クモを倒したら、こちらもなにやらドロップ。

拾うだけ拾って、確認は後にしよう。うん。


攻撃受けるとやっぱり痛かった。


でもブロックの体は怪我した感じはない。これならあと10年は戦える!!(混乱)


ふう。

壁に登り、周辺警戒を再開。


しばらくしてまたクモが壁を越えてきた。何でだ?

高さが足りないのか?



攻撃を受けつつもクモを再度撃退。

以降は襲撃もなく壁の上で夜明けを迎えた。


「……一睡もできなかった」


眠気はないけど疲れました。

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