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落とし扉

外のゾンビがうるさい。

あいつ飽きないのかな。



この文字通りチート(駄女神の違法改造)な能力、

土の錬成を使って、ゾンビを倒す方法を考える。

能力がチートというより、この世界自体がチートだけれど。



単純な話、扉の前から動かないんなら胸壁にマシクーリ(石落とし)を作ればいい。

マシクーリというのは、城門や城壁に殺到した敵兵に上から石や熱した油を落とす穴のことだ。

油は高価だったため、実際にはほとんど使われなかったらしいけど。


石じゃなくてもいい。

城門のファルガッター(落とし扉)よろしく、上から重量物を落としてやればいい。

圧殺目的だが、念のため杭のように先を尖らせて。


落とし扉は、木で格子戸をつくり鉄で補強したり、鉄そのものだったりするけれど、今回は常時設置させるわけじゃないから土で代用。

ブロック一つは、ゲームの時とほぼ同じ1立方メートル(m3)。

水なら1トン。土ならおよそ1.8トン、だったか。


これを約4m上から落として直撃させれば、近づくことなくゾンビを倒せる。はず。


どうせなら、縦に5ブロックつなげて10トンハンマーならぬ、約10トンファルガッターをつくる。

落とし扉というより、巨大な落とし杭になった。

加速がついたらどれくらいの衝撃になるのやら。オーバーキルな気もする。


では、見張り塔に登ろうか。

上に上がろうと辺りを見渡すが、はしごがない。




あ……、そういえばサボテンに爆破されたあと、壁は修復したけどはしごは放っておいたままだったw




ということで、はしごを再設置。

天井に穴を開けるためスコップを取り出す。

はしごを登り、屋根に穴を開けようとすると、すんなり土のブロックがインベントリに収納された。


お?


一度天井を塞ぎ、下に降りる。

地面を手で掘ってみると普通に掘れたが、スコップを使うと数秒で土ブロックがインベントリに収納された。

ツルハシも同様だった。


そうか。

道具を使えば、1立方メートルの掘削が数秒で完了するのか。

駄女神に道具使えよと言われたことを思い出して、少し腹が立った。


スコップで掘削、ブロック回収、スコップをブロックに変更、即ブロック設置。

ができるので、長時間掘削作業をしなくて済む。


長時間の掘削は嫌だなと思っていたので、この時間短縮は助かる。

道具には耐久度があったはずだけど。


少し気分が晴れた。

よし、今度こそ見張り塔に登ろう。



はしごを登ると、屋上菜園にかぼちゃと小麦が見えた。

これが現実なら小麦が収穫できるくらい育つのに半年くらいかかるはずだよな。

ゲームのままじゃなかったら、パンとかもう作れないんじゃないのか?

そういえば前回、カボチャは食べられなかったけど、今度はどうだろう?


いろいろ頭の中を考えが通り過ぎるが、菜園はひとまず置いておいて、入口上部の胸壁に向かう。

下から呻き声が聞こえる。


1ブロックじゃなくて、少しだけ穴を開けたりできるかな。

スコップで、小さい穴をイメージしながら掘ってみるとできた。


穴から下を覗くと、子供のゾンビがこっちを見ながら、半分朽ちかけた歯を剥き出しにして呻き声をあげる。


「ウヴァー」

こちらを見つけ、這い登ってこようとしている。

ゲームの時はかわいい気もしたが、これはちょっと正視に耐えない。



飲んだ息を吐き出す。

覗き穴をおよそ1メートル四方に広げ、インベントリから10トンファルガッター(巨大な落とし杭)を中空に取り出す。

慎重に穴にはめて、落とす。


重さが復活した10トンファルガッターは、ズッッと加速しながら落下する。


「ズシンッッ」「グシャリ」

ズシンという音の間に、グシャリという音が重なる。



呻き声は聞こえなくなった。



「……はあっ」

溜息を吐く。

気分の悪いチート能力だ。



今度はツルハシで10トンファルガッターの上部を掘る。

開いた隙間から下を覗いてみると、入り口から外側に向かって緑がかった血だか体液だかが飛び散っている。

魔物を倒したら、消えてアイテムだけドロップする仕様ではないようだ。


「はああっ」

後処理どうすんだよ

もう一度、さっきより深いため息をつく。

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