表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/120

スワンプスライム

挿絵(By みてみん)


目の前で蠢く黒い地面。

多分これが泥粘漿(スワンプスライム)だ。


インベントリからマグマを取り出し、黒い泥にめがけて放り投げると、泡立つような低い異音。


「ヴヴォッ」


マグマの熱で蒸発し、残りは雨で冷やされ一緒に固まる。


「こっちにもいます!」

イシルウェさんが叫ぶ。


ゴットホルトがいた周辺が一番黒く広がっているが、周囲の壁にはまだいくつも黒い影が見える。よく見ると、周りの壁も徐々に崩れ始めている。


敵の侵入経路はおそらく川。

泥粘漿(スワンプスライム)は流れてしまうため水流のある川を渡らないが、沼鬼スワンプトロール沼小鬼スワンプゴブリンは苦にしない。


主塔ベルクフリート横の幕壁カーテンウォールは川に直接面している上に、主塔ベルクフリート増築計画もあって、二重城壁を整備していない。

外塁の整備を優先したのが仇になったか。



泥粘漿(スワンプスライム)だ、足元に気をつけろ!」

暗くなった砦内では雨が激しさを増し、足元がぬかるんでいる。

泥粘漿(スワンプスライム)は素早く動くことはないが、踏んだり時折身を震わせて飛び散る強酸性の泥で武器や防具が溶ける。


激しい雨音のせいで声も通りにくいが、よく通るヴァレッタ聖歌隊チャーチ・クヮイアの歌声のおかげで怯えの気持ちが吹き飛ぶ。



「【ヴァイス】!」

突然、後ろにいたあんちゃんが叫びだした。

叫んだかと思ったら突然手を振り広げ、踊りながら虚空を叩き出す。


なんだろう、ものすごく心配になる。大丈夫かな。


叩いた虚空から浮かぶ光るエフェクト。

それとともに、白地に赤と黒を基調とした和装の3人組ユニット、【ヴァイス】の子供たちが詠唱と共に踊りだす。

ああ、リズムゲーか。


その直後、【ヴァイス】の詠唱であぶり出された泥粘漿(スワンプスライム)が、砦の内部のあちこちで淡く光り出す。


泥粘漿(スワンプスライム)です!」

ぎゃー、泥粘漿(スワンプスライム)大杉。


雨で流れて広がったのか、砦の内部は水たまりにプカプカ漂ったり、ぬかるみの中で蠢いている泥粘漿(スワンプスライム)で溢れかえっていた。

救いは個体自体が全て小さめというところか。



「訓練通りに! 焼けた鉄棒で泥粘漿(スワンプスライム)に対応させろ」

熱した鉄棒を使い、住民たちがわらわら対応する。


沼鬼スワンプトロール焼石弾丸バーンストーンバレットは効果がなかったが、泥粘漿(スワンプスライム)対策に、松明や熱した鉄棒・石棒をドワーフに用意させてある。


ただこの雨で松明は使えない。地面がかなりぬかるんでいる中、水たまりに熱した棒を突っ込む対応でどこまで効果が出るものやら……。


ひとまずそちらは任せて、こっちは壁の下の泥粘漿(スワンプスライム)をなんとかしないと。

あんちゃんにマグマ攻撃を手伝ってもらいたかったが、【ヴァイス】の指揮?で忙しそうだ。



激しい雨が目に入る。


(俺だけじゃないが)ずぶ濡れになりながら、インベントリからマグマを取り出しては泥粘漿(スワンプスライム)に投げつけ、仕舞っては地面を石壁で補強していくという、まどろっこしくも地道な作業。

投げつけたマグマが雨のおかげで一瞬で冷やされて、一部が黒曜石に変化していく。

インベントリには膨大な量のマグマをストックしてあるから、気にせずにどんどん放り投げていく。


あの黒曜石、かなり固そうだな。後で採取しておかないと。


最初に崩れた箇所から幕壁カーテンウォールの端までの泥粘漿(スワンプスライム)を片付け、壁下の補強も完了。

壁の向こうからは、複数の魔物唸り声が聞こえてくる。

いるよ、壁のすぐ向こう側に。


崩れさえしなければ問題ない。



急いで逆側の壁下で蠢いている泥粘漿(スワンプスライム)にマグマを投げつけていく。


もう少しで二重城壁部分の補修完了、というところで一気に幕壁カーテンウォールの下部が崩れだす。

おぅ、時間切れ。

間に合わなかったですか。


そこでふと脳裏に浮かぶ「内壁を増築する方が早かったのでは?」という考えを頭から追い出すアフターカーニバル。

歌う月20


住人数についての報告

報告者:モットー ドリュアス


移住希望者:2名

人間(1)

戦狼人ヴェアヴォルフ(1)



死亡:人間1名

詳細は別紙にて



住民総数:143

内訳:

招来者ブリンガー:5

人間:106

ドワーフ:9

吸血鬼ヴァンピール:4

ハーフエルフ:3

ダークエルフ:3

熊猫人ウェアパンダ:2

人狼ライカンスロープ:2

猫人ケット・シー:2

白虎人ウェアタイガー:1

龍人ドラグメイド:1

白熊人アルトリウス:1

エルフ:1

ドヴェルグ:1

戦狼人ヴェアヴォルフ:1


以上


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ