コボルト エピソード10
輝く月 8
翌日、興里たちを引き連れて、コボルト台地に向かう。戦闘中、約束のパンと牛乳を届けられなかったことを詫びに。
俺が寝こけている間に、興里たちが約束のブツを届けにいったらしいが、俺を呼んで来いと追い返されたらしい。
責任者出てこい的な感じで。
「そういえば具体的にはどんな契約なの?」
「毎日のパン・牛乳と引き換えに台地の地下坑道拡張を手伝ってもらう約束。手伝いっていっても実際は好きなようにやってるみたいだけど」
「じゃあ届けられなかった分、報酬に色をつければいいだけじゃないの?」
「コボルトは約束より多い報酬を渡しただけで、バカにされたと思ってヘソを曲げて石を投げてきたり、出ていったりするらしいから」
「うわっ面倒くさっ! っていうか意味わかんないし。多い分にはいいと思うけどねぇ」
「まあ色々あるんだろ。コボルトじゃないけど、ブラウニーとかクルアガッハの妖精は服を贈ると泣きながらでてくらしいよ」
「えぇ、服が嫌いなの??」
コボルト台地の石切場に到着。そこにルンペルシュティルツヒェンたちが深刻そうな雰囲気で集まっていた。
うわぁ、あの輪の中に入ってくのやだなぁ。
深呼吸をひとつしてから、よし決めてやるぜ!
「ごめーん、待ったぁ? 来る途中でズームイン朝のウィッキーさんに捕まっちゃってー」
「「……?」」
コボルトだけじゃなく興里、お前もか。
笑いっていうのは、共通認識を少しずらすと生まれるらしいって誰かがつまらない分析してたな。まあ知らないネタでは笑えないよね、しょうがないね。ってか興里はタイトルが変わった後の世代なんだってさ。
今風にスムージィー飲んでて遅くなったとかの方が良かったかな。いや、スムージィーが今風かどうかもわかんないけど。ちなみに俺の説明はいつも面白くないと嫁に言われてた。いや、説明が面白い必要なくね?
特に場の空気が和むでもなく、笑ってもくれないので気を取り直して。
「えー、まずは報酬が遅れてすまない。あとこれは今日の分の報酬。遅れた分はどうしたらいい?」
出て行くと言われれば、それは詮無いことと諦める。
「それはかまわねぇーんだ。トロールだろ、アレはしゃあない。俺たちも隠れてるだけだったしな。もしコッチに来やがったらグァバっと殺してやるところだけどな! それより旦那、この台地の下には神域が広がってやがりやすぜ」
やったよ、有耶無耶っぽい!
ってか神域って聞こえたな。
「ヤバいの?」
「全然ヤバくねーよ! ただ今より深く掘り下げるのはごめんだな」
ヤバいんだろうな、多分。
まあちょうどいいというか悪いというか。引き止められそうなら、お願いしたいこともあったし。
「実はヴァレッタ島にも神域があるんだけど、その下にも地下廃坑が見つかったんだ。よかったらしばらくコッチで手伝いしてもらえないかなと思ってたんだけど、どうよ?」
「「地下廃坑!」」
□□□□□
実は昨日、白虎人のタマさんが難民を二人見つけて戻ってきた。
「神域を守ってる妖精の番犬に殺されるところだったよ」
ああ、そういえば神域コナハトについての説明忘れてた。てへっ。
「てへっ、じゃねーよ。こっちは死ぬところだったんだからな」
「申し訳ございません、あと救助ありがとうございます」
「いや、その神域の崖下にある洞窟にまだ何人か生き残ってるらしいぜ。しかも内部が廃坑になってて、なんかお宝の匂いがするんだよなぁ」
「え、っていうかそこが神域コナハトじゃないの? いや神域の地下が妖精の国とかなのかと思ってたけど」
「いや、妖精の番犬の威嚇はなかったから、どうも違うっぽいな。というわけで、追加の捜索をするにしても、ちょいとアタイだけじゃあ手に余るんだよね。人手を借りられないかい?」
「アテがないわけじゃない、かな。まあ、少し休んでてくれ。市庁舎は燃やしちまったけどな」
「おう、そんな楽しそうなことしてたんだな、次はアタイのいる時にしてくれよ!」
□□□□□
ってな感じで、コボルトの手を借りられれば助かると思って声をかけたけど、悩んでるご様子。
「地下廃坑は気になるが、神域の下かぁ」
ヤバいんだろうな、多分。
「神域の主とは面識があるから、まあ大丈夫だと思うよ(棒読み)」
「「うーん……」」
まあ神域は実際やばいよね。初めてメイヴにあった時のことを思い出すと、今でも鳥肌が立つ。変なの飲まされたし。
そんなコボルトたちに剣虎の白雪が歩み寄る。
「グオォォォォォォォー!」
白雪が咆哮すると、ルンペルシュティルツヒェンたちが一緒に歌い出す(?)。
え、なんで歌ってんの?
意味はわからんが、白雪を先頭に7人のコボルトたちがヴァレッタ島に向けて歌いながら進んでいく。
えーと、了解をいただけたってことでしょうか?
あれ、なんか置いてけ堀なんですけど。ちょっとー?!
歌う月12
住人数についての報告
報告者:モットー ドリュアス
移住希望者:4名
人間(3)
白熊人:1
死亡:人間1名
詳細は別紙にて
住民総数:120
内訳:
招来者:5
人間:91
ドワーフ:8
吸血鬼:4
ハーフエルフ:3
熊猫人:2
人狼:2
猫人:2
白虎人:1
龍人:1
白熊人:1
以上




